【第2回 いかに経営者に実行してもらうか】
過去の記事:第1回
2015年度に中小企業診断士試験合格、2016年4月に独立開業した川崎朋子さん。元外資系製薬会社のMRで5時間の育児短時間勤務ながらトップの営業成績を獲得。その後8年間の専業主婦生活を経て中小企業診断士へ。そんな異色の経歴をもつ川崎さんの具体的仕事に迫ります。
情熱のある経営者ばかりではない?経営支援で感じたギャップ
――経営者支援を志し、中小企業診断士として仕事を始められてから感じたギャップなどはありますか。
赤字企業の経営者の多くが自社の数字を把握していないということに驚きました。
小規模事業者は、少数精鋭で日々のお仕事に励まれています。そのため、目の前の業務に手一杯になり、会社全体に気を配るまで至らない現実があります。
たとえば、客単価を把握していなかったり、直近3期分の収益を教えてくださいと言っても「経理士さんにお願いしているからあまり分からなくて」と言われたりすることも多いです。
目の前のことに追われているうちに外部環境が変化し、いくら日々の業務に精を出しても利益が出づらくなる。それにより、経営者がやりたかったはずの事業に対して情熱を失っている現実を目の当たりにしました。今の事業に「未来」を見いだせなくなることが原因だと思います。
経営者とともに半年間で黒字化させたバイリンガル幼稚園
――これまででこれは成功した!と印象に残っている仕事はありますか。
20代後半の方が経営されていた、富裕層向けバイリンガル幼稚園のマーケティング支援の仕事です。アドバイスに対し経営者の方がすぐ行動に移してくれました。結果半年で黒字化し、1年で事業所拡大の話まで至った時は嬉しかったです。
私自身がワーキングマザーだったこともあり、その視点でアドバイスをしました。インターネットを活用した宣伝方法、プレ幼稚園の開設、園外向けPRや見学会他のアドバイス支援を行ったのですが、経営者と理事長の方がアドバイス内容を積極的に実行し、その結果を都度数字でまとめて、次のアクションのアドバイスを求めてきました。PDCAサイクルを高速で回し積極的に行動して頂いたことが、半年で黒字化という成功に繋がったと思います。
顧客の視点を伝えることで納得感を持ってすぐ実行して頂けたと思っています。
地引 智美 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大学卒業後、IT企業に入社。入社後は法人営業に従事し、大手企業向けにシステム導入提案、導入後フォローアップ、ビジネスデザイン支援を実施。現在は同社の経営スタッフとして事業戦略策定に携わる。2019年に中小企業診断士登録し、パラレルキャリアを歩み始める。