【第3回 みんなが喜びあえるある仕組みを作りたい】
過去の記事:第1回、第2回
山本さんは、直接の原因ではなく問題を深堀し、真因を突き止め、さらにそれを仕組みで解決したいと話します。「子どもも親も男性も女性も居心地の良い社会」を実現するため、私たちみんなが参画して変わることを目指しているのだと感じました。
紆余曲折しているようでいて、実は一貫している
――子育て活動の経験を活かし出版にも携わられたとのことですが、今後はそちらに注力されていくのでしょうか?
2019年に『合同会社設立・登記・運営がまるごとわかる本』(日本法令)の執筆プロジェクトに参加させていただきました。自分のノウハウを形にできたことはとてもよい経験でした。
診断士登録をして3年目が終わろうとしているのですが、この3年間は、いろいろな経営者や先輩とのご縁をいただき、多様な活動に参加させていただくことで、世界がとても広がったと感じています。共働きなので、すぐに収益に結びつかない活動もできる環境にあり、協力的なパートナーに感謝しています。
今後は、これまで広げた活動の中から少しずつ自分の方向性を見定めながら、絞り込んで深くやっていきたいなと思っています。自分にしかできないことで、もちろん事務所の売上向上にも取り組んでいきたいと考えています。
――具体的な活動の方向性についてはどのようにお考えですか?
誰もが働きやすい社会を作るためには、いま発生している問題に対して、長期的な取り組みが必要と考えています。そのためには、仕組みで解決できるような環境整備をしないといけないと考えています。
私としては、やはり診断士として企業に働きかけていく方向から進めていきたいと考えています。自分が今、取り組んでいるテーマの解決策として、昨年、組織開発について考える機会があり、キャリアコンサルタントの資格を取得しました。ここで学んだことを活かして、企業にとってメリットのある働き方の見直しを仕組みとして提案していきたいと考えています。
――収益事業以外ではどのようなことをお考えですか?
従来からの地元の活動に加え、中小企業診断士を取得したことで、より地元自治体との接点が増えてきました。昨年は近隣の学校で登壇するご縁もいただきましたので、今後は地元で子どもたちのキャリア教育といったテーマにも取り組んでいきたいと考えています。
それは、働くお母さんの自己肯定感にもつながっていくと思うのです。私の周りには、家族に頭を下げて、後ろめたさを持ちながら仕事をしているお母さんが多いです。私は、それは間違っていると思っています。母親の職場見学などのイベントを通じて子供たちにも継続的に働きかけていきたいです。このようなことも自治体とのご縁ができたことから可能性が見えてきましたので、社会への働きかけのひとつとして取り組んでいきます。
――山本さんにとって中小企業診断士とはどのような存在でしょうか?
私は、走りながら考えるタイプです。これからも自分の信念に基づき、中小企業診断士として社会に貢献できることに継続して取り組んでいきたいと考えています。決して一人で成し遂げていこうとは考えておらず、誰もが参画でき、継続できる仕組みの構築を目指しています。
その課題に携わる地元の人たち、企業、母親・父親たち、など、みんながメリットを享受できるようなビジネスモデルを作らないといけないと考えています。そうすることで、多様な人材が参画でき、地域が自立的に良くなっていくと思うのです。私のこれまでの活動経験や中小企業診断士としてのスキルを活用して、挑戦していきたいと考えています。そういった貢献を積極的に行うことが、中小企業診断士の存在価値ではないかと考えています。
山本 哲也 取材の匠メンバー,中小企業診断士
日本で最も早くフランチャイズチェーンシステムを取り入れ普及させたフランチャイザーに1989年から勤務。長年,清掃衛生管理グループに所属し,清掃スタッフを皮切りに,全国のフランチャイズ店の育成・指導,事業計画の策定,新規事業開発,法人営業などを経験してきた。“リーダーの能力を超える事業成長はない”と考え,人の成長ありきの支援を実施。趣味は,アウトドア全般と飲み歩き。とにかくじっとしていられないひと。