【和田純子さんインタビュー】 中小企業の経営者に寄り添い、後継者と伴走して会社の未来をつくる

【和田純子さんインタビュー】 中小企業の経営者に寄り添い、後継者と伴走して会社の未来をつくる

【第2回 事業承継支援する時に大切にしていること】
過去の記事:第1回

【和田純子さんインタビュー】

前回に続き、事業承継支援を専門として活動する和田純子さんにお話を伺います。

第2回は、事業承継支援をする時に大切にしていることについてお話しいただきました。

長期的なスパンで事業承継支援する

――事業承継支援をする時に大切にしていることはなんですか。

私が事業承継支援をする上でのモットーは「中小企業の経営者に寄り添い、後継者と伴走して会社の未来をつくる」です。

ご高齢の経営者は「今は頼りないが、可愛い息子に会社を継いでほしい」、「しかし、引退したら自分の居場所がなくなりそうで不安」といった複雑な思いを抱えています。私は、そのように心が揺れ動く経営者の気持ちに寄り添って話を聞くことを大切にしています。

また、後継者には、先代や現経営者がすごすぎて自信を持てない人も多くみられます。そのような後継者には今から出来ることを提案し、自信を持てるようにしています。

さらには、次世代の管理職研修を実施し、後継者の右腕・左腕になる人を育てる仕事も行っています。

私の事業承継支援では、事業承継の計画書を作って終わりではなく、財務状況が悪ければ経営改善計画を作成し、後継者が次世代の組織体制をつくる過程も含めて、長期的に支援していくことを心掛けています。

その企業にとって最適な事業承継を実現する

――具体的には、どのように後継者と伴走するのでしょうか。

経営者が経験や勘で培ったノウハウを、後継者がそのまま受け継ぐことは難しいものがあります。なので、一緒に伴走して後継者が成長できる支援もしています。

ある製造業の会社はBtoBでOEM製品を作っているため、ホームページやカタログに製品を掲載できません。経営者は、積極的な性格と高い営業力で経営を続けてきました。一方、後継者の息子さんは消極的な性格ですが、デザインや総務の仕事が得意でした。そこで、まずは息子さんに自信を持ってもらうため、社内用製品リストの作成を提案しました。

不動産賃貸業の会社では、後継者の娘さんに決算書の見方や資金繰り表の作り方を教えたことがあります。

――今まで支援した中で印象的だった事業承継の実例はありますか。

別の製造業の会社は、従業員が社長に認められて新社長になりました。この会社は、新社長は経営に関する数字を見るのが得意、社長の娘である工場長は製造が得意、従業員の営業部長は地元密着型の営業が得意。つまり、経営・製造・営業の3つの力を持ち合わせた経営体制で、次世代の会社をスタートさせました。

後継者1人で頑張ると、心が折れることがあるかもしれません。そこで、後継者の右腕、左腕となる従業員を見つけて、それぞれの得意分野を活かして協力し合い、時には熱く議論することで、次世代に続く強い会社になれると考えます。

那須 美紗子

那須 美紗子取材の匠メンバー,中小企業診断士

大学卒業後,証券会社で企画業務に約10年,出向にて信託銀行の業務システムのシステムエンジニアに約2年従事。その中で,システムや業務の新規構築・改善,新サービスの立上げなどを幅広く経験。2019年に中小企業診断士登録。自身も3人の子供を育てながら働く経験を活かし,働く親の支援活動も行う。趣味は旅行と茶道。

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