【第1回 1次試験で思わぬ落とし穴】

2015年から中小企業診断士の勉強をはじめて、5年後の2019年に1次試験を突破し、2次試験は1回で合格された中川さん。第1回は1次試験の突破に時間がかかった理由について伺いました。
自分の勉強したことを形として残したいと思った
――現在のお仕事を教えてください
仕事は、玩具関係の卸売業関係の会社に新入社員からずっと勤めています。娯楽関係の商材やビデオゲームといった商品を取り扱っており、仕入や運営管理業務を経て、今は営業を担当しています。
――診断士試験を受験したきっかけは?
ゲームのジャンルの中で「お勉強系ソフト」というものがあるのですが、その中で中小企業診断士のソフトの存在を知ったことがファーストコンタクトでした。ただ、その時は取引先から「自己啓発のために試験を受ける人も多い」という説明も受けたのですが、正直全く興味は持てなかったですね。
それから4年ぐらいたった時に、診断士に似た社内の独自資格試験を受ける機会があり、頑張って勉強したのですが、残念ながらその時は不合格でした。
なので、翌年リベンジしたいと思ったのですが、その社内試験は終了してしまい、せっかくいろいろ勉強したことを無駄にしたくないと思った時に診断士試験のことを思い出し、受験を決意しました。
なかなか突破できなかった1次試験
――突破に5年かかったと伺っています
1年目は全科目受験して4科目に合格しました。2年目は残り3科目中1科目合格。3年目は残り2科目とも不合格。4年目は残り6科目中2科目合格し、5年目にあたる2019年に残り5科目すべてに合格し1次試験を突破することが出来ました。
――突破に時間がかかってしまった原因をどのようにお考えですか?
今の仕事には大きな不満もなく独立志向も無かったので、そもそも早く取りたいとは思っていませんでした。どちらかといえば、マイペースで勉強して合格出来ればと思っていて、勉強自体は楽しく出来ていましたね。
ただ、2年目以降、不合格の科目のみ勉強していたことが、直接的な原因になったと思っています。
――不合格科目のみの勉強がボトルネックになったということでしょうか?
そうだと思います。仕事も忙しかったというのもありますが、勉強時間は極力減らしたいという意識も強かったので、最初は不合格科目のみを勉強し、最終的に1次試験を突破するスタイルに全く疑問を持っていませんでした。
ただ、2年目に残り3科目を勉強していた時は、苦手な科目ばかり残っていたので、勉強を楽しむという心境には全くなれずに、モチベーションが一向に上がらないことには苦しみましたね。
結局1科目しか合格せず、3年目も残った苦手な2科目だけを勉強することに。結果的に2科目とも不合格だったので、その2年間は精神的に本当に辛かったです。
――それでも諦めなかったのは
4年目は1年目に合格した科目の有効期間が切れて、自分が勉強して楽しいと感じられた科目を再度勉強することになりました。結果的に、そのことが、4年目に勉強する楽しさを思い出すきっかけとなり、勉強することの精神的な辛さを解放出来たことは大きかったと思っています。
結局4年目は2科目しか合格しませんでしたが、それまでの2年間と打って変わって前向きに勉強出来るようになりましたね。
最後の2019年は5科目を残していましたが、前年から変えた勉強法の効果もあり、全科目合格点を獲得できなんとか2次試験に進むことが出来ました。
1次試験は、楽しさを伴わない勉強方法は非効率になることを自分に教えてくれましたね。

中野 尊寛 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1970年生まれ。高知県高知市出身。大学卒業後、マーケティングリサーチ会社へ入社。自動車産業を中心に、商品・サービス開発の良し悪しを決める顧客ニーズの把握に必要な情報収集・活用に関するコンサルティング業務を長年担当。2020年8月中小企業診断士登録。現在は企業経営にマーケティングの顧客視点を積極的に取り入れる活動にも従事。趣味は登山と海外でのドライブ旅行。