【第1回 なぜ養成課程なのか】

南村(なむら)さんは、大手電機メーカーのエンジニア在職時から、ファイナンシャルプランナー(FP)と宅地建物取引士(宅建士)を保有する複数資格保有者です。退職後にさらに中小企業診断士を養成課程で取得されました。第1回は、中小企業診断士を志し養成課程を選ぶまでについて、お話を伺います。
エンジニアから中小企業診断士を目指すまで
――これまでのお仕事を教えてください。
もともとは電機メーカーのエンジニアとして開発をしていました。携帯電話のシステム開発に携わっていたのですが、スマホの普及に伴い、会社の事業ドメインが大きくシフトしていきました。そんななかセカンドキャリアを意識してFPと宅建士をとって早期退職しました。不動産投資を活かした個人向け資産運用設計のコンサルタントをしようと思っていたのです。
――すでに複数の資格をお持ちだったのですね。それがなぜ中小企業診断士を目指すことになったのですか。
在職中から投資の勉強をして実際に投資もしていたので、個人向け資産運用設計は、自分の強みを活かせる分野だと思っていました。ですが、長年エンジニアとして培ってきた製造業やITの専門知識も活かしたい、クライアントも個人より法人である中小企業の方が役に立つ機会も多いと考え、最終的に中小企業診断士になろうと思いました。中小企業の社長は、経営者であると同時にオーナーとして個人の立場もあるので、FPの知識も活かせていますね。
必須の1次試験を通過するには
――養成課程に入るまでの1次試験の取組みについて教えてください。
1次試験を通らないと養成課程にいけないのですが、結構長くかかり合格まで4年を費やしました。1年目は4科目合格でしたが、7科目合計は415点で1次合格まであと少しだったのです。これであまり頑張らなくても合格できるのはないかと錯覚しました。それで、1次試験の勉強は省エネモードでやるようになり、2年目は残り3科目で2科目合格。3年目は1年目の科目合格を活かせる最後の年にもかかわらず、残り1科目を落としてしまい、1年目の科目合格はリセットされました。翌4年目で心機一転全科目をやり直し、2018年に1次試験を合格することができました。
――1次試験の反省点は何ですか。
1次試験は平均点60点をとればよい、ダメでも科目合格を進めていけばよい、と甘くみていたことですね。結果、3年目まであまり集中して勉強していなかったと思います。また年によって科目の難易度は変わるので、振り返ると最初から全7科目で勝負した方がよかったと思います。
養成課程と2次試験の二択をどうするか
――1次試験を合格して、2次試験ではなく養成課程を選んだ理由について教えてください。
1次試験にズルズルと長く時間をかけてしまい、もう2次試験にあまり時間をかけたくないと考え、早々に養成課程にいくことを決めました。お金は250万円くらい必要なので痛いのですけど、それよりも時間を買おうと思いました。それまで、あまり自分のためにお金の投資をしていなかったので、人生1回ぐらいは投資してもよいだろう、と思い切りました。
――養成課程を選択するうえで、他に検討するべきポイントはありますか。
私が入った法政大学大学院の場合は、平日の朝9時から夜の10時くらいまで、1年間みっちり授業がありましたので、サラリーマンをやりながらではできないものだと思います。その場合、会社を休職などしないと難しいので、養成機関によっては土日や平日夜間で通えるところもありますが、いずれにしても仕事との兼ね合いも大事ですね。

野村 元治 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1974年生まれ。千葉県出身。都市銀行入社後、法人融資からスタートし、グループ内ベンチャーキャピタルなどでスタートアップ向け投資やIPOコンサルティング、株主名簿などの株式実務コンサルティングの実務経験を経て、現在はスタートアップ支援本部でビジネス開発や資金調達の支援に従事。2019年中小企業診断士試験合格、2020年登録。最近は、週末のランニングがルーティン。IPO実務検定(上級レベル)取得。