【第2回 経験と学びと将来のキャリア】
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商工会議所に18年間勤め、診断士として独立開業を果たした松木さん。第1回は養成課程に入るまでの経緯についておうかがいしました。第2回は、養成課程のカリキュラムや養成課程での学びについてお話いただきます。
豊富に蓄積できる経験
――養成課程のカリキュラムについてお聞かせください。
3月から始まって7月までは講義とグループワークがありました。その後、合計5回の実習があります。7月に製造業の実習、8月と9月に授業があって、9月に流通業の実習、10月と11月は講義、実習があり、かなりハードでしたよ。実習も講義も演習もそれぞれ350時間かけて取り組みます。講義も半分はグループワークと発表という内容だったので、講義中に寝てサボることもできませんでした。
――養成課程の修了者は、試験合格組と比べて経験値に差がつきそうですね。
そうですね。特に、大企業にお勤めの方は、中小企業と実際に触れる機会があまりないと思いますので、やりがいを持って取り組むことができると思います。例えば、工場の現場に入ることや、中小企業の決算書に目を通すような経験を積むことができますね。あと、大きな企業だと、どうしても自分が所属する1つの部門に意識が集中しますが、中小企業診断士は、組織全体をトータルで診断することになります。多くの方にとっては新鮮に映るようで、積極的になって取り組んでらっしゃいました。
背中を押してくれた授業
――松木さん個人として、養成課程を通して特に学びになったことは何でしょうか。
自分の強みは何なのか、ということを改めて見つめ直すよい機会になりました。
一年間ご一緒した方々は、年代も幅広く、皆さんとても優秀で、多種多様な経験をお持ちでした。中には、明確な強みをお持ちの方もいて、例えば、税理士事務所の方は当然ながら財務が強く、広告代理店勤務の方は、言葉の表現に長けていました。多彩な方々に囲まれて、自分の売りは何なのかと考えるようになりました。
――授業の中でもご自身を見つめ直す時間があったのでしょうか。
はい、日本マンパワーは、キャリアを考えるための授業があって、その授業の中で自分自身を振り返ることができました。キャリアコンサルタントによる無料相談の機会もあります。
その結果、自分の強みは小規模事業者への支援経験であったり、中小企業向けの各種施策の中から、最適なご提案ができる点であると思えるようになりました。
強みを元にキャリアを考えていく中で、独立もできる可能性があるなと考え始めましたね。
――独立の道を選ばれたのは、養成課程での授業とも関係しているのですね。
そうですね。12種類の価値観の中から、自分が大切にするものを選ぶという時間がありました。私が選んだのは「個性の発揮」「他者への影響力」「自分自身で決断できる」というものです。それぞれ「興味があることを行う、他人を支援する、時間と場所に柔軟性があって他人からの指示に従う必要がない」といったことを示しています。
振り返ってみると、正に今、独立してやっていることだなぁと思いました。毎日ストレスもありません。独立してよかったと常々思っています。

町中悟 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大阪府出身。日本、イギリス、カナダで、ホテルスタッフ、コピーライター、バリスタ、アパレルスタッフ等、を経て、IT企業に入社。管理部長や事業推進役を担当。国内外の中小企業から大企業までを経験した後、2021年に中小企業診断士として独立。趣味は、競馬、帽子、読書、野球観戦。