【田部貴大さんインタビュー】30歳目前で中小企業診断士に独学一発合格、その秘訣と中小企業成長への思いに迫る

【田部貴大さんインタビュー】30歳目前で中小企業診断士に独学一発合格、その秘訣と中小企業成長への思いに迫る

【第1回 在宅勤務で生まれた勉強時間をフル活用し合格を目指す】

【田部貴大さんインタビュー】

新卒入社した地方銀行から大手電子部品メーカーに転職し、調達を担当されている田部さん。2021年に30歳目前で、独学で中小企業診断士試験にストレート合格。きっかけはコロナ禍の在宅勤務で生まれた勉強時間。その勉強法の秘訣と、中小企業支援にかける思いをうかがいます。

中小企業の「成長」を支援したい

――銀行からメーカーに転職し、さらに中小企業診断士に挑戦とは興味深いです。経緯を教えていただけますか?

私は、新卒で地元の銀行に就職しています。最初、住宅ローンや、中小企業や個人事業主向けの融資の営業をしていました。その後、ソリューション営業部門にトレーニーとして異動になり、相続や事業承継、組織再編や不動産活用などの提案を勉強していました。実はそのトレーニー期間中に、思うところがあり今の会社に転職しました。

――相続、承継、再編、M&Aと中小企業診断士にも直結する内容です。メーカーへの転職は意外に思えます。

中小企業の成長を支援したかったのです。ただ銀行ビジネスは企業支援だけだと収益があがりにくいのです。投資信託など金融商品販売も力を入れる必要がありました。これがフラストレーションでした。今の中小企業成長の方向性は海外進出です。そこで、グローバル展開している電子部品メーカーの調達部門なら「大企業でも中小企業と一緒に成長する仕事ができる」と思ったのです。

在宅勤務でできた時間をチャンスと捉え受験を決意

――中小企業の「成長」をずっと意識されていたのですね。受験を決意されたきっかけは何でしょうか?

タイミングとしては2020年秋。転職して3年目のときです。コロナ禍で在宅勤務が増え、通勤時間や外出が減り時間ができました。海外勤務希望でしたがそれも棚上げとなり、1年半は日本にいることになりそうでした。いざ海外に行くとなると、英語やら何やらでとても忙しくなります。「今なら自分の好きなことを勉強できる」と思ったのです。

――ここぞというタイミングを捉えて挑戦されたということですね。

はい。中小企業診断士自体は銀行時代から当然知っていて、いつか取りたいと思っていました。予想外に早いタイミングでしたが、「取るなら若い方が絶対いい」。思い切ってやってみようと決意しました。

一番不安な「経営情報システム」をまず攻略

――試験勉強は何から着手されたのですか?

試験勉強を始めたのは2020年10月です。1次試験7科目で一番不安だったのが経営情報システム。社会人歴でも大学の専攻でも全く関係ないところでした。そこで、まずITパスポート試験を勉強し、「ITとはなんぞや」というのを力試ししました。これが思ったより簡単で、試験勉強始めたばかりの10月の試験に申し込んでからの勉強で間に合ったのです。これで気持ちが軽くなりました。

――最初に一番の不安を取り除いた後は、どのように1次試験の勉強を進められたのでしょうか?

11月企業経営理論、12月財務・会計と運営管理、1月経済学・経済政策、2月経営情報システム、3月経営法務、4月中小企業白書・政策と、1か月に1科目のペースで進めました。ネットの情報で「1科目ずつやった方がよい」というのを発見し、それを見習いました。TACかLECあたりの順番を参考にしたと思います。

――計画的に勉強されていますね。どの程度時間をかけたのですか?

平日は1日1時間、土日は6時間ずつです。1次試験本番までに600時間勉強すると決めて逆算し、余裕ある計画にしました。振り返ると、無理に詰め込まなくてよかったです。仕事が忙しい日や集中できない日もありますが、祝日などで挽回できます。計画遅れが生じず気持ちを維持できるので、自分の性格にも合っていました。

大井 秀人

大井 秀人 取材の匠メンバー、中小企業診断士

1971年生まれ。愛媛県出身。化粧品メーカー勤務。東京都中小企業診断士協会中央支部所属。東京と神戸で活動するパラレルキャリア・パラレルロケーション診断士。化学、エンジニアリング、IT、電機、映像機器と多くの業界で、製品開発のデジタル化や業務改革に関わる。得意分野は事業計画、業務分析、ITコンセプトデザイン。現在、勤務先にてIT/DXを担当する傍ら、診断士として執筆・補助金申請支援等に従事。

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