【第3回 夢はお世話になった社長さんへの恩返し】
過去の記事:第1回、第2回
新卒入社した銀行から大手電子部品メーカーに転職し、調達を担当されている田部さん。2021年に30歳目前で、独学で中小企業診断士試験をストレート合格。最終回は、資格取得後の中小企業支援にかける夢や思いをうかがいました。
中小企業の海外進出支援と事業再生に取り組みたい
――今、中小企業診断士になって、取り組みたいことはありますか?
大きく2つです。1つはやはり海外進出支援です。
銀行員時代から思っていましたが、日本市場が少子高齢化で縮小する中、海外にパイを増やす必要があります。勤務先で調達業務をしていると「このままだと中小企業が海外に出られず、チャンスを失うのでは」という危機感があります。海外進出のハードルを低くしていきたいです。ただ、今は海外の仕事に関われる機会が少ないので、これから勉強です。
――勤務先でも海外のチャンスが掴めるといいですね。2つ目は?
事業再生です。銀行、メーカー調達という自身のキャリアとの親和性が高いと思います。今、コロナで困っている事業者さんは多いですし、増える可能性もあります。勤務先も10年後を考えると景気の波もあるでしょう。事業再生の知識があると、事業の立て直しなど社内外で貢献できるのではないでしょうか? 専門的に取り組んでいくつもりです。
3年後には副業、夢はお世話になった社長さんへの恩返し
――会社の中で中小企業診断士の資格を生かすイメージでしょうか?
副業でも中小企業の海外進出、事業再生に関わりたいですね。協会や研究会に参加して、そういったチャンスを見つけたら積極的に参加しようと思います。その知識を勤務先で生かせる場面も出てくるはずです。
――そういった挑戦を経て、3年後はどうなっていたいですか?
海外進出支援や事業再生など企業支援を、副業という形で実現したいです。これは夢ですが、前の銀行員時代にお世話になった社長さんたちに恩返ししたい。
――それは、社長さんたちにとって、かなりうれしいことと思います。
そうだったら本当にうれしいですね。法人営業になったのが社会人2年目のときです。年次的にも早く全く実力不足…。担当した社長さんたちには本当に色々と助けていただきましたし、可愛がってもいただきました。今度はその人たちに、自分のバリューを出して提案できるようになって、一回り大きくなった姿をお見せしたいです。
10年後には中小企業診断士を生かし職種経験を広げたい
――では、10年後はいかがでしょうか?
10年後ですか? そうですね、副業しつつ勤務先ではマネジメントをして、そこで中小企業診断士の知識や経験を生かせていたら理想的です。
今の調達の分野を深めていくもいいし、より中小企業診断士とシナジーを出せそうな職種にも興味があります。例えば、ロジスティックスなどサプライチェーン全体や、事業企画、M&A。あとはやはり海外勤務は1度経験してみたいです。実は、勤務先は部門間異動が少なく課題意識を持っています。あえて異分野へ挑戦し、雰囲気も変えていくのもよいと思っています。
――最後に受験生へのメッセージをお願いします。
1次試験のときから2次試験を意識して、「全知識」を読んでインプットしたほうがよいです。事例Ⅳの演習も十分にやっておきましょう。インプットによるベースが固まっていると、2次試験本番の心持ちが違います。
アウトプット重視の方が多いと思いますが、インプットが大事と言いたいのです。インプット量が多いと、本番の答案作成で困ったとき何かしら引き出せます。ぜひトライしてみてください。
――1次試験の知識は2次試験だけでなく中小企業診断士になっても役立ちますしね。とてもよいアドバイスをいただきました。ありがとうございました。
大井 秀人 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1971年生まれ。愛媛県出身。化粧品メーカー勤務。東京都中小企業診断士協会中央支部所属。東京と神戸で活動するパラレルキャリア・パラレルロケーション診断士。化学、エンジニアリング、IT、電機、映像機器と多くの業界で、製品開発のデジタル化や業務改革に関わる。得意分野は事業計画、業務分析、ITコンセプトデザイン。現在、勤務先にてIT/DXを担当する傍ら、診断士として執筆・補助金申請支援等に従事。