【栗山敦さんインタビュー】独学合格の秘訣は「学びの面白さ」に気づけたこと

【栗山敦さんインタビュー】独学合格の秘訣は「学びの面白さ」に気づけたこと

【第1回 新たな知識との出会いが面白くて苦痛はなかった】

【栗山敦さんインタビュー】

独学で中小企業診断士試験に合格した栗山さん。業務上必要に迫られたわけではない資格に対して、なぜ挑み、どのようにモチベーションを維持して努力を続けたのか。50代の挑戦に迫る。シリーズ第1回。

業務での必要性はなく、純粋な興味からスタート

――はじめに、現在のお仕事を教えてください。

半導体メーカーに勤務しています。30年ほど半導体の設計にかかわっている技術屋です。現在は回路などの知的財産情報を商品化する仕事をしています。

――中小企業診断士資格への挑戦は業務がきっかけですか。

いえ、業務上の必要に迫られたということはなかったですね。純粋に興味が湧いて挑戦しました。会社の研修でMBAプログラムの1つを受講して「経営の勉強って面白いな」と感じたのが最初です。「MBAを取ってみたいな」と思ったのですが、費用や年数がかなりかかるので、さすがにハードルが高すぎると諦めました。その後、本屋で中小企業診断士の本を見つけて、「面白そう。ちょっとやってみよう」と軽い気持ちでスタートしました。

――技術職の栗山さんにとって、資格取得は日常的なものですか。

ソフトウェア業界では情報処理系の資格取得も一般的かと思いますが、私たちハード屋の場合は公的な資格はあまりないので、仕事で資格を取ることはこれまでなかったですね。周囲もそんな状況でした。中小企業診断士の勉強をしていることも、職場には明かしていなかったです。

新たな知識の習得が面白くて続けられた

――栗山さんの受験歴を教えてください。

2018年2月に勉強を始めて、1年目は1次試験で4科目合格、2年目に1次試験を突破し2次試験に挑戦、3年目に2次試験に再度挑み、3年がかりで合格しました。総学習時間は一般的に目安とされる1,000時間ぐらいだと思います。

――1次試験突破までの2年間はどんな日々でしたか。

私は必要に迫られて勉強を始めたわけではなく、「面白そう」と思って始めて、実際に面白かったので、受験期間は苦痛ではなかったです。でも最初は、試験範囲が広すぎる印象を持ちましたね。「診断士ゼミナール」という通信講座を受けていたのですが、テキストを見たら膨大な量で。2月に勉強を始めたので、8月の1次試験までの日数を逆算したら「6ヶ月間でこんなに!?」って。日割りで計算した量をこなすのが大変でしたね。初年度から7科目合格を狙っていましたが、結果的に届かず2年になったという感じです。

――1次試験の学習はどの辺りが面白かったのでしょうか。

それまで全く学んだことがない知識を得られることが面白いと思いました。1年目は診断士ゼミナールの講義を淡々とこなして4科目合格しました。2年目は診断士ゼミナールだけでは物足りなくなって、TACの問題集や簿記の本もやりました。その結果、経済学や財務会計のしくみがわかってきて、よりハマりましたね。

――独学を続けることができた秘訣は何ですか。

「面白いな」と思って淡々とやれたことです。診断士ゼミナールの講義動画が手作り感たっぷりで興味深く見られました。

――どんな目標を立てていたのですか。

学習時間を目標に置かず、タスクの進捗を管理していました。

――いつ、どこで勉強していましたか。

朝出勤前の自宅と、通勤電車内がメインでした。1年目は家族にも黙って勉強していたので、土日も目一杯って感じではありませんでした。2次試験に挑んでいた頃は土日もかなりの時間を費やしていたので、家族にも伝えて協力してもらっていました。

――初めての2次試験はどうでしたか。

夏まで1次試験に全力投球だったので、合格とわかってから「2次試験は何のテキストを使おうか」みたいな状態でした。この時期は主要なテキストがインターネット上では売り切れるので、慌てて本屋へ探しに行ったりと、スタートまでに時間がかかり、学習が全然間に合いませんでした。

小野 慎介

小野 慎介 取材の匠メンバー、中小企業診断士
株式会社シナリオメイク 代表取締役社長。1981年生まれ、大阪府出身。マザーズIPOや独立起業など多彩な経験を持つマーケターとして、現在は都内や川崎市の中小・ベンチャー企業向けに「勝ち筋」の発見や売上拡大支援を行っている。2022年、中小企業診断士登録。東京都中小企業診断士協会および神奈川県中小企業診断協会に所属。二児の父。

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