【第1回 1年目に1次試験合格も…】
製造業の開発技術者として勤務しながら、2022年に中小企業診断士に合格した佐々木剣太さん。3年間の試行錯誤の末に、最後は独学で見事合格を勝ち取りました。第1回では、佐々木さんが中小企業診断士を目指した理由と2年目までの試験受験についてお聞きしました。
パラレルワークを目指し、中小企業診断士を受験
――中小企業診断士を受験されたきっかけを教えてください。
私は現在、印刷機を作る会社に勤めています。印刷機器は成熟している市場で、電子化が進んで紙の需要が減り、オフィスもどんどん減少しています。今後この傾向がさらに加速していくと思いますので、さらに印刷機器の市場の縮小が予想されています。このような状況で一技術者として今の仕事をやり続けることに不安を感じるようになりました。
そんな中、経営的な視点で業務の幅を広げて、会社に依存しないパラレルワークの観点で仕事のリスク分散を考えるようになりました。まず、経営に関する資格を取得しようと考え、いろいろ探していた時に上位にあがってきたのが中小企業診断士です。
1年目の1次試験は一発合格
――受験はいつごろ始められましたか。
勉強は2019年から始めました。Twitterで中小企業診断士受験の情報を収集して、1次試験は予備校に通わずに勉強することに決めました。過去問題集を繰り返し解く勉強法で、1年目の2019年に1次試験を合格しました。
――1次試験で苦労した科目はありますか。
開発や製造に近い業務に携わっていたこともあり、運営管理はあまり苦労せずに覚えられました。逆に財務会計は苦労しました。財務諸表の知識が無かったので、まず簿記2、3級の初歩的なところから勉強しました。結局資格は取りませんでしたが、簿記の中身は大体把握できるようになったと思います。
――簿記の勉強で苦労されたところはありますか。
簿記の勉強は仕訳が大部分を占めると考えていました。簿記の仕訳が感覚的に身体に染み込むまで繰り返し勉強しました。
――財務会計の範囲は広いですが、簿記の勉強だけで大丈夫でしたか。
財務会計の範囲を取捨選択して、足切にあわないよう40点以上得点できるように勉強しました。
2年目は2次試験に集中
――2次試験の勉強はいつごろ始められましたか。
1次試験が終わったら気持ちが燃え尽きてしまって、何もせずに1~2ケ月が過ぎていました。気が付けば2次試験の日になっていて、2019年はもう諦めようという気持ちになっていました。
――2年目は2次試験のみですが、モチベーションを落とさずに勉強できましたか。
2020年は2次試験対策として株式会社経営教育総合研究所の『TBC受験研究会2次集中DVD通信講座』を利用しました。この講座にはテキストと問題集があるのですが、問題集には定期的に提出期限が定められており、それがペースメーカーの役割を果たしてくれました。決まった間隔で提出物の締め切りがあるおかげで、1年間のモチベーションを保てたと思っています。
――2次試験対策予備校の添削基準に不安はありませんでしたか。
勉強している当時にはっきり認識していたわけではありませんが、2次試験対策の予備校ごとの採点にすごく個性があるなという感覚がありました。例えばTACさんやLECさん各予備校の通学生は、各予備校で行う2次模擬試験の採点基準にあわせた回答を書く癖がついてしまうのではないでしょうか。
自分もそのような癖がついてしまって、2020年度の2次試験に合格できなかったのだと思います。その反省を踏まえて、2021年の受験には臨もうと考えました。
S.S 取材の匠メンバー、中小企業診断士
埼玉県生まれ。大学卒業後、製造業に約30年勤務。主に現場管理や品質管理などの製造にかかわる業務に従事。業務経験を活かして製造分野で中小企業をサポートしたいと考え、資格取得を決意。2020年5月中小企業診断士登録し、東京都中小企業診断士協会に所属。趣味は旅行。