【加茂智さんインタビュー】変化する人生のステージで、マイペースを変えずに合格

【加茂智さんインタビュー】変化する人生のステージで、マイペースを変えずに合格

【第3回 己を知ることで合格した2次試験】
過去の記事:第1回第2回

【加茂智さんインタビュー】

加茂さんは合格後、診断士試験業界では誰もが知る2次試験向け参考書の執筆スタッフになっています。第3回では、その経験とご自身の勉強体験から、2次試験について振り返っていただきました。

「ふぞろいな合格答案(同友館)」執筆で得たもの

――加茂さんは2次筆記試験用参考書「ふぞろいな合格答案 14」(以下、「ふぞろい」)に執筆スタッフとして携わりましたね。

試験合格後しばらく、この資格に関して取り組んだことといえば「ふぞろい」の執筆スタッフくらいでした。それだけに一緒にやったメンバーとは濃密な1年間を過ごしたと思います。「あの中小企業診断士がこんなことをやっている」などの話は刺激になりますし、そうした情報が得られるコミュニティに入れたことはよかったな、と思っています。

――「ふぞろい」の執筆メンバーの話を聞いて、自分は試さなかったけれど「これはいいな」と思う2次試験向けの取り組みはありましたか。

1次試験で得た知識を、2次試験向けに有機的に関連づけて勉強しているメンバーが多いと感じましたね。1次試験はマークシート方式なので、用語の意味を正確に知らなくても選択肢が○か×かがわかれば得点できますが、2次試験は記述式なので、用語の意味を説明できるレベルまで理解しておかなければなりません。聞くと確かにその通りだな、と思いましたね。

他にも、最初の設問で事例企業の課題を問われた場合にその解決策を最終設問で書くという、一連の設問から「問いの流れ」を意識して、全体で一つの大きな解答を構成するという俯瞰した考え方は、大いに参考になると思いました。ずっと独学を続けてきたので、いろいろな人の勉強法を生で聞けた「ふぞろい」での経験は、とても新鮮でした。

工夫したタイムマネジメントで2次試験を突破

――ご自身の2次試験の勉強法についてお聞かせください。

私が書く字は読みにくいのですが、それ以上に痛感したのが、字を書くスピードの遅さです。その弱みを自覚していたので、試験時間80分間の枠内で問題を読み、解答を考え、そして答案用紙に書き切る、という一連の工程をしっかりタイムマネジメントしなければならないと考えました。

――具体的にはどのような勉強をしたのでしょうか。

1つの事例問題を何回かに分けて解くのではなく、80分間かけて印刷されたマス目に文字を書くところまで一気にやりました。平日であっても、です。勉強時間を確保し難い人のために、1つの事例問題を細切れにして解くという方法がありますが、私には向いていないと思ったんです。

字を書くのが遅いということもあるのですが、私の場合、解答骨子を固めていても、いざ書き始めると「やっぱりこう書こう」と考え直したくなるんですね。そのため、読解や解答骨子作成、記述などの時間配分を曖昧にすることにしました。そうすると、1つの事例問題を細切れで解かず、80分間の中で書き切るように勉強する必要があります。このように一気通貫の勉強を続けたことで、時間感覚が身につき、遅いなりに80分間でうまく着地できるようになったと思います。

――1次試験は3回受けましたが、2次試験は1回でパスしました。その要因は何だったと思いますか。

試験終了後の手応えはよくなかったのではっきりとはわかりませんが、前職の広告制作会社ではコピーライティングをしていたこともあり、文章を書くことに苦手意識はありませんでした。あとはやはり、本番さながらに80分間で過去問を解き続けたことでしょうか。

――最後に、中小企業診断士の資格を今後どう生かしていこうと考えていますか。

現在の会社の通常業務であるマーケティングリサーチだけでなく、その上流であるマーケティング戦略についてもクライアントに提案できるようになりたい、と考えています。そのためのコンサルティングスキルも、今後磨いていきたいですね。


鈴木 建

鈴木 建 取材の匠メンバー、中小企業診断士
北海道札幌市在住。1970年生まれ。2019年診断士登録。その後2年間診断士資格を活用することは無かったが、75歳まで健康に働き続けるため早い段階でセカンドキャリアに移ろうと、新卒で就職した地元電力会社を2021年に退職。2022年2月独立。現在は北海道を活動エリアとしてフットワーク軽く「診る・書く・話す」診断士像を模索中。


拓け!中小企業診断士の扉~受験奮闘編~カテゴリの最新記事