【第1回 経営に関する幅広い知識が得られる中小企業診断士試験】
情報処理会社の役員として多忙な日々を送りながら、2020年度中小企業診断士試験にストレート合格されたM.T.さん。第1回は、業務内容や中小企業診断士を志したきっかけについてお話をうかがいました。
責任重大な監査役業務
――診断士資格取得時はどのようなお仕事をされていたのですか。
診断士資格取得時は、情報処理会社の監査役として会社の経営を監査する業務を行っていました。
――監査役の具体的な業務はどのようなものですか。
会社役員の活動については全般的にチェックをしています。例えば、稟議書をチェックする際には、決済に至るまでのプロセスや決裁の内容が経営判断として適切なのかという観点から役員の活動を監査しています。それに加えて、私は、役員だけでなく社員とのコミュニケーションも大切にしています。社員のお話を聞いて、会社にほころびがないかどうかを見るようにしています。
――監査役の業務にはどのような難しさがあるとお感じになりますか。
就任当初は、会社法の知識が足りないと感じました。そのため、会社法の専門書を読んで最初から勉強し直しました。また会計監査人と折衝する機会がたびたびあったので、適切に会社の現状を伝えるために、会計の知識についても勉強を始めました。
また近年、監査役の判断の対象が広くなっていると感じています。昔は監査役というと適法に処理がされているかという判断が中心でしたが、コンプライアンス意識も高まる中で、近年は経営判断が株主にとって適切かという点についても監査する必要があると考えています。そのため、監査役業務を行うには法律のみならず経営に対する幅広い知識も必要です。
キャリアの棚卸しも兼ねた診断士受験
――監査役としてご多忙の中、なぜ診断士資格を取得しようと思ったのですか。
会社の監査のために経営全般の勉強をする中で、経営に関する勉強が楽しいと感じるようになったことがきっかけです。監査役の仕事に慣れていくなかで、もっと色々と知りたいと感じるようになっていました。
診断士資格を保有している友人がいたため、中小企業診断士という資格は聞いたことはありました。ある日、本屋で中小企業診断士のテキストを見かけ、パラパラと眺めてみましたところ、法律や会計・マーケティングに至るまで幅広い知識が掲載されていて、診断士試験の内容は、監査役業務の内容とも密接な幅広いものだと知りました。そこで、診断士資格の取得が、経営に関する勉強をさらに深めるきっかけになると感じました。
また、私もその時点で社会人歴30年で積んできた多様なキャリアを棚卸しする意味でも、今までのキャリアを棚卸しする意味でも、診断士試験を受験してみようと決意しました。
――診断士試験の勉強を始めて、本業に活かせる部分はありましたか。
経営の勉強がより楽しいと感じるようになりました。例えば、以前、企業再編に関わったことがあるのですが、中小企業診断士の勉強をする中で企業価値の計算方法を学ぶことで、より深く企業再編の理解が深まりました。診断士試験の勉強を通じ、経営に関するさまざまな理論について興味が沸いたため、実は、中小企業診断士を取得した現在も引き続き経営に関する勉強を継続しています。そして、勉強した理論を活かして、本業で使ってみたいという思いが強くあります。
D.S. 取材の匠メンバー、中小企業診断士
東京都在住。2021年度中小企業診断士試験合格。都内の法律事務所にて弁護士として勤務。法律事務所にて、顧問業務・訴訟を中心に企業法務を幅広く経験。法務のみならずビジネスについても頼りにされる弁護士を目指し、診断士活動にも積極的に従事している。受験時には、1次試験を2回、2次試験を1回受験の末合格。