【第3回 とにかく財務でつきぬけろ!】
過去の記事:第1回、第2回
中小企業診断士試験を一発合格し、税理士とのダブルライセンスを持つ佐藤太一さん。ダブルライセンス取得までに経験した苦労と診断士試験の秘訣を3回のシリーズでお届けします。第3回は、前回のつづきの診断士試験の受験と診断士資格 取得後のお話、受験生に向けたアドバイスをうかがいました。
2次試験の勉強時間は約500時間
――他士業をお持ちであれば診断士試験は楽だと思うのですが苦労はありましたか?
いやいや、ものすごく苦労しましたよ。下手するとストレート合格者としては誰よりも2次試験の勉強に時間を使ったかもしれません。2次試験の時は会社に泊まり込んで勉強しましたから。事務所の所長に応接室を使わせてもらう許可を得て、夜20 時に業務終了してから深夜0時 まで4時間勉強します。1時頃に椅子を並べて寝ると寝心地が悪いから5時くらいに目が覚める。そこからまた始業時間まで4時間勉強して、平日は合計で1日8時間の勉強を毎日やっていました。2次試験までの2カ月間で500時間ほど勉強したと思います。2次試験は本当に大変でしたね。
独力でどこまでやれるかを追求したい
――中小企業診断士を取得して何か変化はありましたか?
そうですね。もともと経営者と話すなかで自分の力不足を感じたのが診断士試験受験のきっかけでした。しかし、その後に会計事務所を退職 しています。事務所 では 5年間働き大きな不満はありませんでしたが、違うことにチャレンジしたくなりました。
――今後取り組みたいことは?
漠然とですが独力でどこまでやれるか、一人の職人としてどこまでやれるかを追求していきたいです。50歳、60歳になったときに後悔しない選択をしたいですね。
――もし独立開業するとしたら税理士?それとも中小企業診断士?
基本は税理士だと思います。業務も明確ですし、そちらの方が経験も長いので。ただ、それだけだと今後の時代の変化に対応できない。自分のスキルも落ちていくだろうと感じます。独立するとしたら税理士を軸にして診断士活動もしていきたいですね。
――独立開業するとして現在不足していることは?
もし本当に独立開業するとしたら、もっと色々なことを考えないといけないですね。自身の強みは何なのか。今、税理士・中小企業診断士に何が求められていて、その需要に対して自分がどのようなサービスを提供できるのか、そしてそれを見込み顧客にどうアプローチしていくのか。
答えのないことを考えていかないといけない。税理士や中小企業診断士の資格を取得して、今も日々勉強するようにしていますが、独立するとしたら知識を一つ二つ身に付けるよりも、もっと大局的な見地が必要だと思います。勉強に逃げて思考停止していないかと自問自答しないといけないですね。
とにかく財務をがんばれ!
――最後に、診断士受験生にアドバイスをお願いします。
これは前からずっと言っていることですが「とにかく財務をがんばれ!」ということです。特に2次試験の事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ は努力が報われづらいと思います。実際、私も勉強した割にあまり点数が伸びませんでした。でも事例Ⅳは努力をすれば点数が取れます。税理士だから言っているわけではありませんが、事例Ⅰから事例Ⅲ は50点代をなんとかキープしつつ財務でつきぬける!これが必勝法ですね。
Y.T 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1974年生まれ。大手電機メーカー勤務。入社から現在まで、一貫して証券関係のシステム開発に従事。登山が趣味で標高2,500m超からの景色に魅了され高山を好む。百名山の制覇が夢。2021年中小企業診断士登録。