【第１回 企業人としての危機感から中小企業診断士資格にたどりつく】
「中小企業診断士になったおかげで自分の世界観が広がり、趣味も仕事も充実の日々を送っている」と言われるのは、2014年から企業内診断士として活躍されている、姫路にお住まいの仲谷陽介さん。
第１回目は仲谷さんの現在の活動や中小企業診断士を目指したきっかけについて、お話をうかがいました。
趣味も研究会も充実の診断協会活動
――ご趣味のトレイルランニングは中小企業診断士になってから始められたとか
大阪府中小企業診断協会で「走る診断士」というサークルに入っています。中小企業診断士の認知度向上のために「走る診断士」と胸に書いたＴシャツで大会に出たりします。最初はリレーマラソンくらいだったのですが、「トレイルランニングって面白いよ」と誘われて、軽い気持ちで始めました。普通の道路を走るマラソンと違って、トレイルランニングは体力＆知力を使って自然豊かな山の中を走る競技です。なんやかんやと足掛８年くらい続いていますね。
――８年も走り続けているとは凄いですね！ かなり過酷なスポーツとお聞きしています
延暦寺の根本中堂をスタートして、距離50㎞、累積標高3,700ｍを走る比叡山インターナショナルトレイル大会に診断士仲間と一緒にチャレンジしています。2015年の第１回目から毎年エントリーしているのですが、根性が無いせいか僕だけゴールできていなかったんですよ。ここまできたら、このままゴールしない方が「仲谷陽介物語が伝説になる」と診断士仲間に言われてきましたが、2022年の大会でついに完走することができました！
――トレイルランニング以外の診断協会での活動について教えてください
2016年から４年間は青年部運営委員をやっていて副代表も務めました。今は実践イノベーション＆エフェクチュエーション研究会を中心に活動しています。大阪池田市の小規模事業者さんの支援や、子ども向けのアントレプレナーシップ教育プログラムBizWorld（ビズ・ワールド）に取り組んでいます。研究会つながりで補助金申請のお手伝いもやっています。今はコロナ禍のおかげでオンラインが当たり前になったので、企業内診断士の僕としては診断士活動が非常にやりやすくなりましたね。
突然、経理部のトップに。猛烈な危機感に襲われ診断士受験を決意
――そもそも中小企業診断士の資格を取ろうと思われた動機は何だったのでしょうか？
僕は1975年生まれの就職氷河期世代なんです。大学の教授の紹介で入社したのに、大学で学んだ専門性とは全く関連のない「経理部」に配属されました。思ってたんと違う…と、正直モチベーションが上がりませんでしたが、当時の上司に「これから社会人をやっていくには数字には強い方がいいよ」と諭されました。じゃあ前向きにやってみようかと簿記の資格をとったり、経理部の一員としてそれなりに頑張っていました。
ところが32歳の時に、転職を悩んでいた同期の同僚が退職してしまいました。しかも同じタイミグで、癌を発症した上司も治療に専念するため退職してしまったんです。中小企業なので僕を含めて4人ほどの部署でしたから、急に繰り上がりで僕が経理のトップになってしまいました。
――突然、経理のトップとは！ それは大変ですね
当然、銀行との折衝は僕が行くことになるのですが、銀行からの話がちっとも理解できないんです。社長に報告したら「お前なに言うとんか、さっぱりわからへんぞ」と言われる始末で。そこで企業人として猛烈に危機感を感じたんですね。簿記が少しできる程度では銀行に太刀打ちできない、経営全般のことが解らなければ僕が会社を潰しかねないと。そして見つけたのが中小企業診断士の資格でした。
――凄いですね。会社を潰しかねない…という危機感が勉強を始める動機だったのですね
事業のために銀行から億単位の借り入れをする際、連帯保証人の欄に社長が迷いなく自分の名前を書くのを間近に見たことで考えが変わりましたね。それまでは会社の体制が…とか文句ばっかり言っている側に同調しているような人間だったんですが、自分の人生を賭けて経営している社長の覚悟に「もっと頑張らなあかん」という気持ちにさせられたんです。
三宅 裕子 取材の匠メンバー、中小企業診断士
岡山県在住。学生服メーカーに勤務する企業内診断士。商品開発業務を経て現在はVMD（ビジュアルマーチャンダイジング）を軸に店作りを始めとしたアドバイスなど全国の販売店支援を行っている。年間出張日数は150日。 2022年１月に個人事業主を開業しパラレルキャリアをスタート。１級販売士、VMDインストラクター、カラーコーディネイター（色彩検定１級・UC級）、繊維製品品質管理士、SDGsカタリスト。
