【第3回 養成課程を通して得られたもの】
過去の記事:第1回、第2回

晴れて東洋大学の養成課程に進学されたH.S.さん。2年間の養成課程を通して得られたものは何だったのでしょうか? 第3回は養成課程でのエピソードと中小企業診断士を目指されている方へのメッセージをうかがいました。
コロナ禍での苦労
――実際に養成課程に入られて良かったことは何ですか?
財務の知識をさらに深めたり、実際の中小企業の店舗や工場の運営管理・企業戦略が学べたりと、自分の想定どおりの学習ができたことです。他にも、中小企業診断士を取得されている先生による実践に近い講義もあって、そちらも勉強になりました。
――逆に苦労したことは何ですか?
やはりコロナ禍の対応が大変でしたね。講義には演習と実習があるのですが、特に実習の日程が新型コロナウィルスの流行で後ろにずれ込んでしまい大変でした。
――コロナ禍ですと実習自体も大変かと思いますが、実際どのように実習をやられたのですか?
例えば製造業の実習の時に、診断先企業から「稼働日の工場内に直接入らないでくれ」と言われたことがありました。その時は工場の中にカメラを設置させていただいて、外から工場内部を見ていました。
――新型コロナウィルスの影響で環境がガラッと変わってしまい大変でしたね。
当時は大学構内に入るのにも管理が厳しかったですからね。演習も通常の講義室ではやらなかったんですよ。100人のセミナーをやるようなホールに私たち20数名だけがお互い大きく間隔を空けて座り、講義を受けていました。
養成課程を通して得られたもの
――コロナ禍でも演習や実習ができるよう、大学側も配慮されていたのですね。それでは、養成課程全体を通して一番良かったと感じたことは何ですか?
やはり一番は2年間一緒に頑張った仲間ができたことだと思います。会社ではこんなに純粋に同じ目的を持った仲間には簡単に出会えない、と本当に思いますね。長期間グループワークをともにやってきたことで、「この人はこういう人だ」と、理解したうえで付き合える。そして、一緒にやってきた仲間との関係が今でも続いていく、という。これは財産だと思います。2次試験や実務補習では手に入れられないものだと思うんですよ。
――ではズバリ、もう1度中小企業診断士試験を受験するなら養成課程を選択しますか?
はい。もし時間や金銭面に問題がなければ、もう1度通ってもいい、と思っています。
受験生へのメッセージ
――養成課程を検討されている方へメッセージをお願いします。
やはり言えることは「事前に情報をよく調べていただいた方がよい」ということです。大学などのオフィシャルな情報はもちろん、もし知り合いに卒業生がいれば、その方に直接話を聞くことが大事だと思います。また、説明会には必ず参加し、しっかりと情報を得て、養成課程がどういったものなのかをしっかりと自分で把握することも本当に大切だと思います。
――最後に、中小企業診断士を目指されている受験生へメッセージをお願いします。
私はやはり中小企業診断士を取得して良かったなと思っています。今まで出会ったことがない方々とつながれることがとても魅力で、中小企業診断士を取得したことで自分の人生が随分変わったな、と思っています。資格を取得しようと思った時は、単に「企業経営の知見を身に付けられたらいいな」と思っていたのですが、その枠を超えて色々できることがこの資格の最大の魅力だと思います。
一方で、受験にあたっては時間を生み出すことや費用面でのご家族の理解が重要です。養成課程であれば1~2年間通学することになるので、健康管理も大事です。そういった点を気にかけていただければ、凄く良い勉強になるのではないかな、と思います。

飯高 麻由子 取材の匠メンバー、中小企業診断士
福島県出身・福島県在住。2022年中小企業診断士登録。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。大学卒業後、金融機関に勤務。現職では事業承継や遺産整理といった相続関連業務に従事し、中小企業診断士と1級ファイナンシャル・プランニング技能士両方の知識をフル活用中。趣味は旅行、ドライブ、Twitter。