【第2回 守り抜いた家族との時間】
過去の記事:第1回
世界を広げていく中で中小企業診断士と巡り合った阿久津康史さん。家族を大切にという決意の下、勉強に邁進されていきます。第2回では、家族と勉強の両立の秘訣と挫折の中で感じた自信についてうかがいました。
勉強と家族の両立
――独学を選ばれた理由は何だったのでしょうか。
勉強を始めた2018年当時、娘が5歳、息子が2歳とまだ小さかったので、時間的にも金銭的にも通学はできないなと思っていました。共働きなんですよ、ずっと。妻も結構仕事を好きでやっているので、妻の時間を奪ってまで勉強に集中できなかったという理由で、通学の選択肢はなかったですね。
――家族の時間との両立はどうされたのですか。
毎朝4時起きを決心して勉強を始めました。子どもがいて騒がしくなる夜は勉強ができないと思って、「徹底して朝」を決意していました。平日は、子どもの寝かしつけをしつつ一緒に夜9時に寝て、朝は4時起きで4時半から6時半までは絶対机に向かっていましたね。土日だけは4時半にファミレスに行って8時くらいまで勉強しました。その代わり、日中は全く勉強しない。なので、家族との時間はほぼ奪わなかったと思います。早起きは苦手でしたが完全に根性です。寝る前に、翌朝の勉強道具を机の上にセットするなど工夫をしていました。
――意識的な息抜きなどはあったのでしょうか。
家族との時間が息抜きそのものでした。朝の勉強が終わるとヘトヘトだったんですが、子どもが外遊びが好きで色々な公園に連れていきました。そんなこともあり、家族から勉強への文句はなかったですね。
ストレートで掴んだ1次試験合格
――どのような工夫をされたのでしょうか。
勉強時間は必ず計測してモチベーションにしていました。具体的な勉強方法では、1次試験は練習問題と過去問を何回も解き、難しい問題は見切りをつけて確実に取れる論点や問題に集中していましたね。切り捨てていたのは他分野に跨らないような論点です。例えば、苦手科目だった経営情報システムの統計分野、あと経済学・経済政策では参考書を全く読まない分野もありました。必要な論点でテキストを読んでも理解が難しいものについては、内容を噛み砕いて紹介してくれるブログやマンガ等を読み漁って対応していました。
――そんな戦略が見事にはまり、1次試験を突破されましたね。
合計得点は490点くらいだった気がします。1次試験は勉強した分だけ結果で返ってきたという印象でした。
勢いのまま臨んだ2次試験
――一方、2次試験は220点で残念ながら…とうかがっています。手ごたえはどうだったのでしょうか。
苦しかったですね。ただ、手ごたえはあったんですよ、意外と。2次試験の勉強と最初に向き合ったのは1次試験が落ち着いた2019年の夏くらいでしたが、勉強中も試験中も「これできているんじゃないか」という独りよがりな手ごたえがありました。独学だったので、自分がどの位置にいるのか正直わかっていなくて。変な情報に惑わされたのもありました。2次試験は、運の要素とか、合格点前後で団子になっている受験生が多いという情報もあったので、それを楽観的に捉えちゃったんですよね。「次やれば受かる。大きく勉強方法を変える必要はない」と。
――そうして翌年に臨んだ2回目の2次試験はどうでしたか。
237点でダメでした。これは相当挫折して、本当に打ちのめされましたね。1、2ヶ月くらい中小企業診断士のことは考えたくもなかったです。受験を止めようとは思わなかったですけど、受験そのものと向き合いたくなかったんですよね。
――そこからまたやろうとなったきっかけは何だったのでしょう。
凹むところまで凹んだので。凹み切ったというところでしょうか(笑)不合格通知を受け取ってから数か月後、ふと1次試験のテキストをみた時に、すごく簡単に感じたんですよ。「結構覚えている。これだったら1次試験は余裕だな」と。もう1回やってみようとなったのは、1次試験の成功体験、貯金が大きかったです。
H.M 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1992年生まれ。東京都出身。町役場に6年勤務し健康増進啓発、秘書・特命業務、コミュニティバス導入、米軍基地対応や議会運営などに従事。現在は役所業務、まちづくりの経験を基に、自治体との取り組みを希望する企業への支援を行っている。業務や趣味で全国47都道府県に来訪しブログや動画プラットフォームで発信を続けている。2023年に中小企業診断士登録。