【松尾啓子さんインタビュー】すべての経験は中小企業診断士に通ず

【松尾啓子さんインタビュー】すべての経験は中小企業診断士に通ず

【第2回 多忙な養成課程の日々から得たもの】
過去の記事:第1回

【松尾啓子さんインタビュー】

松尾さんは、キャリアコンサルタントやITコーディネータの資格も併せ持つ、独立診断士です。20年以上勤めた出版社を退職し、2021年に法政大学大学院の中小企業診断士養成課程(以下、養成課程)に進み、中小企業診断士登録されました。第2回は、養成課程を選択した理由や、入ったからこそわかる養成課程の実態をうかがいます。

早く中小企業診断士になりたい

――2回目の2次試験を受けた後、なぜ養成課程を選ばれたのでしょうか?

早く中小企業診断士になりたかったためです。中小企業診断士は独占業務がないので、自分が得意なこと、好きなことを生かして働くことができます。会社では必ずしも自分がしたい仕事ができるとは限らないので、中小企業診断士になって働き方や仕事内容を変えたいと思うようになりました。

ただ、独立するには中小企業診断士としての実力が足りません。養成課程であれば、診断実習が5回あり、先生や先輩方とのつながりもできるので、早く独立できると思いました。最終的には会社の早期退職の条件に合致するようになったこともあり、退職して、養成課程に進むと決めました。

――養成課程の入学試験は難しいと聞きますが、いかがでしたか?

過去問が市販されていないので、とにかく情報がありません。法政大学大学院の場合は、プロジェクト計画書という修士論文の計画書と面接があります。幸い、前年に勉強仲間の一人が通っていたので、面接の様子やプロジェクト計画書の書き方を教えてもらい、合格することができました。

息つく暇もない、養成課程の始まり

――養成課程がスタートして、いかがでしたか?

こんなに大変だとは思いませんでした。授業は日曜以外の週6日。授業が終わった後には、必ずレポートを書きますし、グループ発表のための打合せもありました。さらに、養成課程と同時にMBAも取れるコースだったので、そのための修士論文も並行して進めなければならず、息つく暇もありませんでした。

診断実習で班長をした経験が自信に

――5回の診断実習で印象に残っていることはありますか?

特に班長になった時は、意見をまとめるのに苦労しました。診断実習は1社を7人の班で担当します。会社の同僚であれば、暗黙の了解もあるかもしれませんが、わずか数ヶ月の付き合いで、経験も年代も考え方も違うメンバーの意見を一つにまとめるのは難しかったですね。

――その中で、どのように班をまとめていったのでしょうか?

私の場合は、調整役として皆の意見を聞き、最後の責任は自分がとるということにしました。初めのうち、リーダーというと皆を引っ張る強いイメージがあり、例えば司会もすべて自分でやろうとしました。でも、私はもともと自分が引っ張るより、引っ張っている人をサポートするタイプ。そのやり方は向いていないと痛感しました。調整役になった方が進めやすいですし、班の皆もやりたいことができる。リーダーシップにもいろいろな形があると思って、やり方を変えました。

――その他に工夫したことはありますか?

グランドルールを作っていました。グランドルールとは、例えば、「人の話は遮らない」など班内のルールのことです。その中で、提案内容に迷った時は、自分たちが良いと思う提案ではなく、実習先のためになる提案かという視点で考えよう、ということは話し合いました。

――改めて、班長の経験を振り返って、いかがですか?

診断実習の最後に、実習先から「引き続き支援してほしい。」とおっしゃっていただきました。これは自信になりましたね。診断実習は、どれだけ実習先に刺さるか、やってみようと思えるかが大切です。内容は素晴らしいけど、うちではできない、では意味がありません。経営者は忙しくて振り返る時間がとりにくいので、提案を通して気づきを得ていただけることこそがやる意味と感じています。







山田 美鈴

山田 美鈴 取材の匠メンバー、中小企業診断士
千葉県出身、東京都在住。マーケティングリサーチ会社を経て、メーカーにて顧客満足度調査の企画・分析、営業支援等に従事。2022年に中小企業診断士試験に合格し、アパレルやサービス業を始めとする中小企業の経営診断に携わる。市場や事業者の実態をわかりやすく伝え、事業活動につなげることモットーに活動中。

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