【第2回 夫婦二人三脚での時間捻出術】
過去の記事:第1回
受験2年目に出産された安藤さん。3年目からはご夫婦で受験勉強に取り組みました。2回目の今回は、夫婦同時受験のエピソードや時間捻出法についてお話をうかがいます。
ご主人も診断士試験の勉強を開始
――3年目からはご主人も診断士試験に取り組まれたそうですね
はい、夫は全く違う仕事をしており、受験は別の理由からでした。私が受験勉強を始める前から二人で中小企業診断士の資格を取りたい、ただ受験するタイミングはずらそうと話し合っていました。ですが、私がなかなか合格しなかったため、夫も待ちきれず勉強を始めることになりました。
――そして迎えた3回目の結果は?
1次試験には合格しましたが、2次試験の当日、事例Ⅲの段階で諦めてしまいました。「あぁもう無理だ」と気持ちが萎えてしまい、事例Ⅳではもう精神が持たなかったのです。しかし、後日得点開示をしてみると事例ⅠからⅢまで合格点に達していました。あの時諦めていなければという悔しさで4年目を迎えました。夫も1次試験合格、4年目は二人で2次試験に挑戦することになりました。
――ご夫婦で挑戦して良かったことは何ですか?
仲間が一番身近にいるということです。特に2次試験は、それぞれが手に入れた情報を共有したり、実際にお互いの解答を見せ合い意見交換したりと、協力することができました。それによりお互いモチベーションを維持できたと思います。また、すぐ近くに監視の目があるのも良かった点です。私は子供と一緒に寝落ちしてしまうことが多く、そんな時、「今日はここまでやるんじゃなかったの!?」と言って起こしてくれたり、励ましてくれたりしました。お互いを理解しているからこそだと思います。
受験、仕事、家事、育児。二人三脚での時間捻出術
――逆に困ったことはありましたか?
やはり家のことが回らなくなりました。「こんな状態でいいのか?」といった話し合いも何度かしました。
――どうやって折り合いをつけたのですか?
どうしても二人とも資格を諦めたくなかったので、最後の1年はお金で時間を買うことにしました。お掃除ロボットやスチームアイロンなどの時短家電を買ったり、ベビーシッターを使ったり、食事も作らず、時には子供の離乳食ですら冷凍食品を使ったりと、勉強以外のことを徹底的に排除するようにしました。そう割り切って最後の1年は診断士資格の取得にかけました。
――二人で一緒に勉強していたのですか?
いいえ、交代で勉強していました。子供がまだ一人で寝られず、体を離すと目を覚まし泣いてしまうのです。ですから、常にどちらかが隣にいないといけない状況でした。当初は子供を寝かしつけたあと私が勉強するつもりでしたが、どうしても子供と一緒に寝入ってしまい、できませんでした。それならばいっそのことぐっすり寝ようと割り切ったのです。私が夜9時くらいに子供を寝かしつけながらそのまま就寝し、その間夫が勉強。2時頃になったら夫が起こしに来て交代し、そこから朝まで夫が眠り、私が勉強しました。
――朝方の勉強はどうでしたか?
2時に起きるのは大変でしたが、頭も冴え、効果的でした。また、寝る直前に学習したものは、朝もう一回反復すると記憶に残りやすいと何かで読んだことがあり、それを実践しました。確かに、記憶に定着することを実感しましたね。このように、勉強の効率と睡眠の質の両方が上がったと思います。受験4年目は、そういう生活を半年以上続けました。その中で自分なりの解法を少しずつ体得し、2次試験の本番へ向かっていきました。
湯山 聡 取材の匠メンバー、中小企業診断士
早稲田大学第二文学部卒業。ITコンサルタント、マーケター、商品企画を経て、現在電機メーカーにて新規事業開発を担当。2021年2月、診断士試験に合格。同年11月に中小企業診断士登録、東京都中小企業診断士協会城南支部に所属。2023年5月現在、製造業やデザイン業などの企業診断、創業や商品開発支援等の分野で活動中。自身も事業開発者であることから、経営者と同じ目線での共創がモットー。