【第1回 資格女子、みずから橋を焼く】
既に中小企業診断士事務所への転職が決まっている小林真実さん。第一印象通りのやわらかい受け答えで受験生活を振り返っていただきましたが、その内容は想像以上にストイックでドラマチックなものでした(まさか、受験のために!)。第1回は受験のきっかけや1次試験対策についてうかがいます。
新しいことを知るのが好き
――前職では建材メーカーで商品開発をされていたそうですね。まさに技術系のお仕事をバリバリされていた小林さんが、なぜ中小企業診断士に挑戦してみようと思われたのでしょうか。
英語やファイナンシャル・プランナーの勉強をしたり、会社で昇格に必要な資格を積極的に取ったり、社会人になってからもずっと勉強を継続してきました。昇格に必要な資格をすべて取り終えてしまって、次は何を勉強しようかと考えたときに、このまま会社で上の立場になっていくにしても、転職をするにしても、経営であればどの会社でも必要になる知識だろうと考えたんです。2021年の夏頃のことでした。
――すでに多くの資格に挑戦されていたのですね。かなり勉強慣れされていたことでしょう。
そうですね。資格のための勉強方法はある程度わかっていたと思います。
――勉強に積極的になったきっかけやモチベーションがあったのでしょうか。きっと、会社に言われたから勉強した、というわけではないのだろうと想像するのですが。
もともと知識欲が強いのかもしれません。勉強自体はあまり好きではないんですが、新しいことを知ったり、今までできなかったことができるようになったりすることに、嬉しさや喜びを感じる性格なので。
自分を追い込む勉強スタイル
――経営の勉強をするならMBAなど他の選択肢もあったと思うのですが、中小企業診断士試験を選んだ理由を教えていただけますか。
そもそも勉強が好きなわけではないんです。それに勉強ってしてもしなくても構わないものですよね。でも、資格試験なら必ず試験日という納期があります。それならきっと嫌でも勉強するだろうと思いました。先に受験を申し込んでしまって、やらざるを得ない状況に無理やり自分を追い込むことで、これまでもいろいろなことを勉強してきたので。
――そして、いざ勉強してみたら楽しかった、という経験を繰り返されて、資格への挑戦にやりがいを感じるいい循環ができていたのでしょうね。
ええ、そうですね。
アウトプット重視の1次試験対策
――2021年の夏に受験を思い立って、2022年に合格されたということは、ストレート合格ですね。勉強はいつ頃始められたのでしょう。
2021年の夏にスタディングの中小企業診断士講座を申し込んだんですが、思いのほか仕事が忙しくなってしまって、本格的に勉強を始められたのは2022年の2月頃でした。スタディングは講義がわかりやすくて、勉強のとっかかりとしてはとても良かったです。でも、それだけでは問題演習が足りないように感じたので、「スピード問題集(TAC出版)」と「過去問完全マスター(同友館)」を7科目分揃えました。
スタディングの教材を一通り終えたのが3月の終わりごろです。4月以降は市販の問題集を使ったアウトプット重視の勉強に切り替えて、その後はテキストを読んだり講義動画を見たりということはほぼしていません。「スピード問題集」と「過去問完全マスター」を並行して、それぞれ5回以上は取り組んだと思います。
――かなりの演習量ですね。どれくらいのペースで勉強されていたのでしょう。
私、実は診断士試験を受けるために会社を辞めているんですよ。ちょっと頭おかしいなって自分でも思うんですけれど(笑)。
渡邉智子 取材の匠メンバー、中小企業診断士
笛と猫を愛する企業内中小企業診断士。大阪大学大学院理学研究科生理学専攻前期課程修了後、製薬メーカーに入社し、創薬研究、製品戦略、経営企画に従事。盛田昭夫氏の『Made in Japan―わが体験的国際戦略』に感動して以来、国際ビジネスに強い思いを抱く。将来は中小企業の海外展開をサポートしたい。