【小林真実さんインタビュー】自分を信じて「地獄の1年」を乗り越え、新しい世界へ

【小林真実さんインタビュー】自分を信じて「地獄の1年」を乗り越え、新しい世界へ

【第2回 諦めない自分を信じて】
過去の記事:第1回

【小林真実さんインタビュー】

受験勉強のために会社を辞めたという、衝撃の告白に驚かされた前回のインタビュー。第2回はその理由や、「ベスト答案」を活用した2次試験対策について伺います。

成功体験に裏付けられた信頼

――転職の動機は後で伺おうと思っていたのですが、まさか受験のためだったとは。理由をお聞きしてもよろしいでしょうか。

仕事が忙しくて勉強時間がとれなかったので、仕事をしながらの受験では合格まで何年もかかってしまうと思ったんです。それに、当時はちょうどコロナ禍で実家に帰れず、大好きな家族にも会えなくなっていた時期で、地元に戻りたいという気持ちが強くなっていました。中小企業診断士なら独立もできるということを知って、それなら地元に帰って独立すればいいじゃないかと。

――でも、合格する保証はないわけですし、大変な勇気ですよね。途中で挑戦を諦める人も多い試験です。合格する自信があったのでしょうか。

もしかすると1年では厳しいかもしれないとは思いましたが、私はきっと合格するまで諦めないから、いずれ必ず合格するだろうと。少なくとも2年以内には合格するつもりで会社を辞めました。それぐらいの努力ができる自信はあったので。

自分で決めたことを途中で諦めた経験がほとんどないんです。たとえば私、大学1年生のときには落ちこぼれて、進級もあやしい状況でした。でも、留年したら親に迷惑をかけるし、友達と一緒に授業も受けられなくなる。それはまずいなと思って、毎日学校帰りに図書館にこもってひたすら勉強したんです。そうしたら、いつのまにか学年でも上位の成績になっていました。

――そういう成功体験があったからこそ、自分を信頼できたのですね。1次試験は一回で合格できると思っていましたか。

そのつもりでした。でも1次試験当日、最初の科目の経済学が全然解けなくて。その次の財務・会計も含めて1日目の科目が全然できなかったので、これは落ちたかもしれないと思いました。自己採点しているときには手が震えましたが、結果は合格だったのでほっとしました。

自分なりのベスト答案作り

――1次試験の後に2次試験の勉強を開始されたとのことですが、どんな勉強をされたのでしょう。

まず2001年までの過去問をすべて印刷しました。事例Ⅳはほぼ毎日解くようにして、それ以外の時間に事例Ⅰ~Ⅲに取り組みました。縦解きっていうんでしょうか、事例Ⅰなら事例Ⅰだけを5年分まとめて解く、というような進め方です。直近10年分は最後に答案を作成するところまで解いて、それより古いものは、問題文と与件文を読んで解答骨子を頭の中で組み立てるところまでをやりました。

そうやって自分で過去問を解いた後に、「ふぞろいな合格答案(同友館)」シリーズや「「まとめシート」流!解法実況(エイチス)」の模範回答と見比べて、自分でもこれなら制限時間内に書けるだろう、という自分なりのベスト答案を作成するんです。それを問題文と一緒にExcelシートにまとめて、全年度分を一覧表にしました。一覧にすることで、問われ方の傾向というか、なんとなく「こういうことが聞かれるんだろうな」というイメージを持つことができたと思います。実際に試験を受けるときには、それがとても役に立ちました。

――なるほど、確かにとても力がつきそうです。一方で、一番苦労されたのはどの辺りでしょうか。

やっぱり気持ちですね。会社を辞めているからお金もどんどん減っていきますし、合格の保証はありません。去年の1年間は本当に地獄でした。覚悟はして会社を辞めたんですが、実際にその状態になってみると想像以上に辛かったです。仕事をしながら勉強するのは大変だと思いますが、仕事をしていないのに勉強があまり進まなかったりすると、ものすごく落ち込むんです。そういう気持ちのコントロールが一番大変でした。自分では後悔していませんが、他の方にはおすすめしないですね。

――その苦労はどうやって乗り越えられましたか。

ひたすら耐えました。もう受かるしか道はないんだ、って。






渡邉智子

渡邉智子 取材の匠メンバー、中小企業診断士
笛と猫を愛する企業内中小企業診断士。大阪大学大学院理学研究科生理学専攻前期課程修了後、製薬メーカーに入社し、創薬研究、製品戦略、経営企画に従事。盛田昭夫氏の『Made in Japan―わが体験的国際戦略』に感動して以来、国際ビジネスに強い思いを抱く。将来は中小企業の海外展開をサポートしたい。

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