【小林真実さんインタビュー】自分を信じて「地獄の1年」を乗り越え、新しい世界へ

【小林真実さんインタビュー】自分を信じて「地獄の1年」を乗り越え、新しい世界へ

【第3回 涙の合格発表、そして新しい世界へのパスポート】
過去の記事:第1回第2回

【小林真実さんインタビュー】

会社を辞めて退路を断ち、不安から抜け出すには合格するしか道はない状況に自分を追い込んだ小林さん。第3回は2次試験当日から合格発表までの気持ち、そして将来の夢について伺いました。

悪夢の事例Ⅳを乗り越えて

――苦しい受験勉強を経て迎えた2次試験当日はいかがでしたか。

事例Ⅲまではなんとか耐えたかな、と思ったんですけれど、事例Ⅳで思い切り心くじかれまして。問題を見た瞬間に涙が出るかと思いました。いったん頭が真っ白になりました。

――2022年度の事例は難問でしたからね。体力的にも精神的にもギリギリの4科目で涙が出そうな問題を見て、そこからどうやって立て直したんでしょう。

とにかく白紙で出すわけにはいかないと思いました。合格するためには何かしら解答欄を埋めなければいけないって。部分点でもいいからとにかく書けることを書くんだ、と頭を切り替えました。ここで諦めたらもう1年頑張るしかなくなってしまう。やるしかないと思いました。

――試験が終わったときの手応えはいかがだったでしょうか。

もう、完全に落ちたと思いました。事例Ⅳもできなかったですし、それ以外の事例でも本当にあの答えでよかったのかと不安で。再現答案を作る気にもなれませんでした。なので、とにかく来年に向けて苦手の事例Ⅳを補強しようと、2次試験の合格発表前に簿記3級と簿記2級を取得しました。

――ちょっと待ってください。猛勉強の末に2次試験を受験して、帰ってきてすぐに簿記の勉強を始めたということですか。しかも3級と2級の両方?

何もせずにはいられなくて。何かしていないと、頭がおかしくなってしまいそうだったので。合格発表までに、「次はいけるぞ」という状態にしておきたかったんです。

――そして、合格発表の日を迎えます

10時頃ですかね。自宅の自分の部屋で、一人で見ました。どうせ自分の受験番号はないんだろうな、と思いながら震える手で携帯をスクロールしたら、あったんです。番号を見た瞬間に涙があふれてきました。でも、本当に番号が合っているか確信が持てなくて、母のところに行って一緒に見てもらって、一緒に泣きました。

新しい世界へのパスポート

――さて、6月から中小企業診断士事務所に所属予定とのことですが、合格してから就職活動をされたのでしょうか。

はい。知り合いの中小企業診断士の方に、合格したのでぜひ働かせてほしいとお願いして、OKをいただきました。

――これからどんな仕事をしていきたいと思っていらっしゃいますか。

私の地元では、若い人が大学進学などを機に県外に出てしまうことが多いんです。なので、地元で働いたり起業したりしたい、と若い人に思ってもらえるような地域にするためのお手伝いを何かできたらいいな、と思っています。

――そのための最初の一歩について、何かイメージをお持ちですか。

今はまだ何もできていないんですけれど、地元の市役所や商工会議所には挨拶に行かせていただいて、こういうことをやりたいんです、っていうお話だけはさせてもらいました。

――若くてやる気のある人が突然やってきて驚いたでしょうね。でも、喜ばれたのではないでしょうか。

ええ。あなたの取り組みはきっと地域の活性化につながると思います、と言っていただけました。

――勇気が湧いてきますね。それでは最後に、これから中小企業診断士に挑戦する皆さんにメッセージをお願いいたします。

合格してから、前職では会えなかったような人と出会えたり、自分でも思ってもいなかったことができるようになったりすることを実感しています。新しいパスポートをもらったように感じていて、今はとても楽しいです。まだお仕事はできていないですけれど、これからのことを考えるとワクワクしています。ぜひ皆さんも合格をつかんで、新しい世界に足を踏み入れていただきたいなと思っています。






渡邉智子

渡邉智子 取材の匠メンバー、中小企業診断士
笛と猫を愛する企業内中小企業診断士。大阪大学大学院理学研究科生理学専攻前期課程修了後、製薬メーカーに入社し、創薬研究、製品戦略、経営企画に従事。盛田昭夫氏の『Made in Japan―わが体験的国際戦略』に感動して以来、国際ビジネスに強い思いを抱く。将来は中小企業の海外展開をサポートしたい。

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