【第2回 様々な工夫を凝らした勉強方法】
過去の記事:第1回
中小企業診断士で現在はIT企業にお勤めの井部雅章さん。自分自身の価値を高め、人生の可能性を広げるために挑んだ中小企業診断士。見事合格に至るまでの秘訣を3回のシリーズでお届け。 第2回目は1次試験、2次試験それぞれの具体的な勉強方法に迫る。
過去問を何度も繰り返す
1年目は4月から予備校に通い始める。予備校からは受験までの期間を考慮して、1年半コースをすすめられたが、最短での目標実現のため1年コースを選択する。予備校の講義は週2回、1コマ2時間半。詰め込む量に圧倒され、テキストをすべて覚えるのは難しいと諦め、勉強を始めてから早々に過去問を中心に取り組む学習スタイルとした。講義の前後は予習復習にあて、週末は自主学習で過去問を何度も繰り返す。1年目は過去問を各科目3~6回繰り返した。結果的には過去問を重視したことで問題に慣れることができ、本番で焦らず臨めたという。
他人に説明することを想定してみる
1次試験で苦労したことは財務・会計と経済学・経済政策でどうしても理解できない部分があったこと。1度解けるようになっても類似問題が解けない箇所があった。同じ悩みを抱える受験生は多いはずだがこの時の井部さんの工夫は興味深い。理解に苦戦する部分は、あえて第三者に説明する想定でノートにまとめ直したという。そうすることで、要点の整理・理解につながり、苦戦する箇所を克服できた。
勉強記録を力に変える
もう一つ面白い工夫がある。「受験期間にどれくらい勉強しましたか?」と問うと、「ちょっと待ってください」と言い、PCで何やら検索を始めた。しばらくすると「えっとですね、1年目の総勉強時間は約700時間です」と答えがあった。いつ、何をどれくらい勉強したか、日々細かく記録していたという。勉強記録をつけることで、①日々積み上げていくモチベーションにつながる、 ②勉強に費やした時間を無駄にしたくないとやめられない気持ちになる、という2つの効果があったという。
2次試験のスタートは自己採点20点から
さて、様々な工夫を行い4月から勉強を始めて1年目は3科目合格。2年目は予備校の先生と相談し科目合格制度を活用して4科目合格、2次試験挑戦の切符を手に入れた。自己採点で合格していたことから1次試験終了後すぐに2次試験の勉強を開始した。2次試験の勉強を始めてすぐに、正解がわからないことに大きな戸惑いを感じた。特に予備校の解説を聞いてもどうしても腑に落ちない部分があった。そこで市販の問題集も併用し、自分が納得できる解答を信じることにした。最初に解いた過去問は自己採点で20点という状態。時間内に解答を作り出すことが全くできなかったという。
解答の型を自分なりに作り上げる
そんな状況からどのようにして乗り越えたか。まずはとにかく慣れが必要だと考え、できるだけ本番に近い形での練習を繰り返した。2次試験は時間内に制限字数に合わせて解答を作り出す必要がある。過去問を解くときは毎回、ネット上にある解答用紙と問題用紙を印刷し、時間も測り限りなく本番に近い形で取り組んでいたという。徐々に慣れていったがそれでも合格できる解答まではまだまだ距離があった。転機となったのは、解答の型をつくりはじめてから。課題が問われる設問、提案が問われる設問、効果が問われる設問など、それぞれの設問のパターンに応じて、 解答の型を作った。解答の型に与件文のキーワードを埋め込むことで、安定した解答ができるようになったという。この型は予備校の解答や市販の問題集などから自分なりに腹落ちできるものをゼロから作り上げていった。
最終的には2次試験の過去問は6年分を3回繰り返した。解いた過去問はすべてファイリングすることで、記録として残していった。様々な工夫で試験を乗り越えていった井部さん。次回(最終回)は受験期間をどんな想いで過ごしていたのか、また合格後の活動などに迫る。
川久保 理 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1990年神奈川県生まれ、千葉県在住。金融機関に勤務し、法人営業、ストラクチャードファイナンス、企業内人材開発と多様な業務を経験。千葉県中小企業診断士協会に所属。趣味はサッカー、サーフィン、キャンプ。