税理士事務所に勤務しながら、途中休憩を含め9年かけて中小企業診断士の合格を勝ち取った、水村聡さん。一度は挫折しながらも復活を遂げ、さらにメンタルを克服してきた経緯を、3回シリーズに記す。第3回は、1次試験再々チャレンジから現在の活動状況をまとめた。
診断士試験2023年
1次試験から再々スタート
翌2023年は1次試験からの再々挑戦となった、しかし前回とは行動が全く違ったのだ。休養を取るどころか、定例になっている1次試験の知識のメンテナンスを自然に始めたら、2023年に向けての勉強も意識することはなく直ぐにスタートでき、まったく心配はなかった。津田先生からも「2次試験で待ってるから」と言われた。
その結果、1次試験は、7科目合計521点と高得点での合格となったのだ。論点ごとに過去問を解いていたので、こういう風に引っ掛けるとか、出題パターンがわかるまでになっていたのである。2次試験対策は、2022年同様TAC名古屋校で受講していた。講義後の勉強会のサブリーダーに選ばれ「ほめ達」を使いチームのモチベーションを上げることができ、それが自分にも良い影響となった、だめだしするよりほめた方が組織にはプラスだとわかった、受験仲間と切磋琢磨し互いに励ましあうことで実力を高めあい、全員で合格しようという、「団体戦」の組織文化ができていた。その結果2次試験は、事例Ⅰ(67)、事例Ⅱ(65)、事例Ⅲ(49)、事例Ⅳ(62)合計243点で合格。メンタルの不調が現れることなく平常心で臨めたのだ。
なぜメンタルの不調が現れなかったのか? それは受験地を名古屋にしたからである。名古屋で受験するとTAC名古屋校の受験仲間がみんないるので、背中を押してもらえた。今まで2次試験はすべて大阪で受験していた、その時は知り合いが誰もいない、サッカーでいうと海外の超アウェーな感じで力が出せるわけがなかった、名古屋で受験すると完全ホームでの試合となりサポーターがみんないるわけで、まあなんとかなるという感じで試験に臨むことができたのだ。津田先生から「名古屋で2次試験を受けてね」と言われていたのだった。
合格後の活動
合格後は直ぐに「中小企業診断士試験一発合格道場」に体験記を送り、応募して審査を通過しメンバーになった。「サトシ」のハンドルネームで「2次ベテにならないための教訓シリーズ」が好評だ。2週間に1回のブログ更新は大変かと思いきや、既に残りの分も書き上げてあるそうだ。
多年度生によくあることだが、受験中から予備校の講師や合格者からいろいろな情報を得ているので、これはやりたい、これはやめておこうなど既に決めてあり、合格後の行動がともかく早いのだ。さらに「タキプロ」でも活動が始まり多数のプロジェクトに参加の予定で、乗り鉄の趣味を活かしてのフットワークの軽さで飛び回り、超多忙な1年になることが想像できる。
仲間をつくろう
受験生にアドバイスを聞くと、「ともかく仲間をつくること、積極的に動くこと、仲間を作ると全然違うので」と水村さんは言う。診断士試験は、国家資格を得るだけでなく、挫折や苦悩などさまざまな体験をして合格を勝ち取ることで、自信や思いやりの心も鍛えることができる試験である。あなたが挑戦する価値は十分にある。
駒井 孝充 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1965年生まれ、三重県在住。大学卒業後、中小機械メーカーに入社。機械設計28年経験後、生産技術、生産管理に従事。2023年5月中小企業診断士登録、三重県中小企業診断協会所属。4つの専門部会に所属し研鑽中。60歳定年退職を機に独立予定、人生100年時代まだまだこれからと考えている。趣味はマラソン。