【第1回 中小企業診断士資格との出会い】

50代後半で中小企業診断士に挑戦し、3回目の受験で合格。もともと新聞記者の経歴を持つ軍地哲雄さん。言葉を武器にキャリアを積み重ね、中小企業診断士としても活躍している。
第1回は、資格との出会いについて話をうかがった。
企業の武器を言葉で引き出す
「経営者や従業員のみなさんの暗黙知を形式知にするお手伝いをしています」と語る軍地さんは、一般社団法人千葉県中小企業診断士協会に所属し、企業内診断士として活躍中だ。
2024年9月、中小企業診断士に登録した軍地さんの主な活動は、ローカルベンチマークワークショップなどに参加し、中小企業の知的資産を対話によって引き出すことだ。知的資産とは、企業のブランド力や職人さんの腕や暗黙知など、数字に表れない資産のことである。
ワークショップを通じて、経営者や従業員のみなさんから財務諸表を見てもわからない経営の武器を引き出し、言葉にして、強みとして知ってもらうことで中小企業の成長に貢献している。
恥ずかしさを行動に変え、資格に挑戦
軍地さんが、診断士資格を知ったのは、出向先で管理本部長という立場を任されたことがきっかけだった。スポーツ取材を中心に新聞記者としてキャリアを積んできた軍地さんは、「財務・人事・労務などの知識がないまま、川の対岸に来てしまった感覚」と語った。
管理本部の業務をする際に、実務をしているメンバーと比べて、自分は圧倒的に知識がたりないと劣等感を感じていた。一方で、税理士・司法書士・行政書士など多くの士業のみなさんと接する機会が増えたのである。
士業のみなさんと接する際に「部下たちの手前、ちゃんと話ができないと恥ずかしい」と感じ、自分ができることを考え、財務・人事・労務を幅広くカバーできる国家資格×士業という切り口で探したときに、中小企業診断士をみつけた。
「実は私それまで中小企業診断士という資格を知らなくて」と恥ずかしそうに語っていた。これが、診断士資格との出会いだった。
しかし、試験の難易度の高さにしり込みしてしまい、士業ではなく、ITパスポートの試験に挑戦していた。きっかけは、軍地さんが研修講師として参加していた、新入社員向けの研修だった。軍地さんは、社会人の心構えや就業規則の説明を行っていた。自分が教える範囲外ではあったが、新人への課題を「自分ができていないのは、恥ずかしい」と勉強を始めた。文系出身であることを不利な要素と感じていたが、テキストと問題集を買い、1回で合格をすることができた。この出来事をきっかけに資格を取得する快感に目覚め、士業の資格に挑戦することを決めたのである。
中小企業診断士は、未来をつくる仕事
軍地さんは、数ある士業の中で、なぜ中小企業診断士を選んだのか。
もともと、士業の方と会話するための知識が欲しかった。そのため、業務で関わる士業の方と同じ資格に挑戦することも考えていた。
いくつかの士業について調べる中で、他の士業と中小企業診断士は、業務で対象とする時間軸が違うことに着目していた。他の士業は、出てきた結果に対してどうしたらいいかを考える「企業の過去を相手にする仕事」と感じていた。一方で、中小企業診断士は、今後どうしていきたいかを経営者と一緒に考える「未来をつくる仕事」と感じていたのである。
「中小企業診断士の資格について、自分の中ですごく印象に残った話があります。中小企業診断士は、経営の未来について話ができる士業であると聞き、これだ!と思いました」と、当時を振り返り嬉しそうに話していた。
こうして、未来をつくる仕事ができることに魅力を感じ、中小企業診断士の勉強を始めることを決意した。

石澤 和浩 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大手自動車製造業の生産技術職として11年間従事し、業務知識やものづくりの難しさを学ぶ。その後、コンサルタントへ転職し、バリューチェーンの将来像策定をクライアントと共創することに注力している。経営の基礎知識を身につけるため、中小企業診断士を目指し2025年度試験に合格。製造業の実務経験×コンサルタントの俯瞰力を活かし、「日本のものづくりを元気にしたい」という思いで、中小企業診断士として方向性を模索中。
