【第2回 己を知り、磨きあげた試験対策】
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50代後半で中小企業診断士に挑戦し、3回目の受験で合格。もともと新聞記者の経歴を持つ軍地哲雄さん。言葉を武器にキャリアを積み重ね、中小企業診断士としても活躍している。
第2回は、勉強方法や試験への向き合い方について話をうかがった。
得点源を徐々に失う恐怖
「大学が私立文系だったので、数式を解くことは、高校2年生までしかやってないんですよ。自分で数字を計算して選択肢を選ぶ問題が、ほぼできなかったんです」と当時の苦労を語った。
2021年4月に勉強を始め、2021年8月の1次試験を受けるために、自分で時間をコントロールできる勉強方法を選択した。昼休みや移動時間に、ひたすら動画を見て、音声を聞くことを繰り返した。徹底的な隙間時間のフル活用である。科目合格は、中小企業診断士のベースになると興味を持った「企業経営理論」と業務で使っていた「経営法務」の2科目だった。
2年目は、1年後を意識し、初めて2次試験のテキストや過去問題集を確認した。1次試験が終わった後では間に合わないと感じ、資格学校の2次本科生になり、動画視聴で勉強を始めた。結果は、「経営情報システム」と「中小企業経営・中小企業政策」の2科目合格「中途半端になってしまったのかも」と当時を振り返った。
そして、背水の陣で挑んだ3年目、「財務・会計」「経済学・経済政策」「運営管理」の苦手3科目がまるまる残ってしまった。「その時に一番追い詰められましたね」と年々得点源を失う中でも、戦略的に合格を勝ち取る姿勢は、変わらなかった。
合格を勝ち取るための戦略的目標
自分の実力や試験中の時間管理を意識し、目標点を設定することを心がけていた。「どうしたら平均60点に届くか」を考え、科目ごとに分解して目標を設定していたのである。
「あまり苦手を克服しようというのを意識しすぎない。正直、当時50代後半になっていたので、そこまで自分は変われないなぁ」と考えていたのだ。全科目をフラットにしようと思わず、デコがあって、ボコがあっていい、トータルで目標点を超えるイメージを強く持つようにしていた。
苦手科目に対する取り組み方法をうかがうと、「受験勉強に禁句かもしれないですけど、捨てるところは捨てる」と少し気を使いながら語っていた。
「深追いしすぎないことも、一つの戦略」知識で答えられる問題は確実に得点し、どうしても計算が必要な問題は、正しいと確信できるような問題を選び確実に得点を積み重ねていた。
文章のプロは2次試験を楽しむ
「2次試験は、新聞記者の経験が活きました」と2つのポイントを教えてくれた。
1つめは、新聞記者として記事に一本見出しを立てる経験だ。これは、問題文・与件分から必要なキーワードを探すことや重要な情報を選り分けることに活きた。
2つめは、新聞を毎日読み書きする経験だった。最初に時間をかけて問題文を読み、文脈からこの文章はどこかで使うだろうと伏線回収を意識しながら読むことができた。「2次試験は、1次試験よりよっぽど楽しかったです。特に事例Ⅰが好きでした。何しろ数字が出てこない」と緊張感がある試験そのものを楽しむことができたのである。
「ただし、事例Ⅳは本当に恐怖でしたね」と笑いながら語っていた。
迎えた2次試験の合格発表で、自分の番号を見つけたときの気持ちは、「信じられない」だった。事例Ⅳは、絶対40点取れていないと思い、養成課程の願書を出して受験料も払っていた。 「通知のはがきが来て、やっと実感し、慌てて口述試験の準備を始めました。2次試験から1度も問題用紙を開いていなかったので、これも結構大変でした」と語る軍地さんは、どこか満足気だった。

石澤 和浩 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大手自動車製造業の生産技術職として11年間従事し、業務知識やものづくりの難しさを学ぶ。その後、コンサルタントへ転職し、バリューチェーンの将来像策定をクライアントと共創することに注力している。経営の基礎知識を身につけるため、中小企業診断士を目指し2025年度試験に合格。製造業の実務経験×コンサルタントの俯瞰力を活かし、「日本のものづくりを元気にしたい」という思いで、中小企業診断士として方向性を模索中。
