【第3回 “言葉”を使って中小企業を支える】
過去の記事:第1回、第2回

50代後半で中小企業診断士に挑戦し、3回目の受験で合格。もともと新聞記者の経歴を持つ軍地哲雄さん。言葉を武器にキャリアを積み重ね、中小企業診断士としても活躍している。
第3回は、言葉を武器にする中小企業診断士として目指す姿について話をうかがった。
自分の強みを活かす場所探し
もともと、新聞記者が中小企業診断士になっても、能力を活かすことができないと思っていた。「新聞記者×中小企業診断士って何だろう。というのをずっと探していたんですよ」と軍地さんは、当時を語った。
新聞記者は、「知らないことを知っている人に聞いて、自分よりも知らない人に文章にして伝えるのが仕事」である。新聞記者としての強みは、インタビューであり、取材そのものだ。その中でも、持ち前の記者気質を活かし、知りたいことをどんどん聞くことが得意だ。「自分の知らないことを聞くと、どうしてですか?どうしてですか?どうしてですか?と聞いてしまう」のである。
中小企業診断士として活動をする中で、知的資産経営支援に出会った。支援内容は、「経営者のみなさんにインタビューを行い、自分では当たり前と思っていることが、実は当たり前ではない。そこは御社の強みです」と指摘してあげることだ。人の話を聞き、言葉を使い相手に伝えることに親和性を感じたのである。中小企業診断士として、新聞記者としての強みを発揮できる分野と考え注力を始めた。
中小企業診断士としての差別化
「正直、いまだに数字が苦手です」と軍地さんは笑いながら語った。
資金繰りや経営改善のように数字を扱う仕事を得意とするのは、金融機関や理系出身のバックグラウンドを持つ中小企業診断士で、たくさんいると考えていた。同じ道を目指しても自分の強みにならないのだ。その中で、自分の得意分野を最大限に生かそうとすると、言語化である。
経営者のみなさんが、会社の強みや推進したいことを、言葉にして伝えることは大事なことだ。事業計画書の作成、融資の依頼、商談などの社外向けだけでなく、従業員のみなさんに経営理念を浸透させることなど社内向けの発信は、数字じゃなく言葉で伝えることが必要だ。
経営者のみなさんの思いを言語化することは、他の方も理解できるように言い換えたり、整理したりすることである。このようなご支援であれば強みが活き、やりたいと考えていた。まだ、お客様を探す方法やビジネスモデルの確立はできていない。しかし、中小企業診断士としての道筋は、この方向にあると信じていた。
「人間は言葉で生きています。言葉で思いを巡らせ、言葉で感動する。人の心を動かすのは、数字じゃなくて言葉です」と、力強く語る軍地さんは、言葉を武器に中小企業のご支援を続けたいと考えている。
文系受験生へのメッセージ
最後に軍地さんの経験から、受験生へのメッセージをいただいた。
50代後半に自分の限界がわかった状態で勉強をスタートしたため、「捨てる、割り切る」と考えてやってきた。しかし、あえて文系だからと自分で自分の限界を定めなくてもいいと思っている。
一通りやってみてダメだったら戦略を立ててメリハリをつけるような考え方も必要だ。
7科目が何のためにあるかを考えると、必要だから存在している。中小企業診断士として名乗るには、お作法として避けては通れないところもあるので「好きになる努力が大事」恐れず、チャレンジをして欲しいと語った。
軍地さんは、言葉を使い記事を通じて、多くの読者を楽しませてきた。これから先も“言葉”を武器に戦略的に自分のビジネスモデルの道筋を見つけるのだろう。

石澤 和浩 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大手自動車製造業の生産技術職として11年間従事し、業務知識やものづくりの難しさを学ぶ。その後、コンサルタントへ転職し、バリューチェーンの将来像策定をクライアントと共創することに注力している。経営の基礎知識を身につけるため、中小企業診断士を目指し2025年度試験に合格。製造業の実務経験×コンサルタントの俯瞰力を活かし、「日本のものづくりを元気にしたい」という思いで、中小企業診断士として方向性を模索中。
