【柴田佑樹さんインタビュー】妻の支えとスキマ時間で掴んだ合格。中小企業診断士資格が広げた総務の可能性

【柴田佑樹さんインタビュー】妻の支えとスキマ時間で掴んだ合格。中小企業診断士資格が広げた総務の可能性

【第3回 知識を一つのストーリーに。〜プロボノ活動の経験と次なるステージへの展望〜】
過去の記事:第1回第2回

【柴田佑樹さんインタビュー】

全3回にわたってお届けする柴田佑樹さんのインタビューも、今回がいよいよ最終回である。第3回では、中小企業診断士試験に合格した後の変化や、プロボノ活動での気づき、そしてこれからの展望についてうかがった。※お名前は仮名です。

経営者の思いに寄り添う「人間味」あふれる支援

晴れて中小企業診断士となった柴田さんは、実務補習やプロボノ(専門性を活かしたボランティア)活動として蕎麦屋の支援に携わった。そこで得たのは、座学で得た知識をそのまま現場に適用することは難しいという、コンサルティングの本質的な気づきであった。柴田さんは自身の目指す支援のあり方を「人間味」という言葉で表現する。「教科書に書いてあるようなフレームワークを使いたがるものだが、理論ではなく経営者の思いに寄り添った活動をやっていきたい」と語るように、座学で学んだ知識をそのまま当てはめるのではなく、「事業を拡大したい」や「従業員を大切にしたい」など経営者の具体的な価値観や優先順位を判断軸にして、現実的な解をともに探る姿勢を大切にしているのだ。コンサルタントと経営者という構図で捉えるのではなく、自らが経営者側に軸足を置き、その思い、言い換えると企業のミッション・ビジョンを汲み取って意思決定を支えていく。実際の経営課題に直面したからこそ得られたこの経営者の「人間味」を重んじるスタンスは、柴田さんのビジネスパーソンとしての大きな財産となった。

点と点の知識がつながり、一つのストーリーへ

中小企業診断士の学習を通じて得た多岐にわたる知識は、柴田さんの本業である総務の業務にも劇的な変化をもたらした。これまでは人事や財務、現場のオペレーションといった各機能が、それぞれ単独の知識の「点」として存在していた。しかし資格を取ったことで、それらの知識を一つの「線」にし、全体のストーリーに組み込んで論理的に語れるようになったのだという。異なる機能が何のために存在し、経営戦略を達成するためにどう連動すべきなのかを俯瞰し、各部門の役割を組み立てられるようになったことは、総務のスペシャリストとしての視座を一段も二段も引き上げた。「単一の機能に閉じて業務をするのではなく、より高い視点からマネジメントを行いたいという意欲が強くなりました」と柴田さんは語る。事実、4社目となるIT系企業では、総務にとどまらず管理部門の複数機能をマネジメントするという。中小企業診断士の学びで得た高い視座が、新たな挑戦を大きく後押ししたのである。

志ある受験生へ〜諦めずに挑み続けてほしい〜

新たな挑戦の舞台へと進む柴田さんの当面のビジョンは、独立ではなく、企業内診断士として会社内で経営の上流に携わることだ。これまでの総務一筋のキャリアと、体系的に学んだ経営知識を掛け合わせることで、柴田さんにしかできない独自の立ち位置を築こうとしている。

このように、資格を武器に自らの可能性を切り拓き続ける柴田さんに、現在試験勉強に励んでいる受験生に向けてメッセージをお願いした。「取材の学校を含めて合格後のコミュニティがたくさん用意されていて、やる気になればいろんなことができる資格だと思っている。志のある方にはぜひ、諦めずに頑張ってほしい」。

これは、先の見えない2次試験の壁に苦しみながらも、決して歩みを止めなかった柴田さんだからこそ説得力がある、力強いエールである。多忙な業務の合間を縫って毎日3時間の通勤電車でインプットに集中し、休日も妻への気遣いを忘れなかった彼の奮闘ぶりが、その言葉の裏付けとなっている。総務の枠を超え、次なるステージへと歩みを進める柴田さんの挑戦は、これからも続いていく。






岩橋健一

岩橋健一 取材の匠メンバー、中小企業診断士
和歌山県在住。養成課程を経て、2026年5月、中小企業診断士登録。地方公共団体で、産業振興、地域おこし、生活保護、納税交渉などを経験。現在、きのかわ経営相談所代表として、事業計画の策定から実行支援まで伴走支援を行っている。傾聴を起点に「整理できない課題」を実行できる形に整理することが強み。和歌山県中小企業診断士協会、大阪府中小企業診断士協会に所属。

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