こんにちは!
売れプロ8期生の小野和斗です。
読書週間に因んだお話が続いていますので、私も最近最も感銘を受けた本をご紹介したいと思います。
「紙つなげ 彼らが本の紙を造っている」は、2011年3月11日の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた日本製紙石巻工場が、半年間という短期間で奇跡の復旧を遂げていくノンフィクションです。人間の持つ底力と固い決意の行動に、熱い思いを禁じ得ない傑作です。
この本から私が学んだことは2つです。
一つは、「企業として信念を貫く大切さ」です。
当時、石巻工場には「N6」という最新鋭、かつ世界最大級の機械がありました(NはNew、すなわち新しいの意味)。しかも、奇跡的に損傷は比較的軽微でした。誰もがN6から復旧させるものだと思っていましたが、会社が下した決断は、旧式でしかも損傷が比較的激しい「8号」からの復旧でした。理由は、8号でしか作れない出版用紙を出版社が待ち望んでいたからです。そこには、出版社に育ててもらったという恩義、何があっても出版用紙を提供し続けるという約束、自分たちが出版業界を支えているという使命感がありました。
CSRが叫ばれて久しいですが、改めて、企業が社会に果たしていく役割、責任、使命というものを考えさせられます。
もう一つは、「リレーを通して自分の役割を果たすこと、継承していくことの大切さ」です。
「紙つなげ」というタイトルの通り、本作品にはリレーのイメージが幾重にも重ねられています。
まずは、復旧の過程のリレーです。がれきを撤去し、送電線を通し、モーターを復旧させ、ボイラーを再稼働し・・・と、復旧の過程はまさに部署から部署へとリレーそのものでした。「前の課があれだけ頑張ったのだから、ここでタスキを途切らせるわけにはいかない!」と皆が底力を出して見事な復旧を果たしていきます。
2つ目のリレーは、製紙の工程です。パルプから始まり、様々な工程を経て、最後に紙をつないでリールに巻き付ける作業は「通紙(つうし)」と呼ばれ、本作でも初稼働時の通紙は復旧の象徴であり、最も感動的なシーンの一つです。
最後のリレーは、もっとマクロな、人と本の関わりそのものです。著者が命を吹き込み、編集者が作品を磨き上げ、製紙業が作った紙の上に、印刷会社が文字を載せ、装幀家が意匠を施し、本として仕上がったものを物流業が運び、書店が売り、読者がそれを読む。そして読者は最終走者ではなく、本を通して学んだことを人生で活かし、後世に伝えていく。まさにリレーそのものです。
私自身もこの売れプロという場で学び、今後も一生勉強だと思っておりますが、最終走者になることなく、自らが学んだことを企業支援や講演という場で、一人でも多くの方に夢や希望を与えられるように活かさなければならない、と強く感じます。
最後に、この本は、もちろん実際に8号機で作られた紙を使用して作られています。電子書籍が全盛ですし、私も電子書籍はよく利用しますが、この本はぜひとも実物を手に取って読んでいただきたいです。頁をめくるたびに、紙にかける男たち、女たちの情熱が伝わってきて「紙も含めて本という作品なのだ」と改めて気づかされます。リーダー、ビジネスマン、そして本を愛するすべての方に読んでいただきたい1冊です。
それでは。
