【第3回 続けたからこそ見えた景色】
過去の記事:第1回、第2回

筋トレが趣味の横山裕二さん、ITとコンサルティングを提供する企業本部で営業職をしているナイスガイだ。2025年に中小企業診断士登録を予定しているが、難関資格合格に至るまでの道のりは、想像した以上に困難な道だった。第3回は「自分との闘いを制した先の展望」に迫ります。
再起への決意──試験と向き合う正しい姿勢
5年目に向けて、横山さんは問い直した。診断士試験とは何なのか、その位置付けを改めて見つめ直した。そして気づいたのは、資格試験とは毎年実施される「連続性のある試験」であるということだった。「もう一度、過去問に立ち返ろう!」そう決意し、「ふぞろいな合格答案(同友館)」の解答キーワードを再び頭に注入することにした。
「通信講座が悪かったわけじゃない。問題は、自分の取り組み方だった」この本質的な課題を理解したことで、勉強への意識は大きく変わった。「正しい姿勢で、地道に努力を積み重ねることで、確実な変化を手に入れる!」横山さんの心に火が灯った。自らの経験を振り返った。筋トレを通じて学んだもっとも重要なこと、それは「継続と記録」だった。「ベンチプレスはトレーニング後に必ず記録をつける」「いつ、何を、どれだけトレーニングしたのかをメモする」「見える化で、努力の成果や変化に気づき、モチベーションが向上する」この習慣が診断士試験でも活かせると考え、実践することを決意した。試験へのアプローチが劇的に変わった。「やがて春が来る!」アドレナリンは全開。横山さんの新たな挑戦が、今ここから始まった。
歓喜の合格、5年間の挑戦の果てに
「ただ、素直にうれしかった!」横山さんは、合格の瞬間を噛みしめるように語ってくれた。5年目にして、ついに合格をはたしたこの瞬間を、誰よりも深く味わえるのは、長年の苦悩と葛藤を乗り越えてきた本人だけだろう。試験を通して得たものは、単なる資格ではない。自分だけのマイストーリーを築き上げ、自らの限界を乗り越えたことで得た確固たる自信。これこそが、今後の人生の大きな財産となる。
資格取得後の変化を問うと、「診断士試験で培った知見は、仕事の実務に活かせている」そう横山さんは即答した。例えば、2次試験の事例Ⅲ(製造業)で学んだことが、クライアントの生産管理の課題を深掘りする際におおいに役立っている。さらに、「診断士資格を通じた人との出会いが増えたことも大きな変化だった」と語る。新たな人とのつながりが、次なるビジネスチャンスを生み、成長の加速につながっているのだ。5年間の努力の末、ついに迎えた合格の春。横山さんの新たな物語は、ここからさらに広がっていく。
夢の実現へ、油断なき二段階構想
横山さんは、今後の展開を「フェーズ1」と「フェーズ2」に分けて描いている。
まず、フェーズ1では、診断士業務を通じた出会いを、実績として「見える化」することが目標だ。経験を積み上げながら、自身の価値を証明することで、次なるステップに備える。そして、フェーズ2。ここでは、独自の営業を展開し、補助金に依存しないコンサルティングを提供することで、中小企業の経営者をバックアップしていく。
「もう油断はしない。そして、夢を現実にする」横山さんは、これまでの挑戦を糧に、力強く前進する決意を固めている。診断士試験で学んだもっとも大切なこと。それは、経営の知識でもノウハウでもなく、「自分を律する心」だった。
「事業会社をやってみたいんですよね」1次試験は完全独学、2次試験も通信教育を受講しながら、過去問を通じて独学スタイルで合格を勝ち取った横山さん。試行錯誤を繰り返しながら独力で突破したこの経験は、起業という夢にも通じる。「起業したい。独立して飯が食えるようになりたい」 その夢を実現すべく、構想を練り、着実に歩みを進めている。柔和な顔つきの中に宿る、精悍な目の輝き、そこには未来への希望と確固たる決意があった。

八木原全良 取材の匠メンバー、中小企業診断士
東京都在住。大学卒業後、大手保険会社に入社。営業戦略、子会社管理などに従事。2024年中小企業診断士登録。国家資格キャリアコンサルタント保有。
