【第3回 中小企業診断士としての一歩-強みを磨く、新たな航海】
過去の記事:第1回、第2回

多忙を極める中、効率の良い勉強方法を編み出し、戦略的な受験計画を立て、見事一発合格を果たしたR. Iさん。第3回目では、R. Iさんの合格後の活動、未来への展望などをお届けします。
実務補習で感じた、中小企業診断士の“現場感”
「やっぱり、甘い世界じゃないなと思いました」
2月下旬、合格発表から間もないR. Iさんは、8日間の実務補習に参加した。本業の合間を縫っての報告書作成は、時間との戦いだったという。
「実務補習では本番同様の報告書を完成させる必要があります。通勤時間にはできませんので、まとまった時間をどう生み出すかが一番の課題でした」
共同作業やヒアリングを経て、チームでまとめあげた診断報告書。中小企業診断士としての“本番”に触れたことで、学びを深める必要性を改めて実感した。本業との調整が難しく、時には休暇を取って対応する必要もあったが、それでも得られた経験は大きかったという。
今の業務では中小企業診断士と名乗る場面はまだ少ないものの、「これから自分が提案したり報告をしたりする場面では、資格があることで説得力が増す場面が出てくるはず」と、R. Iさんはその先にある活用の可能性を見据えている。
知的財産管理を学ぶ、“もう一つの戦略”
診断士試験後、ひと息つく間もなく、R. Iさんは知的財産管理技能検定3級・2級を立て続けに受験した。理由を尋ねると、返ってきたのはごく自然な動機だった。
「診断士試験の法務の中で知財の割合が結構あるので、記憶が残っているうちに受けてみようと。3級は内容がかなり重なっていて取り組みやすかったです」
3月には2級にも挑戦。知識を深める中で、知的財産をどう取得し、どう守るかといった視点が、診断士業務と関連してくる感覚があったという。「2級になると実務寄りのケースで考える場面も増えて、そういう意味では法務の試験の延長線上にある感じでしたね」
中小企業診断士にとって、補助金申請や商品開発など、知財と関わる業務は少なくない。たまたまの延長に見えて、その実、差別化できる強みの引き出しを増やす一手となっていた。今後、地域支援やブランディングに関わる場面で、確かな武器になるはずだ。中小企業診断士としての支援に説得力を持たせる知識として、今後さらに活かしていきたいと話す。
中小企業診断士になって良かった!と思う瞬間
合格後には、神奈川県中小企業診断協会の新歓イベントにも参加。農業関連の研究会に関心を持ったのは、家庭菜園というささやかな趣味がきっかけだった。「仕事というより完全に趣味なのですが、もし中小企業診断士として何か面白いことに関われるなら、やってみたい気持ちはありますね」
観光や地域支援など、関心を持つ分野は他にもある。すぐに形にするのは難しくても、今後の可能性を少しずつ広げていきたいと語る。現在の職場でも中小企業診断士の資格が活きている。資料作成や分析の際、精度が良くなっていると感じる瞬間もあるという。
「資格を前面に出して仕事をするのはもう少し先だと思いますが、研究会など、今できることから少しずつ参加していけたらと思っています」
また、資格取得後に出会った人々の存在も大きかったという。中小企業診断士の世界には、補助金支援やM&A、執筆を専門にする人まで、多様な働き方があることを知った。新たな視野と関係性の中で、自分なりの診断士像を形づくっていこうとしている。
最後に受験生へのメッセージをお願いすると、R.Iさんは少し考えた後、こう語った。
「働きながらの勉強は確かに大変でした。でも、その先にある世界の広がりを考えると、やってよかったと思える瞬間がきっと来ます」
試験を終え、さまざまな出会いや経験を重ねた今、R. Iさんの表情には、広がりゆく世界への感動が満ちている。

和知 祥子 取材の匠メンバー、中小企業診断士
Web業界で10年以上にわたり、アフィリエイトサイトの企画・運営を行い、法人化の経験を持つ。キャリアの中で多様な業種の企業と向き合い、「本質的な経営支援」に取り組みたいという思いから中小企業診断士資格を取得。2025年に登録。Webマーケティングに強みを持ち、現在は小規模事業者を中心に、経営者の想いに寄り添う支援を行っている。神奈川県中小企業診断士協会所属。
