みなさんこんにちは。売れプロ8期生の酒井浩 58歳、独立準備中の企業内診断士です。
「診断士がおさえておくべき景気動向」の第4回、今回は、トランプ政権によってワケが分からなくなった米国経済の見通しを、前回同様、ざっくり考えてみたいと思います。
経済見通しの前に、そもそも来年の大統領選挙でトランプ政権は勝利できるのか? というところが気になりますが、今のところ「トランプ勝利」との見方が優勢のようです。
これは、民主党の候補者が「いまいち」という理由もありますが、それより、今のところトランプ大統領の「選挙をにらんだ政策」が功を奏している、というところにあるようです。
ご存知の通り、アメリカの大統領選は州ごとに勝敗が決まり、勝てばその州の「選挙人」を総取りできる、という仕組みですので、いわゆる「激戦州」を押さえられるかどうかで勝負が決まってしまいます。
ご記憶の方も多いと思いますが、前回のトランプ大統領の勝因は、「ラスト・ベルト」と言われる五大湖周辺の(錆びれた)重工業地帯の4州と、大票田のフロリダ州で勝利したことにある、と言われています。
今回の選挙も同じような状況ですので、ラスト・ベルト4州での支持率確保のため、トランプ大統領は強硬な通商政策(輸入排除)によって、徹底した産業保護(自動車、鉄鋼、石炭産業=火力発電など)を図っています(大迷惑)。
それらが必ずしも効果を上げているとは言い難いのですが、環境問題を重視してこれらの重厚長大産業に「冷たい」民主党よりは、支持率を維持できている、と言っていいと思います。
また、このラスト・ベルト4州は大豆やとうもろこしの産地でもあり、今回の米中合意で、農業従事者からの支持も確保できそうです。
フロリダの方は、ヒスパニック系住民の増加などから苦戦が予想されていますが、その対策のつもりか、トランプ大統領は「フロリダに住居を移す」と宣言しています。こちらはどれだけ効果があるかどうかわかりませんが・・・。
前置きが長くなりましたが、米国経済がどうなるか、という本題に戻ると、少なくとも大統領選までは、多少の減速はあっても「大きな景気後退はない」ということになりそうです。
選挙での優勢が伝えられてはいますが、トランプ大統領としては、激戦州を中心に、景気を後退させるわけにはいかない。「どんな手を使っても持たせる」だろう、というのが大方の見方と思います。
となると、問題は大統領選挙後ですが、これは楽観論、悲観論に分かれるようです。
楽観論の根拠は、
1. 雇用環境が良好で、消費が堅調に推移する
2. 仮に景気後退に陥ったとしても、リーマンの時に比べて家計の貯蓄/債務のバランスが健全である
3. まだ金融緩和余地、財政出動余地が残されている
といった感じでしょうか。 ただ、金融機関系のシンクタンクが「いずれ景気は後退し、米国の好調な株価も暴落する」などというレポートを書くはずがありませんので、そこは割り引いて考えた方がいいと思います。
一方、悲観論としては、少し前に米国債券市場で「逆イールド」(長短債券利率の逆転)が発生し、景気後退の予兆である、と騒がれましたが、もう一つの景気後退のサインと言われている「製造業景況感指数の50割れ」も、8月以降、4ヶ月連続で続いています。また、そもそも足元の債券バブルはいずれ破裂する(ジムロジャース大先生)、との見方も根強くあります。
こうなると、じゃあお前はどっちなんだ、と言われそうですが、それがわかればとっくに大儲けしています・・・・。
ただ、感覚的には、トランプ大統領が選挙前に無理な景気対策をすればするほど歪みが溜まっていき、次の谷が大きくなるのではないか、という気がしています。そういう意味では、大統領選挙までは景気後退はない、と言っても、その過程はよくウォッチしておく必要がありそうです。
また、「大統領選挙後はヤバそうだから、今のうちに株は売っておこう」とみんなが考えれば、選挙を待たずに暴落が起こる可能性も、なくはないような気がします。
次回は、もう一つの景気の不安要因である「中国経済の見通し」について見ていきたいと思います。
では、少し早いですが、皆さん良いお年を。
