※にほんブログ村ランキング参加中です!1日1回、皆様の温かいポチをお願いします!
皆さん、こんにちは!「売れプロ」10期生の山村 真司です。
第4回目のブログ担当となります。前回(第3回、11月11日)は「イノベーション実現のためにはまずは身近な気付きから始めよう!」といったお話をさせて頂きました。とはいえなかなかその機会が見つからないよ、とのご意見もあるようです。そこで今回は、総合的なイノベーションの実践が前提であるまちづくり「スマートシティ」の取り組みについてご紹介したと思います。
スマートシティとは?
「スマートシティ(もしくはスマート化)」という言葉を聞いた方もおられると思います。最近では、トヨタが裾野市に開発しているウーブンシティがテレビCMで知られています。現在、スマートシティは国の重要施策のひとつとして、各省庁を始め多くの自治体や民間企業が取り組んでいます。スマートシティに関する汎用的かつ統一した国際的な定義はまだありませんが、内閣府は、「ICT等の新技術を活用しつつマネジメント(計画・整備・管理運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける持続可能な都市や地域」と位置付けています。
DX(デジタル)化と何が違うのでしょう。筆者は、国内外でスマートシティに関する政策策定・計画・運営支援等を行っていますが、共通して言えるのは、特定の業務や手段・作業等をDX化で効率化を図ることに対して、スマートシティ(スマート化)は、課題が多様かつ複合的で特に“社会的課題”を含んでおり、その解決は個別ではなく“同時並行かつ包括的”で、かつ“付加価値の提供”も出来る取り組みです。
生活総合産業である不動産・建設業を土台にして、近年一気にイノベーションの実践が進んでいる分野であります。もう少し対象分野を整理すると、例えば筆者らは、下図のような分野をスマートシティの対象分野としています。
図1 スマートシティの対象範囲と分野の整理(出典:JPRSI/環境省環境インフラ海外展開プラットフォームセミナー、筆者作図)
スマートシティはいつからどのくらい進んでいるのか?
そもそもは、2011年の経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム」4大実証事業(横浜市、けいはんな地区、北九州市、豊田市)が我が国のスマートシティの契機となりました。これらは専ら地域のエネルギーに関連する課題解決でエネルギー需給システムの構築と性能検証が主体でした。その後、総務省によるICTを活用した街づくり事業が始まり、2016年からは同省のデータ利活用型スマートシティとして、プラットフォーム構築やビッグデータによる都市のQOL(Quality of Life:生活の質)向上を図る社会実験がはじまりました。2019年からは国土交通省のスマートシティモデル事業※1が開始され、札幌市、柏の葉、加古川市など15の先行プロジェクトと23の重点事業化プロジェクトが選定され具体な事業化が進んでいます。
自治体やまちの規模・地域特性も様々で、東京都や横浜市などの巨大政令指定都市、人口2,700人ほどの捕鯨のまち和歌山県太地町、温泉のまち箱根、島嶼地域の宮古島など、どんなまちや地域でも対象とすることが出来ます。もちろん各地域では現地の中小企業等も多数参画しています。各省庁が連携した令和3年度スマートシティ関連事業では、62地域、74事業が選定されています(下図)。皆さんが知らない間にこんなに多くのまちや地域でスマートシティ化が進んでいるのです。
図2 令和3年度関係府省のスマートシティ関連事業の選定結果
(選定自治体の名称は、例えば経済産業省HP:https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210824003/20210824003.htmlを参照)
中小企業のビジネスチャンスと診断士の関わり
上記で述べたように、スマートシティ実現のためには、様々な“課題”を“同時並行かつ包括的”に解決を図るとともに“付加価値”の提供が期待されるため、従来型のビジネスラインや商材・システムのままでは対応が困難な部分も多く、おのずとイノベーション推進が求められます。また“社会的課題”の解決が求められるところも特徴的なところです。「でも国が主導だし一部の大手企業だけでしょう?」となりそうですが、決してそうではなく、先に述べた令和3年度スマートシティ事業には多くの中小企業さんが参画しています。従来の商材・システムを変革していかに社会課題解決のソリューションとして提供できるかを戦略に据え機動性の高い中小企業さんにとってはチャンスとなりそうです。これに伴ってイノベーション相談も中小企業さんからいくつも寄せられますが、対象分野が多岐にわたるため、多様な専門性とキャリアを持つ中小企診断士のチームをつくることで支援出来る可能性は高いのではないでしょうか。
さらには、大手企業と中小企業が連携しやすい側面もあり、従来の建設業の垂直型かつピラミッド構造の業態を超えたフラットでオープンな体制構築も必要になります。そのような組織体制の提案も診断士の出番となりそうです。解決すべき課題は数限りなくあり、例えば筆者が関与したある街区開発のスマート化では、600項目の課題候補のロングリストを整理し解決の要否と方法論をご提示したこともあるほどです。
スマートシティは経営理念にも影響
このようなスマートシティプロジェクトでは、“社会的課題の解決”と“付加価値”の創出が特徴であり重要であると申し上げましたが、参加される企業さんのなかには、従来型の経営姿勢※2とは大きく異なる事業者さんも増えつつあります。そしてそのような企業さんは専ら中小企業さんのようです(もちろん大企業さんにも素晴らしいイノベーションを実践し革新的な提案されるところは多数ありますが・・)
例として一つだけご紹介します。現在、空き家問題は我が国の大変大きな社会問題となっています。2019年4月公表の総務省統計局の平成30年度住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家率は13.6%(約846万軒)と10に1軒以上が空き家の状態です。空き家は犯罪や火災、ゴミ問題の元となりうるだけでなく、地域の不動産価値を下げる要因にもなり、また対策を任される自治体にとっても大きな支出となります。
本来このような社会的課題中の社会的課題は、ビジネス対象にならないのが通例で民間企業の出番はほとんどなかったのですが、空き家対策自体をビジネスモデルとする企業さんが出てきました! 世田谷区では「空き家活用株式会社」と組んで、所有者・活用等希望者及び登録事業者をマッチングする事業を2021年10月から開始しています※3。また、廃屋や空き家ばかりを投資対象としてビジネス提案する不動産事業者さんも現れて、これまでの不動産業の常識とかけ離れたビジネスモデルとなっています。彼らは、自社の商材やシーズありきで事業参加するのではなく、まず社会的課題があってそれを解決したい、そのために資金調達からビジネスモデル開発を始める、といったアプローチを軽々と行っており、中小企業さんのイノベーション推進を支援する我々診断士にとっても参考になるケースではないでしょうか。
※1:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi07_hh_000139.html)
※2:本業での利益追求と並行してCSRやESG投資、社員の社会参画などを通じて社会貢献を図っていく姿勢。
※3:例えばhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000057167.html
当ブログにおける私の次回投稿は来年2月19日の予定です。
これからも引き続きよろしくお願いいたします!


