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売れプロ10期、中小企業診断士の伊藤英幸(いとうひでゆき)です。第6回目のブログとなります。コロナと金融の第2回、今回は金利について書かせていただきます。
金融機関(銀行、信用金庫)にとっては、顧客から預金を受け入れ、貸出を行うことが伝統的な主要業務となっています。その金利の差(貸出金利ー預金金利)が収益となっています。商品が資金となっただけで、安く仕入れて(預金を受け入れて)、高く売る(貸出を行う)ことが儲けになる、という商売の基本は変わりません。現在の状況を、メガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)、地方銀行(横浜)、信用金庫(城南)で比較してみます。(国内店分)
1.利回り(貸出金・預金)の状況
(表1)各金融機関の資金運用と調達の状況
各金融機関の貸出金利回り(表1の2行目)が、信用金庫(城南信用)を除き、1%を下回っていることが分かります。その中でも、
メガバンク < 地方銀行 < 信用金庫となっています。
貸出金利回り(金利)は、取引先企業の信用力に応じたものであり、信用力が高い場合は金利が低く、信用力が低い場合は金利が高くなります。メガバンク、地方銀行、信用金庫を比較した場合、メガバンクの取引先は上場企業を含む大企業から中堅企業が多く、一方で、信用金庫は中小企業や個人が中心です。中小企業の中にも、財務力・信用力に優れた会社は数多くありますが、全体としては大企業や中堅企業に比べれば財務力・信用力が低くなる傾向が見られます。
一方、預金利回り(表1の4行目)は、ゼロ金利と言われる様に、メガバンク3行とも0.00%(小数点3桁以下)と言う状況であり、資金調達原価(含む経費)は経費が大きな要素となっています。
貸出・有価証券等を含めた資金運用利回り(表1の1行目)が低下する中、貸出・預金業務関連での儲け、総資金利鞘(表1の5行目)を確保するには、資金調達原価(含む経費)(表1の3行目)の低減が大きな鍵となります。預金金利がほぼ限界まで下がっている中、経費を引下げることが課題です。
経費引下げの余地はどこにあるか
各金融機関の営業規模には大きな差があります。貸出金の金額と店舗数で見てみましょう。
(表2)各金融機関の営業規模(貸出金・店舗数)
資料:ディスクロージャー
こちらの表2のとおり、貸出金(国内)は、メガバンクが60兆円前後、地方銀行(横浜銀行)が12兆円、信用金庫(城南信用金庫)が2兆円です。店舗数はメガバンクが500店舗、地方銀行が200店舗、信用金庫が100店舗を下回る状況です。
預金や貸出関連経費の削減を進めるため、営業(貸出)の規模や支店数が多いメガバンクは、支店の統廃合が進められています。特に都市部では、「この支店は●●支店に統合されます」の貼り紙と共に、それまで支店があった場所にATMコーナーだけが残される場面に遭遇した事はないでしょうか。メガバンクの1つである三菱UFJ銀行は180店舗の規模で、店舗を削減するとしています。ただ、支店の統廃合は銀行にとっては経費削減となるものの、顧客である企業や個人にとっては、それまでは地元にあった支店が統廃合により遠くの支店との取引となる、担当者との関係が疎遠になる(融資を受けにくくなる)という状況も生じます。
2.貸出金利の動向
日本銀行が月次で開示している業態毎の貸出金利(表3)によると、銀行では新規(その月の新規貸出の金利)、ストック(過去からの貸出を含めた平均金利)ともに、2020年9月と1年後の2021年の9月を比べると、概ね低下傾向にあることが確認できます。
(表3)貸出金利(新規約定とストック)
借り手の企業にとって、貸出金利の低下は金利負担の軽減になるものの、必ずしも良い事ばかりとは限りません。金融機関(銀行)にとっての収入は、貸出金×金利で計算されます。そのため低金利下では特に、小口より大口の貸出を優先される可能性もあります(融資の社内稟議を行う場合、例えば10百万円と100百万円で書類作成の手間や時間の面で大きな差はない一方で、金利収入は10倍の差(額)となります)。また、採算に合わないことから一定以下の金利の案件に関しては、対応しない(融資を検討しない)ということも考えられます。
金融機関(銀行)は、営利を追求する民間企業です。経営が厳しくなる中、儲からない仕事はやらないという状況も生じます。
3.コロナ融資が意味するもの
コロナ融資におけるいわゆるゼロゼロ融資は、銀行、特に地方銀行にとって
・融資残高の増加
・金利収入の増加
に繋がり、追い風となったと考えられています。例えば、セーフティネット保証4号(企業の売上高等が前年同月比で20%減少の場合、適用される保証)の場合、金利は1.2%以下であり、仮に0.9%程度以上の金利が適用されれば、地方銀行にとっては全体のポートフォリオにおける金利の改善に繋がるためです。当初(期間)の金利支払ゼロは、借入人にとって支払負担はないものの、都道府県の負担により金融機関に支払われます。加えて、
・信用保証協会による100%保証
であれば、万一の債務不履行の場合も、信用保証協会によりカバーされます。
現在、日本ではコロナの感染が小康状態となり、経済活動への再開に動いています。そんな中、中小企業診断士として各企業の収益拡大の助けとなる活動が出来る様に頑張っていきたいと思っています。上記の様な金利環境下で、現在の借入金を返済すると共に、新たな借入においては企業に必要な金額を適正な金利で調達する、そのためには適切な事業計画の作成とその実行が必要と考えています。
加えて、銀行、特にメガバンクの支店統合が進む中、企業にとってはどの業態(メガバンク、地方銀行、信用金庫)と取引を行うか、どの支店とどの様な取引関係を築いていくかも、重要になっていくかと思います。長期にわたり取引関係を構築できる金融機関(銀行)、財務状況が悪くなった場合でも改善に向けての支援をしてくれる銀行の見極めについても、診断士として企業の力になれる様に頑張っていきたいと思います。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。



