丁稚 より 【過去問解説(経営法務)】H30 第4問 会社法(第三者割当増資) へのコメント

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上記解説の内容につきコメントいたします。長文で申し訳ありません。

「選択肢アは、投資額40億円に対して1株当たりの価額が20億円、プロジェクト後に増加する企業価値を踏まえても1株当たりの価額が25億円となり割高です。」と書かれています。

上記の考えかたによると、企業価値の増加額50億円の全額が募集株式を引き受ける2株の投資家だけに分配され、既存の10株の株主には分配されないことになります。実際は、既存の10株と募集株式を引き受ける投資家の2株は等しくキャピタル・ゲインを享受できると思いますが、いかがでしょうか。

募集株式を引き受ける投資家の1株当たりの払込価額、プロジェクト実行後企業価値価額、キャピタルゲインを計算すると以下のようになります。選択肢アでは、プロジェクト後に増加する企業価値を踏まえても1株当たりの価額は25億円にはなりません。

選択肢ア: 20億円、12.5億円、-7.5億円(損失)
選択肢イ: 10億円、10.7億円、0.7億円(利益)
選択肢ウ: 8億円、10.0億円、2億円(利益)
選択肢エ: 4億円、7.5億円、3.5億円(利益)

選択肢アで計算方法をご説明します。
1)第三者割当増資実施前の1株当たりの企業価値
・X社の企業価値: 100億円
・発行済株式総数: 10株
・1株当たりの企業価値(企業価値÷発行済株式総数): 100億円 ÷ 10 = 10億円

2)第三者割当増資募集株式を引き受ける者の1株当たりの払込価額
・募集金額: 40億円
・募集株式の数: 2株
・1株当たりの払込価額(募集金額÷募集株式の数): 40億円 ÷ 2 = 20億円

3)第三者割当増資が実施されX社が投資を実行した後の1株当たりの企業価値
・X社の企業価値: 150億円
・発行済株式総数(第三者割当増資実施前の株式総数+募集株式の数): 10株 + 2株 = 12株
・1株当たりの企業価値(企業価値÷発行済株式総数): 150億円 ÷ 12 = 12.5億円

4)第三者割当増資を引き受ける者の1株当たりのキャピタルゲイン
・第三者割当増資を引き受ける者の1株当たりの払込価額: 20億円
・第三者割当増資が実施されX社が投資を実行した後の1株当たりの企業価値: 12.5億円
・第三者割当増資を引き受ける者の1株当たりのキャピタルゲイン: 12.5億円 – 20億円 = △7.5億円(すなわち、損失)

上記の計算を各選択肢に適用すると以下のようになります。

選択肢ア:
・投資額40億円に対する1株当たりの払込価額: 40億円 ÷ 2株 = 20億円/株
・プロジェクト後に増加する企業価値を踏まえた1株当たりの価額: 150億円 ÷ (10+2)株 = 12.5億円/株
・キャピタルゲイン: 12.5億円 – 20億円 = △7.5億円(損失)。
選択肢イ:
・投資額40億円に対する1株当たりの払込価額: 40億円 ÷ 4株 = 10億円/株
・プロジェクト後に増加する企業価値を踏まえた1株当たりの価額: 150億円 ÷ (10+4)株 = 10.7億円/株
・キャピタルゲイン: 10.7億円 – 10億円 = 0.7億円(利益)。
選択肢ウ:
・投資額40億円に対する1株当たりの払込価額: 40億円 ÷ 5株 = 8億円/株
・プロジェクト後に増加する企業価値を踏まえた1株当たりの価額: 150億円 ÷ (10+5)株 = 10.0億円/株
・キャピタルゲイン: 10.0億円 – 8億円 = 2億円(利益)。
選択肢エ:
・投資額40億円に対する1株当たりの払込価額: 40億円 ÷ 10株 = 4億円/株
・プロジェクト後に増加する企業価値を踏まえた1株当たりの価額: 150億円 ÷ (10+10)株 = 7.5億円/株
・キャピタルゲイン: 7.5億円 – 4億円 = 3.5億円(利益)。
全選択肢のうち、これが最も有利。よってこの選択肢が正解。