【第2回 悔しさを力に変えて】
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1度目の2次試験で、わずか2点差で不合格となった新さん。合格を確実にするため、養成課程の受講も一時検討したが、直前に参加した資格学校の説明会に共感し、新たな資格学校で再挑戦することを決意する。第2回では、2度目の挑戦から合格までの道のりについてうかがった。
再び挑んだ試験と向き合う壁
最初の挑戦であと一歩まで迫った新さんは、悔しさを胸に抱えつつも、どこかに「次は大丈夫だろう」という気の緩みがあったのも事実だった。
しかし、2度目の2次試験では210点。合格に必要な240点には遠く及ばなかった。資格学校を変え、2次試験に特化した対策を行ったにもかかわらず、なぜこのような結果になったのか。新さんは自身の学習方法を根本から見直すことになる。
2度目の不合格は、これまでとは異なるアプローチで試験に臨む必要性を強く実感させたのだった。
失敗を活かした緻密な試験対策
3度目の挑戦を決めた新さんは、資格学校での学習に加え、オンライン学習サービスも積極的に取り入れた。1次試験対策では、問題をこなす回数や頻度が大切だと考え、通勤時間などのスキマ時間を使って問題演習を繰り返し解き、知識の定着を図った。
そして、2次試験対策では、資格学校の学習に加え、「本番を意識した学習」を徹底した。
「これまでの経験から、与件文を読む前の準備をどれだけできるかが勝負の分かれ目だと考えたんです」と新さんは振り返る。
まず取り入れたのは、設問文を先に読むスタイルだ。解答に必要な情報を把握したうえで与件文に臨むことで、情報過多による判断ミスを防ぐ狙いがあった。
さらに、解答作成までの手順も細かくルール化した。試験が始まると、まずは問題用紙を破ってメモ用紙を準備する。次に設問文を読んで設問の解釈を行い、その内容をメモ用紙に書く。それから与件文を読み込み、解答作成へと進む、という流れだ。各工程にかける時間もあらかじめ設定し、演習を何度も繰り返すことで、その型を体に染み込ませていった。
「夜に問題を解くときも、当日使う腕時計の針を試験開始時刻に合わせて、本番と同じ状況を再現して練習していました。とにかく『リアリティ』にこだわってやったのが、3年目の違いだったかなと思います」
新さんが実践した勉強法はそれだけではない。本番で必要な知識を素早く引き出せるように、独自の暗記法「フラッシュ記憶」を開発したのだ。資格学校の教材や自作のノートを、一問一答形式でまとめ、スライド資料として作成し、それを繰り返し解くことで、重要なキーワードを瞬時に思い出せるよう訓練を重ねた。知識があっても本番で思い出せないことが度々あったため、知識を引き出す「瞬発力」を徹底的に鍛えたのである。
合格発表、そして妻の涙
合格発表の日、新さんは自宅で一人、パソコンの画面を見つめていた。ウェブサイトに自分の受験番号を見つけた瞬間、喜びと安堵が一気にこみ上げ、思わず涙があふれた。
「コロナ前は試験結果が掲示されていて、会場まで見に行ったこともありました。合否にかかわらず、その場で感じた気持ちが次につながると思っていたからです。でもその時は不合格で、悔しさが何倍にもなって返ってきました。いろいろな思いを抱えた3年間だったので、今回、自宅で自分の番号を見つけたときは、本当にうれしかったです」
すぐに妻へメッセージで合格を伝えると、電話がかかってきた。電話口の妻は、新さんの3倍も泣いていたという。新さんの喜びは、電話越しに伝わる妻の、まるで自分のことのように喜んでくれる涙声によって、さらに大きなものとなった。3年間にわたる努力が、ようやく報われた瞬間だった。

W.T 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大学院修士課程を修了後、コンサルティングやITソリューションを手がける企業に入社。自社パッケージソフトの開発を経て、会計システムの導入支援や人事給与ソリューションの営業を担当。その後は、コンサルティングおよびITソリューション全般の企画営業に従事。
