【第2回 養成課程での多くの学びと成長の過程】
過去の記事:第1回

どんな人にも企業にも、良いところはある。それを自分の手で引き出したい——中小企業支援への思いを語る中坪孝太さん。中小企業診断士養成課程(以下、養成課程)を経た道のりは、決して平坦ではなかった。第2回は、養成課程を通して得られた多くの学びや、中坪さん自身の成長に焦点を当てる。
五感で学ぶ濃密な講義体験
養成課程では、平日週2日の夜と土曜の終日に講義が組まれた。
初回の題目は、思考法やロジカルシンキングである。現状と目標のギャップである課題の解決方法、帰納法と演繹法の正しい使い方。まずは、コンサルタントとしての土台を築くところから始まった。
株式会社日本マンパワーの講義は、理論と実践の融合がモットー。体系化された知識を頭に叩き込みながらも、インプットだけでは終わらない。講義には毎回グループワークがあり、プレゼンや質疑応答など、アウトプットの機会が豊富に用意されていた。
印象的だったワークは、実際にネジや釘なども使って、より短時間で製品を組み立てる工程を考えるもの。「面白いですよね。五感と想像力をフルに使うので、机の上だけでは得られない学びがあります」中坪さんは話しながら、その場で紙を折って、ワークのイメージを示してくれた。
優秀な同期と意見をぶつけ合い、講師陣からも多くの学びを得た。「財務面が苦手でしたが、実習や講義を通して、少しずつ理解が深まりました。『そういう視点で見るんだ』、『こういう計画を立てるんだな』と、自分の専門外の領域も含めて、実感を伴って学べました」と充実した日々を振り返る。
実習リーダーで学んだチームを導く力
養成課程の中でも特に実践的なのが、5回にわたる実習である。実際に製造業や飲食店などの企業を赴いて、現場の視察や経営者へのヒアリングを行ったうえで、3週間かけて提案内容をまとめる。中小企業診断士の資格登録前に参加する、実務補習さながらの内容である。
実習ごとに、グループ内でリーダーを選定する。中坪さんは、イタリア料理店を対象とした、店舗運営がテーマの実習で手を挙げた。
「発言にあまり積極的でないメンバーの意見も十分に引き出すために、何でも言いやすい空気感を作ろうと思いました」全体の舵取りをしつつも、それぞれのメンバーに配慮して、一体感のあるチーム作りに奮闘した。
自身の意識的な動きもあって議論は活性化し、顧客のための提案が様々な角度から飛び交う。しかし、生みの苦しみもある。8人グループでの成果物はひとつだけだ。
議論を収束させていく難しさに直面しながらも、指導員の助言を受けつつ乗り越えた。ファシリテーションやチームビルディングの能力向上にもつながる、貴重な経験であった。
学びを実践へ——加速する成長のサイクル
「実習を通して、自分のスキル不足を痛感しました。実習のリーダーの役割は営業所長の仕事に通ずるものがあり、仕事を実践の場にできると考えました」
実習後の提案書の作成と本業との両立は、想像以上に大変だったという。課題の納期に追われ、深夜まで作業することもあった。養成課程について理解は得ていたものの、負担をかけている職場のためにできることを考え、仕事の仕組化・構造化に取り組んだ。
部下からの相談事項に対して、自分が求める情報の粒度を可視化して示した。社内のチャットツールでは要点が捉えにくいことが多かったため、相談のテンプレートを作り部下に共有した。
込み入った状況や複雑な因果関係は、細かい要素に分解することでクリアになり、他者との連携もしやすくなる。無駄なやりとりを減らす工夫が、自分自身の時間を生み出すと同時に、組織のリーダーとしての能力開発や部下の育成にもつながった。
学びを即実践して得た成功経験が、次なる学びへのモチベーションとなる。
1年間という限られた期間、少しでも有意義に活用したいという思いが、成長のサイクルを加速させていった。

安井伸太郎 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1990年生まれ、島根県出身、東京都在住。ハウスメーカーにて財務と経営企画を経験した後、転職。現在は専門商社の経営企画部門にて、中期計画推進、管理会計、IR活動、投資案件推進等の幅広い業務を担当。自己研鑽の一環で中小企業診断士を目指し、2024年度試験に合格。知見の拡大や能力開発に取り組みつつ、自分に合った活動方針を模索している。趣味は食べ歩きや旅行。
