【第3回 中小企業のものづくりを、診断士活動で支えていく】
過去の記事:第1回、第2回

化学メーカーで研究開発の仕事をしている山本祥晴さん。2024年11月に30代前半で中小企業診断士の資格登録を済ませ、職場の内外で活動の幅を広げている。最終回となる今回は、山本さんが中小企業診断士として行っている取り組みと、今後に向けた「思い」をうかがっていく。
中小企業診断士としての知識が、職場での独自性につながる
山本さんが中小企業診断士を目指した理由のひとつは、経営の視点を持ちたいということだった。実際にその効果はあったのだろうか。合格後の実感をお尋ねしたところ、「原価管理の感覚が身についてきた」、そして「外部環境が変化する中で、自社はどんなポジションにいて、どのような戦略を取るべきかを考えるようになった」と答えてくれた。
山本さんの職場では、中小企業診断士という資格の知名度は決して高くない。山本さんの知る限り、職場にほかの中小企業診断士はいない。それでも、資格取得後、周囲の視線は変わってきている。職場で財務の話になったときには、「山本さんの方が詳しいのでは?」と言われたりする。上司からも、技術と会計の両方に通じた人材として見られる機会が増えてきた。研究開発職としての専門性の高さに、中小企業診断士としての知識を掛け合わせることで、山本さんは職場で独自の価値を生み出している。
ものづくりへの思いを抱き、中小企業診断士として活動する
そんな山本さんに、中小企業診断士として今後目指していきたい方向性を質問してみた。すると、中小企業のものづくりを元気にしていきたい、という答えが即座に返ってきた。「製造現場を見ているだけで楽しい」と語るほど、山本さんは製造業への思い入れが強い。そして、ものづくりを進めるためには、大企業と中小企業がひとつのサプライチェーンとして連携することが欠かせない。山本さんは、中小企業診断士としてサプライチェーンにおける中小企業の部分を支援していきたいと考えている。それによって産業全体を活気づけていくことが大きな目標だ。
特に、環境関連の分野に注目している。SDGsやESG経営といった言葉を頻繁に目にする現在でも、リソースに限りがある中小企業ではなかなか行動まで結びつけられないところも多い。山本さんは診断士協会で、環境や脱炭素をテーマとする研究会に参加している。省エネなどの分野で中小企業のサポートをしていきたいと今後の展開を思い描いている。
中小企業診断士の資格は、人生を豊かにしてくれる
「中小企業診断士の資格は、ひとつのパスポートのようなもの」これが、資格登録を終えて本格的な活動を始めている山本さんの実感だ。この資格があることで、ほかの中小企業診断士と広く知り合うことができる。試験合格後に受けた実務従事や実務補習の同期生とは、今でも情報交換を続けている。また、2024年度は受験生を支援する「タキプロ」に参加し、セミナーの企画運営を行った。そこでも人のつながりが大きく広がったという。30代前半の山本さんは、中小企業診断士の活動で年上の人と話すことが多い。その中で「いろいろな年齢や職種の人と接してもあまり物怖じしなくなった」という。これも、診断士活動のひとつの効果と言えるだろう。
インタビューの最後に、山本さんは「中小企業診断士の資格は、いろいろな勉強ができる。今の状態から踏み出したい人にはすごくおすすめの資格だと思う」と語ってくれた。山本さん自身、新しいことに挑戦するのが好きな性格だ。この前向きな姿勢こそが、山本さんを30代前半でのストレート合格に導き、積極的に活動の幅を広げている原動力だと感じられる。「やればやるほど、楽しいことが多い」この思いを胸に、山本さんは今後も中小企業診断士として新たな探求を続けていくことだろう。

R. I 取材の匠メンバー、中小企業診断士
情報通信業で企画や管理の仕事に従事。経営について体系的な知識を身につけるため、中小企業診断士を目指すことを決意し、2024 年度試験に合格。受験を通した一番の収穫は「自発的に学び続ける面白さ」を実感できたこと。診断士と農林水産業、英語(通訳案内士にも興味あり)を結びつけていけないか、方向性を探索している。趣味は、程よいペースでのランニング。
