【中坪孝太さんインタビュー】養成課程で心に刻むアウトプットの重要性——挫折の先に見据えた中小企業診断士の本質

【中坪孝太さんインタビュー】養成課程で心に刻むアウトプットの重要性——挫折の先に見据えた中小企業診断士の本質

【第3回 養成課程の財産を手に、新たな挑戦へ——中小企業の未来に「ひのめを」】
過去の記事:第1回第2回

どんな人にも企業にも、良いところはある。それを自分の手で引き出したい——中小企業支援への思いを語る中坪孝太さん。中小企業診断士養成課程(以下、養成課程)を経た道のりは、決して平坦ではなかった。第3回は、養成課程を通して得たかけがえのない財産、そして中小企業診断士としての今後の展望を描く。

同期との強い絆——これからは中小企業診断士として

「過酷な養成課程を乗り越えられたのは、尊敬できる仲間がいたからでした。このつながりは、一生続く財産だと思います」

養成課程の同期は20代後半から60代前半までと幅広く、男女比は5:1。財務や製造、人事など多様なバックグラウンドで、高い専門性を持つ人材が集まった。異なる視点や経験を持つ仲間たちは、常に新しい気づきをもたらしてくれた。

毎週木曜の講義後には、有志で飲みに繰り出すのが恒例行事。講義を振り返っての意見交換に精を出しつつ、同じ目標に向かって邁進する同志を励まし合った。

養成課程を乗り越えた絆は固く、今でも月に一度は集まり、近況報告や情報交換に花を咲かす。1年間を共に過ごした戦友。今は中小企業診断士の同期として、互いを高め合う心強い存在だ。

挫折の先に悟った養成課程の意義

「同じ講義を受けているのに、アウトプットの質がまるで違う。完全に負けたと思いました」初回の実習での出来事が、養成課程への向き合い方を大きく変えた。

実習のテーマは、工程分析をいかに現場に落とし込むか。中坪さんが教科書通りの提案にとどまる一方で、後に養成課程の首席となる同期は、「顧客が今日から何をできるか」まで深く考え抜く。そして、必要なデータを入力すると工程改善のシミュレーションができる、オリジナルの資料を作り上げていた。

「悔しい思い出ですが、初回の実習で彼と一緒になれて良かったです。中小企業診断士として顧客に何をアウトプットするか、実地で学ぶための養成課程なんだと、改めて気づかされました」忘れられない当時の思いを、実感を込めて話す。

アウトプットこそ、中小企業診断士の本質

「卒業後、中小企業診断士になってからも、重要なのはやはりアウトプットです。それが苦手な人は、養成課程に合わないかもしれません」中坪さん自身も、最初はうまく表現できなかったが、次にどうすればいいかを必死に考えた。

たとえ100%正しいかわからなくても、考え抜いた自分の意見と思いを言葉にする。小さな努力と挑戦の積み重ねが、中小企業診断士としての礎を築いていった。そうした実践の場を惜しみなく与えてくれたのが、養成課程だった。

知識やノウハウ、素晴らしい仲間、アウトプットの力——多くの財産を手に、中坪さんは今、中小企業診断士としての第一歩を踏み出している。

中小企業支援への思い——養成課程の先の未来へ

中小企業診断士としての活動は、町の豆腐屋の営業販売支援からと、漠然と考えている。老舗の豆腐屋は魅力にあふれているが、原価高騰や後継者問題に苦しむ中、商品価値のアピールも十分にできていない。豆腐を愛する心が、廃業で失われつつある豆腐屋を救いたいという思いにつながった。

豆腐マイスターの資格を取得したのも、豆腐の価値を十分に理解して良い支援につなげるため。所属する中小企業診断士協会や支部の活動で実践の場数が足りなければ自分で作り出し、経験を重ねたら他の分野にも手を広げる考えだ。

中坪さんは、「ひのめを」という屋号での活動を考えている。その由来を尋ねると、熱い口調で話してくれた。「中小企業が持つ潜在的な力を引き出して、その未来を明るく照らしたいんです。その価値をうまく発信できずに眠っている商品やサービスに、『陽の目を』浴びてほしい」

顧客に迷惑をかけたくない——ひたむきな思いが導いた、一筋の光。中坪さんにとって中小企業診断士とは、「自分次第で、どんな道にも進めるもの。自分の知見や思いを、どういった形で社会に届けるか。そこには無限の可能性が広がっている」

未来を見つめる陽だまりのような笑顔。その胸に秘めるのは、ひとを思う熱い志。

中坪さんの挑戦の物語は続いていく。養成課程という名の、序章の先へ。








安井伸太郎

安井伸太郎 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1990年生まれ、島根県出身、東京都在住。ハウスメーカーにて財務と経営企画を経験した後、転職。現在は専門商社の経営企画部門にて、中期計画推進、管理会計、IR活動、投資案件推進等の幅広い業務を担当。自己研鑽の一環で中小企業診断士を目指し、2024年度試験に合格。知見の拡大や能力開発に取り組みつつ、自分に合った活動方針を模索している。趣味は食べ歩きや旅行。

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