マスコミに愛される中小企業 理由は経営の〇〇さ

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ふだん当たり前に使っている「介護」という言葉が、商標登録されていることをご存じでしょうか。しかも商標権の所有者は、おそらく皆さんもなじみ深い、ある商品を製造する下町の中小企業だと――。

「売れプロ」11期、日本経済新聞社に勤める中小企業診断士の水野泰広です。私が「中小企業の広報活動のお手本」と注目している会社が、最近も何度かテレビで取り上げられているのを見て、少しうれしくなってしまいました。

◆ 水泳帽のトップ企業、コロナで苦戦も報道250件

その会社は、フットマーク(東京・墨田)といいます。社員数56人、売り上げは40億円ほどですが、コロナ禍で約7割までダウンし、ようやく回復してきたところです。1969年(昭和44年)にあの懐かしいカラフルな水泳帽を開発、学校プールでの着用が社会ルール化し、今でもトップシェアを誇っています。足あとマーク(フットマーク)のスイミングバッグとともに、お世話になった方は多いのではないでしょうか。

水泳の授業の中止やスポーツクラブの休業をはじめ、コロナ禍で苦戦した同社ですが、実はこの間のメディア露出が、なんと250件を超えています(2020年から直近まで。国内最大級の記事データベース「日経テレコン」の社名検索による)。売り上げの8割を占める水泳用品の関連では、ラッシュガードに似た、ジェンダーフリー時代の男女共用水着が話題を集めました。しかし、それ以上にメディアで注目されているのは、ランドセル関連の情報です。

◆ 社会課題解決へ一石、バズった “ランドセル症候群”

大きな契機となったのが、同社が21年秋に発表した調査リリース(効果的なパブリシティー手法の一つ)。小学生の90.5%が「ランドセルが重い」と答え、3人に1人が「通学ブルー」だという衝撃のデータでした。脱ゆとり教育で教科書のボリュームが倍近くなり、タブレット端末の配布、コロナ対策の水筒持参などもあって、平均は3.97kg。10kgになるケースの報告さえも。専門家と連携して “ランドセル症候群” というバズワードを生み、テレビのワイドショーや情報番組で連日報道されました。

フットマークを含む各社が、布などの軽い素材を使ったランドセルを発売、ヒットしたものの、それでも1年後の同じ調査では平均4.28kgと、さらに重くなっていることが判明します。人間の許容重量は体重の10%まで(体重25kgの小学生なら2.5kg)といった情報とともに、“ランドセル症候群” は改めて世間の耳目を集め、ニュース関心度ランキングで4位に入るほどでした。誰もが身近な社会課題である点が、大きな要因といえるでしょう。

余談ですが、私は予習・復習に縁のない小学生だったため、教科書は学校に置いたまま。ランドセルの中は給食袋だけで、こんな苦労はとても想像がつきません(ちなみに中学では、黒い革の学生カバンの芯を抜き、ぺちゃんこにするのが流行っていました。中身は護身用のチェーンのみで、弁当箱や体操服なんかは当然「マジソンバッグ」の中。高校では当時プレッピーが流行し、青山「Boat House」のトートバッグで通学。髪型はリーゼントもどき、中ランの学生服にデッキシューズでしたから、田舎の高校生のセンス恐るべしです・笑)。

◆ 「介護」商標化も無償公開、期せずして取材の連鎖

話を「介護」に戻しましょう。フットマークは1946年(昭和21年)創業。当初は赤ちゃんのおむつカバーや学童用品をを作っていましたが、ご近所の依頼から「老人のお漏らし対策」として大人用(現・介護用)おむつカバーの製造に取り組みます。三代目社長の磯部成文さん(現・会長)が、「大人用」「病人用」「医療用」と名付けてみたもののしっくりこず、温かみやねぎらいの意味を込めて「介助」「看護」から「介護」という言葉を考案発売から14年後の1984年(昭和59年)に商標登録したそうです。

しかし、同社はこの優しい言葉が社会に広がればと願い、無償で公開。世の中に定着したのは、皆さんもご承知の通りです。無欲の中で生まれた副産物がメディア取材です。近年になって、「介護」という言葉を生んだ人物、ストーリーから、企業としての「ものづくりへの想い」などまでが、繰り返し報道されています。新製品やサービスの話題は一過性ですが、“ランドセル症候群” にみる社会課題の解決や「介護」にまつわる企業ストーリーはドラマ性があり、「取材の連鎖」を生むのです。

◆ HPで見つけた最終目標 誠実な企業姿勢に納得

昨年11月にも『日経トップリーダー』とBSテレビ東京「グロースの翼~350万社の奮闘記~」(ともに中小企業報道の鉄板メディア)で、「1人の困りごと」に真摯に耳を傾け、全社員で商品開発に取り組んでいる姿が映し出されました。さらに広報活動では、掲載チャンスが多いイベント開催やプレゼントパブといった、地道な手法も怠っていません。女子のスクール水着の変遷を紹介した「スクール水着博覧会」は、一見関係なさそうな『日経xTECH』が詳細にリポートしています。

記者やディレクターは、取材前に企業のHPを必ずチェックします。同社のHPは興味を引く「水泳帽子着用率3人に2人」「商標登録数約300」といった数字のほか、商品開発の背景や社会貢献への取り組みなど、共感を呼ぶコンテンツが取材意欲をそそります。報道実績をSNSでオラオラ投稿するようなこともありません。私のお気に入りは、社員全員で作ったという会社の「100年 年表」。創業100年となる2046年に「売上高100億円」という謙虚さ。そして同年の最後を、「世界中に笑顔があふれる」で〆ています。やはり応援したくなる、誠実な会社かもしれません ^^

ご紹介したフットマークの話が、中小企業の経営や広報にかかわる方々のご参考になれば幸いです。長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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