伴走支援に対応しよう!診断士が身につけたいコーチングスキル

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こんにちは!売れプロ12期の伊藤きよ枝です。

 

 2023年6月中小企業庁、独立行政法人中小企業基盤整備機構及び経営力再構築伴走支援推進協議会により、「経営力再構築 伴走支援ガイドライン」が公表されました。これは経営支援におけるコーチングスキルの必要性を明らかにしたものと言われています。

 私は、昨年の診断士試験の直後、コーチングスクールの体験会に申し込んでいました。そして診断士登録後からコーチングを学んでいます。理由としては、診断士として、時には経営者の行動変容を促す必要があり、そのために必須のスキルだと感じていたためです。

 私は現在、コーチングのなかでも、経営層向けの”エクゼクティブコーチング”を学びながら自分もコーチングを受け、また他の人へのコーチングも行っています。スクール受講生には、診断士をはじめ士業や、一般企業に勤める方のほか、経営者の方も多いです。

 

 今回は、是非、診断士や診断士受験生の皆さんに、コーチングに深い興味を持っていただけたるように、伴走支援の中で使われるコーチングスキルについて、ご紹介したいと思います。

 

 

1.コーチング/エクゼクティブコーチングとは

 コーチングは、対話の中で信頼関係を築き、相手に気づきを促し、相手が望む行動変容を引き出す手法です。コーチングと混同されがちな対人支援には、下記があります。伴走支援モデルで紹介されている対人支援と重ね合わせてご説明します。

 

 まず、診断士が広く行うコンサルティングは、課題解決に関する専門知識を持ったコンサルタントが、相手の実情を診断士、適切な施策の提案を行うことです。コンサルティングは、伴走支援ガイドラインの中では、「専門家型(情報-購入型)」のコンサルテーションと呼ばれています。

 

 ティーチングは、教師や医師などが、答えの明確な問題に対して、生徒や患者に、考え方、回答や解決法を教えることです。ガイドラインの中では、「医師-患者型」の分類となります。

 

 カウンセリングは、心理的に使われる際は、精神的に健全な状態から少し落ちている状態にいる人を、あるべき状態に戻す支援を言います。この分類は、ガイドラインに記述はありません。

 

 コーチングは、「傾聴のスキル」、「承認のスキル」及び「質問のスキル」を使って、コーチを受ける側の目標達成を支援するものです。コーチングを受ける人をクライアントと呼びます。

 

 コーチングは、さらに使用される場面によって3つに分かれます。① 個人を対象としたライフコーチング、② 一般社員やチームマネージャー向けの、ビジネスシーンに特化したビジネスコーチング、そして③ 経営者や役員、管理職などを対象とするエクゼクティブコーチングです。

 

 エクゼクティブコーチングには、経営者が自身を振り返ったり、ビジョン・ミッション・バリューを見直したりする際の支援が含まれます。また、経営者の中に、気づきと行動変容をもたらし、自らを変革する勇気づけをし、ひいては組織力の向上も目指します。これは、伴走支援ガイドラインにおける、「プロセス・コンサルテーション」とほぼ同義だと言われています。

 

 

3.「適応課題」に対するコーチングの役割

 先の伴走支援ガイドラインでは、企業が抱える課題には「技術的課題(Technical Challenges)」と「適応課題(Adaptive Challenges)」の2種類があるとしています。その上で、「技術的課題」には、専門知識を持つ支援者からの解決策で対応できるが、「適応課題」に対応するには、経営者のマインドセットを変える必要がある、としています。

 

 適応課題とは、例えば、古い組織風土の改革などがあげられます。

ある企業の「生産性の向上」を技術的課題としてとらえた場合、「生産管理システムの導入、製造ラインの改善」などの解決策が考えられます。しかし、その背景には、部門間のコミュニケーションの希薄さ、従業員のモチベーションの低さ、古参人員の意思決定へ介入のなどの「従業員の主体性を阻害する組織風土」という適応課題が潜んでいることもあります。

 

 適応課題の問題であると気がつけば、たとえば複数部門の従業員を巻き込んだプロジェクトチームを組成し、従業員主体で課題解決に取り組むよう促すことで、本質的課題へのアプローチを図ることが可能になります。

 

 なお、適応課題は、技術的課題よりも、より長中期的な取り組みとなります。しかし、一度、企業が適応課題への対応サイクルを自分のものにできれば、つまり、何か問題が表出した時に、本質的課題に気づいて、問題解決に自らを動機づけするプロセスが習慣化できれば、課題解決行動が「自走化」し、継続的な発展を実現することが可能になるとのことです。

 

 内部・外部の環境変動が激しく(Volatile)、将来が不確実(Uncertain)、複雑で(Complex)、曖昧(Ambiguous)なVUCAの時代には、経営者は過去に有効だった考え方やスキルの活用だけではなく、考え方を変えて適応していく必要があり、経営者は柔軟性を持ち、自らの思い込みを変え、また会社全体を巻き込む統率力が必要となります。

 

 しかし、経営者が一人で、目の前の課題が技術的課題か適応課題かを見極めたり、自分の考え方を整理したりしてマインドセットを変えることは難しいとされています。そのために、支援者に必要だとされているのが「プロセス・コンサルテーション」、つまり、エクゼクティブコーチングのスキルです。基本のスキルは、ライフコーチング、ビジネスコーチング、そしてエクゼクティブコーチングも共通になりますので、下記に例を挙げます。

 

 

4.主なコーチングスキルの例

 コーチングでは主に以下の3つのスキルを使います。

 (1).傾聴のスキル

 (2).承認のスキル

 (3).質問のスキル

 

以下、順番に概要を説明します。

 

 (1).傾聴のスキル

 コーチングにおける傾聴は「相手のために聴く」ことです。アメリカの心理学者であるカール・ロジャーズの「傾聴の3原則」に則って行われます。3原則とは、①「無条件の肯定的受容」、②「共感的理解」、③「自己一致」です。

 

   ① 無条件の肯定的受容

    相手が何を言っても、どんな価値観でも受け止める、そういう姿勢を貫くことです。 

    自分は相手の100%味方だと感じてもらいます。

 

   ② 共感的理解

    相手の立場に立って、相手の感じる事に共感します。

    相手の「感じ方」を感じ取ろうと努力する姿勢を言います。

 

   ③ 自己一致

    支援者自身が相手にも自分にも嘘をつかないことです。

    話が分かりにくい時は分    かりにくいことを伝え、真意を確認します。

    分からないまま分かったふりをしないことが大切とされています。

 

 (2).承認のスキル

 相手の言動や価値観で、良いと感じたことを、支援者が正直に表明することです。承認は相手に安心を感じてもらうために行います。

 この時注意したいのは、なるべく「I(アイ)メッセージ」、つまり支援者が一人称で発信することです。具体的には、「私は、あなたの行為が素晴らしいと思いました。どうですか?」というような話し方です。

 

 これと違い、「Youメッセージ」にすると、「あなたは素晴らしいです。」というように、相手を”評価する”表現となり、上から目線と捉えられ易い話し方になります。ガイドラインの中でも、伴走支援において支援者が”上から”とも捉えられるスタンスで対応してしまうと、経営者が心を開けなくなると注意を促しています。

 

 (3).質問のスキル

 コンサルティングを行うときの質問は、普通は課題解決思考、原因追及思考による質問になります。しかし、コーチングでは相手に考えて答えを出してもらう、思考を深めてもらうための質問を行います。また、基本的にはオープンクエスチョンを用います。

 

例えばどういう質問をするか、一部を具体例と共に挙げますと;

 

 視点を事実に向ける質問:「このことでメリットは何があると思いますか?」「デメリットがあるとしたらなんでしょう?」「何から手を付けたらいいと思いますか?」「理想の状態を100とすると、今どのぐらいですか?」

 

 視点の時間軸を変える質問:「5年後どうなっていたらいいですか?」「昔の自分は今の自分に何て言うと思いますか?」「うまくいっていたこともあるのでは?」

 

 視点を仮定に向ける質問:「もしその制約が無かったら、どうしたいですか?」「もし制約があったとしたら?」「あなたが理想とする人物ならどうすると思いますか?」「やる方法があるとしたら?」

 

 視野を広げる質問:「(相手は)どういう気持ちでしょうね?」「あなたご自身は、どういう気持ちですか?」「もう一度、テーマを見直してみませんか?」「普段はどうですか?」「このことを話すのは、誰のためですか?」

 

そして、上記それぞれに、「具体的には?(具体化する)」「ひとことで言うと?(抽象化する)」「ほかには?(スライドする)」なども、組み合わせて行います。

 

 

5.注意点

 コーチングは、短期的というより長中期的な手法なため、資金繰りなどの緊急の課題を抱える企業については、まずはコンサルタントとして短期的課題のクリアを行う必要があります。

 また、伴走支援の初期には、経営者の方は支援者の力を見極めることが多いと言います。その場合は、まずコンサルティング手法を用いて、具体的な豊富な専門知識や課題解決策を提示し、信頼を得ることを優先されるべきとのことです。

 その上で、コーチングとコンサルティングの違いや、伴走支援そのものについて十分に説明し理解してもらい、「ここからは伴走支援(コーチング)手法で行います」などと、場を変える工夫も必要と考えられます。

 

 

6.最後に

 コーチングは、クライアントの目標達成のためのメソッドではありますが、コーチングを機能させるためには、まずはコーチ自身がプレゼンス・自己基盤を確立する必要があります。よって、コーチは終わりのない自分磨きを行う必要があります。中小企業診断士と非常に相性のいいスキルだと感じています。

 

 売れプロの塾長、青木先生は、コーチングについても造詣が深いです。また、先生のテキストの構成は、自分で考え、自ら答えを出すコーチングメソッドに基づいていると、ずっと感じていました。

 診断士や受験生の皆さん、売れプロでお待ちしてます!!

 最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

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