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売れプロ12期の中小企業診断士、自称「ニコニコみっちゃん経営デザイナー」の石田 充弘(いしだ みつひろ)です。
8回目は、ある信託銀行が行っている「信託」商品以外のサービスのお話です。
具体的には、上場企業を対象にしたコーポレートガバナンスに関する対応状況の実態調査について取り上げます。
2014年に伊藤レポート、2015年にコーポレートガバナンスコードが策定されて以来、2023年3月の東証の「資本コストや株価を意識した経営」の要請など、日本の上場企業のROEやPBRの向上に向けて、投資家の代表といえる取締役会を起点とするガバナンス機能の強化と開示の充実が度重なり求められてきており、上場企業は対応に追われています。
そのような中、三井住友信託銀行は、多くの上場企業の状況を調査し公表することで、各社が自社の立ち位置や投資家の声を把握し、ガバナンスの高度化につなげ、企業価値向上を図ることに貢献することを目的に、2017年から毎年調査を実施しています。
今回は、直近の2023年11月に公表された調査結果の概要をご紹介します。この調査は日本の上場企業の5割弱にあたる1,888社が参加する国内最大級の調査となっており、また、回答企業の構成は、業種、時価総額、市場区分のいずれから見ても概ね市場の分布に相似しており、日本企業のガバナンスの取組状況の縮図といえるのが特徴です。
(1)ESG・サスティナビリティへの取り組み
①ESG・サステナビリティへの取り組み
全体として伸張も、投資家が求める「マテリアリティについてのKPIの設定」や「サステナビリティ戦略の全社中核戦略への統合」を実施している企業はいまだ限定的。
②サステナビリティ経営実現のための課題
気候変動への対応を上回り、「人的資本経営の実現に向けた人材戦略の強化」が最多であり、人的資本への注目が大きく高まっている。
③ESGのE(環境)への取り組み
TCFDに沿って情報を開示済の企業は、全体で42%(昨年比+15Pt)、プライム市場上場企業で74% (昨年比+26Pt)と引き続き進捗。
ただし、シナリオ分析への取り組みは、リスク・機会の特定は定着も、投資家は定量化を求めておりギャップあり。
④ESGのS(社会)への取り組み
従業員エンゲージメント向上のための取り組みとして、Well-being視点の取り込み、企業文化の見直し、従業員インセンティブプランの導入など企業の実施は相対的に少ないが、投資家が有効と考える取り組みも存在。
ただし、投資家は人事戦略に関し、経営戦略や企業価値向上へのつながりの開示を重視、人事戦略を開示している企業でもこれらの開示は少数。
⑤ESGのG(ガバナンス)への取り組み
独立社外取締役を取締役会構成員の1/3以上選任済の企業は77%(昨年比+4Pt)、過半数の選任も12%(昨年比+3Pt)と増加。
また、任意の指名委員会を設置する企業は66%(昨年比+3Pt)、報酬委員会は69%(昨年比+2Pt)と緩やかに増加。
(2)東証要請の「資本コストを意識した経営」への取り組み
資本コストを意識した経営に課題意識がある企業における取り組み事項は、資本コストの把握
や投資家との対話が多くなっているが、投資家はこれらに加え取締役会での現状分析や資本コストを踏まえた経営資源配分等への期待が高い。
この点については、2024年2月に、東証から「投資者の視点を踏まえた『資本コストや株価を意識した経営」のポイントと事例』が公表されていますので、こちらもあわせてご紹介します。
この中では、企業が求められる一連の対応、「現状分析・評価」、「計画策定・開示」、「取組みの実行」の3つのステップ毎に、投資者が期待している取り組みのポイントや、評価されている事例、ギャップが生じている事例がまとめられています。
①「現状分析・評価」のステップ
以下の3つがポイントとして挙げられています。
・投資者の視点から資本コストを捉える
・投資者の視点を踏まえて多面的に分析・評価する
・バランスシートが効率的な状態になっているか点検する
これに対し、ギャップが生じている事例としては、資本コストには(CAPM等の)唯一の正解があると考え画一的な算出式に拘る、株主・投資者からズレているとの指摘を恐れ開示を控える、PBRが1倍超、ROEが8%超であれば特に対応は必要ないと考える、中計や決算説明で従来型の損益の説明に終始し、資本収益性の観点での分析・目標設定が行われていない、といった指摘がされています。
②「計画策定・開示」のステップ
以下の4つがポイントとして挙げられています。
・経営資源の適切な配分を意識した抜本的な取り組みを行う
・資本コストを低減させるという意識を持つ
・中長期的な企業価値向上のインセンティブとなる役員報酬制度の設計を行う
・中長期的に目指す姿と紐づけて取り組みを説明する
これに対し、ギャップが生じている事例としては、現状の資本収益性や市場評価が低いものの、自社株買いや増配のみの一過性の対応や既存事業の漸次的な改善のみの対応に終始する、株主資本コストは企業側ではコントロールできないと誤解している、役員報酬の設計上、中長期的な企業価値向上が経営陣のインセンティブとはなっておらず、株主・投資者と目線がズレている、取組を羅列するだけで、それらがどのように企業価値向上、目標達成につながるのか、明確な記載がなく分かりづらい、といった指摘がされています。
③「取組みの実行」のステップ
株主・投資者との対話に関して以下の3つがポイントとして挙げられています。
・経営陣・取締役会が主体的かつ積極的に関与すること
・株主・投資者の属性に応じたアプローチを行う
・対話の実施状況を開示し、更なる対話・エンゲージメントにつなげる
これに対し、ギャップが生じている事例としては、投資者は怖いもの・煩わしいものというイメージが先行し、特段の理由なく経営陣が投資者との対話に消極的、といった指摘がされています。
(3)最後に
コーポレートガバナンスの高度化の取り組みについて、市場をつかさどる東証だけでなく、多くの上場企業と接点のある信託銀行が調査公表することで、企業の取り組みを後押ししていることを紹介しました。
この中では、投資家の期待とギャップが生じている状況や、上場企業の中には、投資家との対話を避けるなど、上場の主旨を忘れているような事例もあることが指摘されていますが、投資家から出資を受け入れている以上、投資家と対話をするのは上場企業でなくても当然の義務のように思います。
また、仮に非上場の100%オーナー企業であっても、また、中小企業であっても、社会や顧客、取引先、金融機関、従業員といったステークホルダーに対して、企業の存在意義、提供する価値を分かりやすく説明していくことは、ゴーイングコンサーンとして必要な責務と思います。
私は、中小企業診断士として、そうした企業の存在意義、提供価値を明確にし、分かりやすく説明し・実現していくお手伝いをしていきたいと思います。そのため、「経営デザインでニコニコ明るい未来を共に創る」の「Will」(したいこと)の下、「Should」(すべきこと)の具体化に沿って、「Can」(できること)をどんどん増やしていこうと思います。
「売れプロ」は、その意味で、自分の「Can」を増やす、これまでの自分をバージョンアップするのにとても有意義で貴重な場所です。我が12期は3月で修了です。圧倒的な実績の裏にあるノウハウを惜しげもなく伝授してくださる青木先生の下、互いに切磋琢磨する素晴らしい同志とともに学んでこれたことを財産に、今後もますます研鑽を積んでいきたいと思います。
(参照)
三井住友信託銀行 『ガバナンスサーベイ®2023』について
東京証券取引所 投資者の視点を踏まえた「資本コストや株価を意識した経営」のポイントと事例
最後までお読みいただきありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
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