中小企業診断士と長期ファンダメンタル投資⑦

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皆さん、こんにちは。売れプロ10期生の中小企業診断士・坂本俊孝(サカモト トシユキ)です。今回は「リスク」の概念について考えていることをお届けさせて頂きます。

一般に「リスク」という概念扱うとき、日本人の多くは「リスク=損失」と考える人が多いと思います。これはあながち間違いではありませんが、リスクの一面しか見ていない考え方です。これに対して実力ある投資家がリスクを判断する時、「リスク=不確実性」との考え方に立脚して投資戦略を構築することが多いと思います。

一般的な日本人が株式投資において「リスク=損失」と考える思考のプロセスは、「自分が持っている株式の価値が将来下がり、その株を売った時に実損を被る(例えば100万円で買った株を70万円で売らざるを得ず30万円の損失を受ける)」概ねこんなところかと思います。これはこれでリスクの1つの性質を表していますが、日本人は例えば米国人と比べた時に取り分けこの捉え方をする傾向が強い様に見えます。しかしながら、実はこの思考プロセスには1つの大きな落とし穴があり、重要な側面を見落としていますそれは「機会損失」の概念です。

例を挙げて説明します。自分が目をつけていた企業があり、その企業の株価が100円だと仮定します。将来性が期待できるのでその企業の株式に投資をしようか悩んだ挙句、先に示した「リスク=損失」の概念に引きずられ、結局投資を見送りました。その結果、その企業の株価はスルスルと上がり150円まで伸びました。株数が100株の前提であれば100株×50円=5,000円のリターンを得るチャンスを逃したことになります(厳密にはここから手数料や税金を差し引きますが)。この5,000円がここで言う機会損失です。

実力ある投資家がリスクを判断する時、常に不確実性を考慮するというのはまさにこのことです。株価が下がって最終的に実損を被るリスク(このリスクをDownside Riskと言います)と、予想に反して株価が上がりそのリターンを享受することに失敗する機会損失(このことをUpside Riskと言います)、主にこの2つからなる不確実性を常に考えながら市場に対峙します。

これはの印象であり調査したことも検証したこともありませんが、日本人は実損に対しては非常に意識が強い一方で、機会損失に対しては非常に大らかと言いますか意識が弱い様に思います。いわゆる「目に見えて分かり易い損失」に対しては日本人は非常に神経質な傾向があると思われ、例えば、世界的に有名なトヨタ自動車のカイゼンに代表される様に、現場の生産活動の合理化に伴う無駄な経費の削減は日本人が最も得意とするところです。

ところが、「ここでリスクテイクして挑戦しないと、将来これだけのリターンをみすみす逃してしまうかもしれない」といった機会損失に対する考え方はあまり得意ではない印象があります。機会損失は実損の様に実際に損失が発生しているわけではないので「目に見えない分かり難い損失」だと自分は捉えています

もう1つ、企業の資金調達活動を例にします。企業の資金調達は主に「借入」と「増資」に分類されますが、借入を肯定する日本企業はそう多くはないというのが自分の実感です。何故かと言えば借入は目に見えて分かり易い「金利」というコストが発生するからです。借入を増やすと利払いも増えてしまうので、できれば借入は避けたいという発想になります(これまで本業で数社の企業の決算書を見てきた自分の実感です)。

一方で増資などのEquity Financeと呼ばれる調達には配当があります。株主に対して配当でリターンを還元しますが、配当は借入や社債の利息と異なり契約で弁済額(又は弁済率)が決められているものではありません。まずもって会社の業績に依存します。同様に増資におけるもう1つのリターンであるキャピタルゲイン、長期的にはその会社の経営成績に依存します。

この様に、配当を支払わなければ増資の方が借入よりもコストが小さいと考える企業が日本には未だ沢山残っている印象があります。しかし実際にはその様なことはなく、少し難しい概念になりますが、増資においても「株主資本コスト」という名のコストが発生します。この株主資本コストの本質は機会損失の概念そのものであり、借入や社債の利息よりも通常遥かに高いコストであると考えられています。