診断士がおさえておくべき景気動向(2)~情報ソース~

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みなさんこんにちは。売れプロ8期生の酒井浩 58歳、独立準備中の企業内診断士です。

 

「診断士がおさえておくべき景気動向」の第2回、今回は、おさえるべき情報ソースについて調べていきたいと思います。「情報」といっても、株やFXで儲けよう、というわけではありませんので、

「必要な時に、タダで、ネット上で引き出せる情報」に絞って見ていきます。

 

足元~短期(四半期)の見通しについて

 

企業の診断をするにあたり、先ずおさえておくべきことは、その業種の足元の景気動向ではないでしょうか。例えば、工作機械メーカーの下請け企業に行って、社長さんに

 

「今年の売上げは去年と比べてどれぐらい伸びてますか?

 

なんて質問をしたら、その時点で即アウトですよね。(工作機械の受注額は、対前年3~4割減で推移)

 

講演や執筆の場合でも、ターゲットとする聴衆や読者がどの業界の人たちで、その業界が好調なのか厳しい局面なのか、くらいはおさえておく必要があると思います。

 

景気動向がざっくりわかる、という意味では、何といっても「お天気マーク」がわかりやすい。

皆さんご存知の日経新聞「産業天気図予測」、これは四半期の最初、例えば10-12月の予測であれば、10月初旬の朝刊に載ります。ただ、なぜかこの天気図は日経のWebサイトには載っておらず、紙面でしか見ることができません。(Webでも紙面そのものを見ることはできますが、1ヶ月分しか保存されていません。)見たいときに見られない、という意味で、これは全く不親切です。

 

そうなると、頼りになるのはやはり「帝国データバンク」さんでしょうか。

「TDB 景気動向調査」 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/201909_jp.pdf は、毎月公開されており、残念ながら「お天気マーク」ではありませんが、業界別、地域別、規模別の景況感が、数値と↑↓で表されています。

(ちなみに、「お天気マーク」のついている「TDB業界天気図」 https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190304.pdf は、半年に1回程度公開されているようです。)

 

このレポートには、数値だけでなく、企業の生の声も書かれていて、

 

「○ リニア中央新幹線の建設など大型工事が動いている(建設用金属製品製造)」

「× 中国向け部品の落ち込みがひどい(自動車駆動・操縦・制動装置製造)」

 

という感じで、リアルな状況を垣間見ることができます。

 

公的機関の情報はどうでしょうか。我々にも馴染みの深いものでは、

 

「中小企業景況調査」(中小企業庁/中小機構)

https://www.smrj.go.jp/doc/research_case/156th.pdf

「全国中小企業動向調査結果」(日本政策金融公庫)

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/smseach2019_07.pdf

「東京都中小企業の景況」(東京都産業労働局)

http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/toukei/chushou/keikyou/

 

といった、中小企業関連の情報が役に立ちそうです。

ただ、個人的な感想としては、コメントが「お役所的」すぎて、わかりにくい。(あ~あ、大文字にしちゃったよ。) 例えば、「中小企業景況調査」(4-6月)では、総括コメントが

 

「中小企業の業況は、一部業種に一服感が見られるものの、基調としては、緩やかに改善している」

 

となっているのですが、詳細を見ていくと、

 

(1) 全産業の業況判断DI は、-15.5(前期差0.6 ポイント減)となり、2 期連続で低下した。

(2) 製造業の業況判断DI は、-15.0(前期差0.5 ポイント減)となり、4 期連続して低下した。

(3) 非製造業の業況判断DI は、-15.6(前期差0.6 ポイント減)と3 期ぶりに低下した。

 

と全指標が下がっており、一体これのどこが「穏やかに改善している」んだ?とツッコミたくなります。(判断基準上、デジタルにこういう判断になるらしいのですが。)

 

これらの資料には、わかりやすい時系列のグラフがついていますので、トレンドを押さえるには重宝しそうです。ただ、先の国会答弁のようなコメントは、社長さんには使わない方がよさそうです。

 

年間~中長期の見通し

 

さて、足元の動向をざっくりおさえておくことで、社長さんとの最初の面談は何とかクリアできた、とします。しかし、社長の悩みは「来年の新規採用をどうするか」ということでした。

 

「今の景気が続くなら3人ぐらいは採用したいが、大きく落ち込むようなら、人件費は抑えないと」

 

こうした悩みに答えるためには、もう少し長いスパンでの予測が必要になりそうです。

 

この手の見通しは、銀行の調査部やシンクタンクが「調査レポート」という形で頻繁に公開しており、選ぶのに苦労するぐらいです。調べてみると、三菱系・三井系・みずほ系だけでも下記のようなレポートがあります。

 

三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2019/2020年度短期経済見通し」(毎月)

~消費増税、海外経済の減速で下振れリスクが高まる~

https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2019/09/short_1909.pdf

 

三菱総研「2019、2020 年度の内外景気見通し」(毎月)

~減速する世界経済、米中貿易摩擦の激化で強まる不確実性~

https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/ecooutlook/2019/uploadfiles/nr20190521pec_all.pdf

 

三井住友信託銀行「2019・2020 年度の経済見通し」(四半期)

~正念場の日本経済、高まる景気下振れリスク~

https://www.smtb.jp/others/report/economy/89_1.pdf

 

日本総研「2019~2020年度改訂見通し」(四半期)

~内需にけん引される形で、緩やかな景気回復が持続~

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/research/pdf/11305.pdf

 

みずほ総研「2019・2020年度 内外経済見通し」(年8回)

~輸出低迷と内需鈍化から日本経済は弱い伸びが続く~

https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/forecast/outlook_190909.pdf

 

どれも似たようなレポートですが、日本総研だけが楽観的で、先に見た中小企業庁のお役所的見出しに近い、呑気な見出しになっていますね。あとはみな、減速への危機感を強める書き方になっています。また、同じ三井系でも、三井住友信託銀行と日本総研で違うように、三菱UFJと三菱総研でも微妙に違っていて、おもしろいです。

 

ただこれだけ全部読むのは大変です。中身やデータ自体は似たり寄ったりなので、読みやすさとか体裁とか、どれか好みのレポートを見つけて、定期的にチェックするのが良いかな、と考えています。

あと、これらのレポートはSWOTの「外部環境分析」や「PEST分析」のネタとしても使えそうです。

 

なんだか、大学生の就活準備みたいになってきましたが、次回以降、もう少し突っ込んだ中身に入っていきたいと思います。