【第1回 私が中小企業診断士を目指した理由】

中小企業診断士試験は難関資格であり、合格には計画的な学習が不可欠です。
2019年度に診断士試験に独学で合格した池田さんに、試験を目指したきっかけや勉強時間を確保する方法について伺いました。
診断士を目指した理由とは
――現在のお仕事を教えてください
金融機関で人事の仕事をしています。
新卒採用や社内研修・能力開発を主に担当しています。
研修や能力開発は、企業の課題を解決するための手段であると考えています。
せっかく診断士試験の学習で得た知識を活かして課題を解決できる人を育てるために色々やっていきたいですね。
――なぜ中小企業診断士を目指したのですか
中小企業診断士を目指した理由は3つあります。
1つ目は、中小企業金融に興味があったことです。
大学生の頃に政府系金融機関を就職先の候補として考えていました。結果的には違う金融の世界に入ったんですけど。
当時の中小企業金融に対する思い入れが残っていて、診断士という資格の詳細を調べる中で、「この資格を活用すれば、財務管理や金融取引に不慣れな中小企業や小規模事業者の助けができるんじゃないか」って思ったんです。
2つ目は、営業を担当していた頃に、取引先に対してより質の高い提案をしたいと感じたことです。
人事に異動となる前は、信託や融資の法人営業を担当していました。そこでは、取引先から商品提供を求められる立場だったのですが、取引先の課題に沿った形の提案が求められるので、その質を高めたいと思っていました。そのためには診断士の経営を横断する体系的な知識が役に立つのではないかと。
3つ目は、勉強癖をつけたかったことです。
もともと自分は怠け者なので、勉強をサボってしまう性格でした。
会社で推奨されていた「証券アナリスト」という資格も、後輩たちがどんどん合格していく中で焦りを覚えて、ようやく尻に火がつき、合格できたんです。
そのままの勢いで勉強を続けて、勉強癖を定着させたいと思ったんです。
家族の応援が原動力になった
――診断士に合格するまでには何年かかりましたか
全部で3年弱かかりました。学習を始めたのは2017年2月です。
受験回数は、1次が2回、2次が2回です。
――学習スタイルについて教えて下さい
基本的に独学でやっていました。
1次試験では参考書で勉強をして、問題集と過去問をとにかく何度もやりました。
2次試験では自習以外に、通信講座や勉強会を活用しました。
仕事やプライベートとの兼ね合いを考えながら取り組んだため、勉強時間をいかに確保するのか、苦労しました。
――忙しい中どのように学習をしていたのですか
私は家から会社までの通勤に往復で2時間以上かかります。
その時間を診断士試験の学習に充てていました。
1次試験の参考書はTAC出版の【スピードテキスト】、【スピード問題集】、【第1次試験過去問題集】シリーズを使っていました。
2年間で約700時間ほどは、1次試験の学習にかけました。
――試験勉強は平日の通勤時間がほとんどだったんですね
はい、土日はなるべく家族との時間を大切に過ごそうと考えていました。
一方で、学習計画が遅れてくると、土日で挽回するようにしていたため、家族には大分迷惑をかけました。
それでも、妻は試験についてしっかり応援してくれていました。
一番感謝しているのは、妻が試験のたびにお弁当を作ってくれていたことです。
自分の好物や、リクエストを聞いてくれました。
試験会場でお弁当を開けると、「がんばれ!」ってメッセージが入った手紙を入れてくれたりしたんです。
あれは嬉しかったし、素直に頑張ろうと気合が入りました。

石井 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大学院では半導体の研究を専攻。卒業後は電気設備の設計や保全の業務の他、建設現場での施工業務等に従事。建設現場で出会った中小企業の経営者に影響を受け、同じ目線で話がしたいと思い、中小企業診断士取得を決意。2019年度に合格した後は受験生支援の活動などを行っている。趣味は読書と旅行とYoutube。最近は休日の時間の使い方に苦戦中。