【第1回 経営全般を支援できる人になりたい】
育児の時間と家族の時間を考え、会社員から個人事業主に転身した中川千春さん。仕事を進めていく中で、もっとお客様の役に立ちたいという思いから中小企業診断士の受験を決意し、2年間の受験期間を経て、2023年度に合格する。第1回は、受験までのきっかけと勉強時間の捻出方法を伺った。
私生活と仕事のバランスを考え、個人事業主の道へ
大学卒業後、金融やIT企業等で営業、マーケティングや企画業務に従事する。その後、子育てのライフステージを迎える。子育ての期間は、自分自身が稼働できる時間や体力を考慮すると家庭と仕事のバランスが勤務先の会社だと難しかった。稼働時間を抑えつつ、培ってきた販売促進のノウハウ、自分が興味を持てる分野や将来を考えた時に、得られるスキルのバランスを鑑みて転職活動をしたら、ご縁があった企業は業務委託での募集だった。その企業からの仕事は定期的、且つ、一定量の報酬が見込める。「ここは一度、個人事業主としてスタートして、もし、うまくいかないようであれば、そのときに独立とか会社員に拘らず、次を考えよう」と、ワークライフバランスを考えて中川さんは、2018年より個人事業主として活動を開始した。
支援先の役に立ちたいという、強いマインド
個人事業主として、WebやEC関連の支援をしていく中で、「支援先が求めていることを満たしていないな」と感じることがあった。いつしか、ある思いが芽生えていた。会社員時代に、営業担当として企業を訪問しているときも同じだった。「特定の戦術や特定の領域だけの最適化だけでなく、企業活動全体の最適化に関与できる存在になりたい」という想いだ。経営全般や企業活動全般について、学べるものが何かないだろうかと探す中で、中小企業診断士の資格に出会う。「私の考えるものに親しい」と感じた。家族も私の色々な取り組みを応援してくれる理解があり、中小企業診断士に挑戦しようと思った。
朝の時間は私の時間、週末1日も私の時間
受験勉強をする中で、まとまった時間を確保することは難しい。中川さんは、2つのサポートに恵まれ、勉強する時間を確保した。
(1)家族のサポート
仕事の閑散期は、業務の合間の細切れの時間に暗記することに充てた。通常の勉強時間は平日の早朝に2時間ないしは3時間を確保し、休暇の土曜日または日曜日の日中いずれかを勉強時間に割いた。夜は子供が「お母さんと一緒に過ごしたい」とせがまれるときもあったためである。「安定して2時間や3時間という時間を確保するために、早朝の時間帯を使いました。早朝であれば、目覚まし時計を使って、自分が頑張って起きればよいのですから安定して勉強ができた」と静かな口調ながら言葉に強い意志を感じた。土日のいずれか1日を自分の勉強時間にするには、家族の協力も欠かせない。夫に子供と一緒に遊んでもらうことに加えて、家事の手伝いもしてもらった。
1次試験は、細切れの時間でも暗記する時間として使える。しかし、2次試験は、事例を解くために80分通しの時間をつくれないと、模試や過去問を解くにはやりにくい。「夫が新しいことに取り組みたいと言われたときは私も応援したいと思う」と、まとまった時間を作るために協力してくれた家族に感謝の気持ちを忘れていない。
(2)支援先のサポート
支援先の企業は、お付き合いが長い企業であるため、こちらの状況を理解してくれていた。「支援先の企業からは『ぜひ、リモートワークを使える範囲で、積極的に使ってください』と言ってくださったので、助けられた」と話す。移動時間を削り、仕事の充実を図った。その結果、勉強時間を確保することができた。
石川 達也 取材の匠メンバー、中小企業診断士
東京都練馬区在住。2017年10月中小企業診断士登録。コンピュータメーカーおよびITシステムベンダーで、法人営業とサービス企画に従事。その後、経理や取締役の意思決定支援にかかわる管理業務にキャリアチェンジ。現在は、計量器販売の中小企業に勤務し、経理、人事と社長の特命業務を担当。「汗を共にかき、輝く未来を分かち合う」をモットーに、企業内診断士として活動中。