【北川雅也さんインタビュー】独学1年ストレート合格!オールラウンダーの強みを活かす道を模索中

【北川雅也さんインタビュー】独学1年ストレート合格!オールラウンダーの強みを活かす道を模索中

【第1回 「根拠なき自信」の裏には直感という名の確信があった】

証券会社を2社経験し、3社目のIT企業で管理担当の専務にまで上り詰めた北川雅也さん。趣味は長距離ドライブと城めぐり。「営業が苦手だった」元証券マンが一体どうして中小企業診断士という資格にたどり着いたかに迫った。

ブックファーストでの直感

「いま会社の役員を務めていて、60歳で役員を定年にしようという合意があるものですから」。冷静に自身の現在地を語る北川さん。中小企業診断士という資格を知ったきっかけを問うたときの答えだ。淡々と続ける答えには淀みがまったくない。「57歳の時に、60歳にはこの会社を離れるんだと。そこでサラリーマンとしてリタイアして悠々自適の生活を送るのも良いんだけれども、僕に役に立てるものがあったらできないのかなと思っていたときに、新宿のブックファーストをぶらぶらしていて本当に目に入ったんですね。中小企業診断士という資格が」。

中小企業診断士のコーナーは狭かったという。そこに全く偶然に足を向けたとは思えない。何か探し求めるものがあったのでは、と水を向けると、「なんとなく頭の片隅にはあったはずだが、別にそこに立ち入ろうという気は起きなかった。士業なので難しいのかなと思って」。だがこの時は無意識のうちに求めていたのだ。こう続けたときにわかった。「弁護士、税理士、弁理士…といろいろな士業があると思うんですけど、今まで僕がやってきたことに一番近い教養が中小企業診断士だったんです」。

「これは俺がやってきたことじゃないか」

企業経営理論、財務会計、経営法務、運営管理、経営情報システム…と見ていくうち、「これって俺がやっていることじゃないか」と思ったという。北川さんは当時も今も、管理部門を統括する専務である。総務人事に始まり、経理、法務は当然に守備範囲である。しかもIT企業である。「これ、ちょっと勉強すれば受かると“根拠のない自信”を持っちゃったんですね」と屈託がない。最近の経営学では、意思決定における「直感」の効用が大真面目に語られているが、北川さんの場合、単なる直感よりははるかに根拠があるといえる。何しろ試験科目の大半が、現在の仕事と重なっているのだから。

診断士資格との出会いは偶然のように見えて、実は必然?!

半ば偶然、診断士資格と出会ったように見える北川さんだが、それまでの軌跡をたどっていくと40代に決断したIT企業への転職に遠因を見いだすことができる。「証券会社では個人営業も法人営業も向いてないと思っていたんです。そんな時、異動でIPO・株式上場支援の部署に移ったことで、企業を非上場から上場に持っていく面白さを知ったんですよね」。急に弁が回り出す。「証券会社にいて企業の上場のお手伝いをするというポジションと、会社の中にいて自分の会社を上場させるのとでは、思い入れというか感動が違うと思い始めていたところに、上場ニーズを持つ今の会社と出会ったんです」。

40代での思い切った転職が起点となり、北川さんは転職先のIT企業で経営企画室、経理部、管理部を経て管理部門担当の役員へと上り詰めていく。それはあたかも、中小企業診断士という資格と出会うための定められた道程だったようにも見える。

次回は、診断士資格に出会った北川さんがどのようにしてわずか1年で合格を勝ち取ったのか、その秘密に迫る。








田畑正

田畑 正 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1962年富山県生まれ。東京の民放キー局に定年まで勤務した後、2023年5月、中小企業診断士として登録・独立。テレビ局時代はキャリアの大半を政治記者として活動。政治記者を志した原点が、高度成長期に覚えた衰退する農業への危機感だったことから、次世代の農業経営者の創業・育成に貢献したいと診断士資格を取得。農業分野に強い中小企業診断士として活動している。東京都中小企業診断士協会城南支部、富山県中小企業診断協会に所属。

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