【加藤裕之さんインタビュー】自ら動くことで三度目の正直を掴みとる

【加藤裕之さんインタビュー】自ら動くことで三度目の正直を掴みとる

【第1回 活動を始めて変わった中小企業診断士としての仕事観】

中小企業診断士の資格取得を経て、大手電機メーカーを定年まで勤め上げ、2024年4月からは独立行政法人 中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)で国際連携支援専門員として働く加藤裕之さん。資格を取る時には、「中小企業診断士として活動するイメージを持っていなかった」と語る。第1回は、そのような加藤さんが、資格取得後、どのように変わったのかをお届けする。(以下、敬称略)

これまでと180度違う世界へ

国際連携支援専門員は、海外展開を行いたい中小企業に対する支援事業を運営するスタッフだ。海外展開支援の募集・審査等の手続きや中小企業の海外現地調査への同行などを行なっている。様々な業種の中小企業や実際の支援を行う専門家との出会いが新鮮だった。海外展開に限らず中小機構の中では、多くの情報が飛び交う。

加藤は、前職では業績管理を専門としてきた。営業部門に異動となった2年間を除いては、会社の内部に向かってする仕事が長く、会社の外部の人と係わることは少なかった。

「完全に会社人間。会社が敷くレールに乗っかって会社人生を送ってきた」

管理会計のプロとしての自負はある。だが、最近の若い人たちが自らキャリアを拓こうとする姿に心がザワついた。

協会活動をきっかけに変化が起き始めた

2021年4月、中小企業診断士登録。

登録するとすぐ、一般社団法人東京都中小企業診断協会城南支部に入会した。「自分から動かないと、何も起きない」と感じていたところに、会員部からのサポーター募集のメールを目にし、すぐさま応募。入会1年目から会員部に入り、会員の満足度を上げるためのイベントや研修の企画・運営を行ってきた。今では、チューターとして新会員のサポートも行なっている。

2023年12月、一般社団法人東京大田中小企業診断士会入会。

協会活動は、人脈形成を主な目的に行なっている。中小企業診断士の本業とも言える中小企業支援の機会を得て、活動の幅を広げたいとの思いから、城南支部でお世話になった方の縁で診断士会に所属。これまで経営相談会に携わってきた。

このような中、協会からのメールで中小機構の国際連携支援専門員の募集を知った。応募した理由は、中小企業支援の本丸とも言える組織に身を置くことで、「中小企業診断士として活躍できるフィールドを模索していく上で、必要となる様々な情報や機会を得ることができる」と考えたからだ。

「自分から動くことでフィールドが広がっていく。その中で、中小企業様にお役立ちができる活動をしていきたい」

加藤にとって、今はいろいろなことにチャレンジし、模索していく時期だ。

“中小企業診断士”との出会い

加藤は、中小企業診断士という資格に出会うべくして出会ったわけではない。20年間、業績管理に携わってきた加藤だったが、2016年4月に営業部門へ異動。営業部門のスタッフとして、販売店の“番頭”的な役割の人たちとやりとりする機会が増えた。

「こういう人たちは自分の会社のいろいろなことを知っている。対等に話をしようと思うと、自分も経営に関する一通りの知識を持っておかないといけない」

“中小企業”を相手にする慣れない仕事に対して、そんな思いを持って先輩に相談した。この時、「一通りの経営知識を得るのに適した資格」として中小企業診断士を紹介されたのだ。

加藤は業務に役立てることを目的に、中小企業診断士の資格試験の勉強を始めた。だから、中小企業診断士として何かをしたいという目的があったわけではない。ともあれ、思い立ったらすぐに行動する。中小企業診断士になる前と後では、“世界”はガラリと変わった。だが、加藤の「自ら動いて変えていく」という本質は変わっていないのかもしれない。








前田 浩光

前田 浩光 取材の匠メンバー、中小企業診断士
“共感経営”ナビゲーター。社員・ステークホルダーの共感を呼ぶ経営をナビゲート。大手製造業で主宰した多数の小集団活動プロジェクトで、品質・生産性向上を実現。何よりもメンバーが変容し、生き生きと成果に結びつける姿に感動したことが、中小企業診断士を志すきっかけに。(公財)日本生産性本部のコンサルタント養成講座を修了し、2023年4月に独立開業。“共感経営”を実践する企業を一社でも多く生み出すことを目標に活動。

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