【豊田 裕史さんインタビュー】異動や転職による困難を克服し見事に合格

【豊田 裕史さんインタビュー】異動や転職による困難を克服し見事に合格

【第1回 中小企業診断士を目指した理由】

【豊田 裕史さんインタビュー】

豊田さんは働き盛りの男性である。オンラインで取材を行ったが、やさしい笑顔と丁寧な語り口から実直な方と容易に想像できた。そのような豊田さんから中小企業診断士試験を受験しようと思った経緯から合格までの3年間についてお聞きした。(1回/3回)

多忙な仕事の中で考えたこと

豊田さんは大学で経済学を学んだ。初めての就職先で選んだのは医療機器の卸売企業であった。

職種は営業職。ルート営業として病院を回り、医師から手術の予定などを聞いて必要な機器を手配する。手配だけではなく手術にかかわる病院内の部署と調整を行い、滞りなく必要な機器を必要な日時に届けるなど横の連携を手伝う事も仕事の一つだった。

病院は24時間365日止まることはない。そのため、土日に「月曜日に手術が入ったので、月曜日の朝一番で機材をもってきてほしい」や、「土曜日に想定よりも多く物資をつかってしまったので補充して欲しい」など、電話での依頼がよくあった。自社の倉庫に在庫がなければメーカーに依頼の電話をする。メーカーとの調整の最中に病院側から督促の電話がきて板挟みにあうこともあった。土日も含めて心から休める日は少なかったという。目標の売上数字が営業のプレッシャーとして、言われることが多いが、売上よりも命を扱う病院を顧客としているため、ミスが許されない。この点の方がプレッシャーだった。

機材の手配と関係者間の調整以外に顧客の購買部門との価格の調整や入金がされていない場合の状況確認など営業の仕事は多岐にわたり、いそがしい日々が続いたという。

自分の時間を確保できない日々を過ごす中で、このような仕事に追われていて良いのだろうか。将来に向けて、どの会社でも通用するスキルを身につけないとこの先、生き残ることができないのではないだろうかと考えることが多くなった。勤め始めてから3年ほどたつと不安と焦りが強くなり、資格の取得や転職の検討を本格的に始めた。

総合的に学べる中小企業診断士の受験を決意

財務・会計の基本が身につく日商簿記検定、人事・労務・社会保険の専門家として独占業務を有する社会保険労務士などビジネスで使える様々な資格を検討したが、専門分野に特化した資格は自分が思い描く将来像と一致しなかった。継続して資格について調べている中で中小企業診断士の事を知り、興味をもった。ITやマーケティング、法律など幅広いビジネスに関する知識が学べ、ネームバリューがあり、履歴書に書ける。仕事をしながら取れる資格のうちの最難関の一つである中小企業診断士が他の資格より魅力的に思え、合格を目指し勉強することを決めた。

中小企業診断士試験勉強の開始と異動

中小企業診断士の1次試験は8月に行われる。多くの予備校では前年の1次試験が終了すると新規の講座がはじまるなど、できる限り早めに勉強を開始するのが一般的である。しかし、資格を取得すると決めたタイミングが1月だったので、短期間で学習する大手資格予備校の速習コースで学ぶことに決めた。また、都内の主要駅付近に教室があり、土曜日コースがあったので通えると判断し、通学講座に申し込んだ。勉強を始めてみると、普段の仕事では使わない知識が多く、大変であったが、新鮮でとても面白かったという。経済学部出身だったので、経済や財務・会計の用語への抵抗感はなかった。また元々暗記が得意だったので、マーケティングや法務は空いている時間や就寝前に夢中になって勉強した。一方で、数字があまり得意ではなかったので、財務や運営管理などは苦労したという。

土曜日に通学し、勉強することが板についたころ、地方への異動が決まる。

想定外のことであった。








井部 雅章

井部 雅章 取材の匠メンバー、中小企業診断士(登録予定)
2023年度中小企業診断士試験合格。他に簿記やIT関係の資格を有する。大学院卒業後、大手IT企業に就職し、20年近く同企業に勤める。当初はSEとしてシステムの提案、開発、運営管理支援などを行っていたが、営業に異動。営業としては公共機関向けにシステムの提案やシステム導入後のアフターフォローを担当している。

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