【第1回 挑戦への扉を開く】

H.Mさんは2024年9回目の挑戦で中小企業診断士試験に合格した。建設業関係の組合に38年間勤務し、2年後の定年退職後は独立開業を目指している。第1回は、現在の活動状況、そして中小企業診断士を目指したきっかけ、そして1次試験の勉強方法についてうかがった。
いろんな方との交わりが刺激
「2024年1月の合格から1年が経ったが、様々な方との交流が増えて非常に刺激的だ」。H.Mさんは楽しそうに語る。合格後、すぐに大阪府中小企業診断協会に入会し、現在は「プレゼン研究会」「スモールM&A研究会」「事業革新研究会」の3つの研究会に所属している。
先日の大阪・関西万博開幕前夜には、東京のプレゼン研究会と合同合宿に参加した。「大阪の魅力である『粉もん』や『お笑い』を、万博の公式キャラクター『ミャクミャク』を使ってプレゼンし、東京メンバーから大好評を得た」と目を輝かせる。「今までの仕事では、プレゼンをする機会は全くなかった。でも、これから中小企業診断士として独立するには必要なスキルだと思い、苦手を克服するために新しい世界に飛び込んだ」。H.Mさんの前向きな姿勢が、新しい学びと人とのつながりを生み出している。
組合での38年間が培った信念
建設業関係の組合に勤めて38年間。中小零細建設事業者を対象に経営や福利厚生、働き方改革の支援に携わってきた。組合会員の事業者から難しい課題を任されることが多く、若い頃は相当苦労したという。
「今は無茶を言われてもどうにでもできるけど、若い頃はドキドキしていた」と振り返る。時には自分のミスで融資が通らず、企業に大きな迷惑をかけてしまったこともある。「結局はお詫びするしかなかった」。
こうした経験から「物事を最後まで責任をもってやり切る」という信念が芽生えた。この姿勢が、9年間という長期間の受験勉強を支える原動力となったのだろう。
20代からの想いが再燃
中小企業診断士を目指したきっかけは、20代まで遡る。当時、組合の仕事から必要性を感じて社会保険労務士の資格を取得した際、中小零細事業者の支援には幅広い知識が必要だと感じ、中小企業診断士の資格にも興味をもった。
でも、「結婚と重なったりして中小企業診断士の受験勉強までは進まなかった。その時のモヤモヤがずっと心の底に残っていた」。家庭環境が整い時間が取れるようになった2016年に中小企業診断士の受験勉強を始めた。ここから、H.Mさんのセカンドキャリアへの挑戦が始まる。
1次試験は順調な滑り出し
勉強方法を検討した結果、資格学校に通うのがベストと判断した。自宅から通える学校として大阪にある資格学校を選択。1.5年コースに通った。
「情報システムが苦手で思うように点が取れなかった。でも、足切りの4割さえ取れればよいと考えて進めた」。学校のテキストを中心に勉強で基礎を固めていった。その結果、1次試験は一発合格という順調な滑り出しだった。
この時点では、2次試験でこれほど苦戦することになるとは想像していなかった。しかしH.Mさんの本当の挑戦は、これから始まろうとしていた。

大西宏典 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大阪府在住。2022年に中小企業診断士試験に合格。エネルギー会社での勤務を経て、2025年1月に独立開業。「企業価値を高めながら、持続可能な社会への貢献」を理念とする。省エネルギーの専門性を活かした脱炭素経営支援を通じて、経営者とともに未来価値の創造を目指している。
