【第1回 中小企業診断士試験への挑戦】

現在、大手企業のグループ会社で代表取締役を務め、長年ITに携わりキャリアを築いてきた大家正嗣さん。中小企業診断士の資格を取得するため、3年間にわたり挑戦を続けた。「中小企業診断士の知識は、会社経営において不可欠だと実感した」と語る。
第1回では、大家さんの中小企業診断士試験への挑戦の記録を辿る。
未経験のまま、経営の最前線に立つことになったら?
突然、あなたが企業の舵取りを任されることになったらどうするだろうか?それまで経験したことのない経営の世界に、準備もないまま放り込まれる。
そんな状況を想像してほしい。長年、プロジェクトマネジメントやシステム開発に携わってきた大家さんも、まさにその状態だった。要件定義や業務改善の知識は豊富でも、企業の舵を取るとなると話は別だ。
彼に転機が訪れたのは2018年。所属するグループ会社の経営に携わることになり、「経営なんてやったことがない」と、自身の知識不足を痛感する。そのとき目に留まったのが、中小企業診断士という資格だった。「何か始めなければ」そうした切迫感が、彼を診断士試験への挑戦へと駆り立てた。
苦闘の3年間:診断士試験への挑戦
大家さんの中小企業診断士への道は決して平坦ではなかった。1次試験を2回(2021年・2022年)、2次試験を3回(2021年・2022年・2023年)受験し、合計3年間を費やした。2022年の1次試験は、「保険受験」として臨んだ。
1次試験の勉強は、市販のテキストと問題集を繰り返し解くスタイル。しかし、7科目という広範な知識を問われる試験の中でも、暗記科目の「中小企業経営・政策」には苦戦。それでも直前に詰め込むことで乗り切り1次試験は一発合格した。
勉強時間の確保には、コロナ禍の影響が味方した。リモートワークの普及により、飲み会などの外出機会が激減。仕事終わりの時間をすべて勉強に充てることができ、「もしコロナ禍がなければ、これほどの勉強時間は確保できなかった」と振り返る。
2次試験の苦闘と学習の転換
本当の苦労は2次試験から始まった。1次試験合格するまで2次試験についてはなにも調べていなかった。1年目は試験のことをよく理解せず、ほとんど勉強せずに挑んだため、不合格に。「落ちるべくして落ちた」と大家さんは振り返る。参考書を1冊解いただけで、十分な準備ができていなかった。
不合格後もどう勉強すればいいかわからず、彼がたどり着いたのがオンライン勉強会「ココスタ」だった。インターネットで見つけ、無料説明会に参加したことが転機となる。そこで「仲間と議論しながら学ぶ方法」があることを知り、2次試験対策の軸となった。
2年目は、このオンライン勉強会に週3〜4回参加し、過去問の設問を解き、解答を説明し、参加者同士でフィードバックを交換する形で学習を進めた。ベテラン受験生のコメントを聞くことで多くのインプットを得られ、「得るものは非常に多かった」と振り返る。他の受験生との雑談の中で、「ふぞろいな合格答案(同友館)」など定番テキストを知り、購入。それでも2年目の挑戦は不合格。「正解がないような感覚もあり、落ちる可能性は十分ある」と感じていたという。結果発表を聞いた際は「ショックはあったが、すぐに仕方ないと受け入れた」と振り返る。
不合格後、彼は一時勉強から離れた。合否発表のあった1月から5月頃まで勉強を休止し、リフレッシュ期間を設けたのだ。そして、「そろそろやらないと」という気持ちになり、6月から再びオンライン勉強会に参加することを決意。3年目の挑戦が始まった。

H.T 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大学卒業後、化学業界において、商社・メーカー双方で営業・マーケティング業務に従事。幅広い製品に関わり、多数の海外企業との交渉経験を通じて異文化理解を深めてきた。趣味はドラマ鑑賞、スポーツ観戦。
